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兄妹(きょうだい)の誓いとか、マジ?

おととい投稿した71話ですが、感想にて『前にチビ狼に名前を付けてますよ』との指摘をいただき、急遽、少しの変更をくわえました。

とはいえ時間をとって読み返していただくほどの変更ではありません。

チビ狼=スタンリーという名前を42話でつけた『クリス』という名前に変更して、会話をちょっとだけ変えただけです。


教えていただくまで、すっかりこっきり名前を付けたことを忘れていました。

この場を借りまして、お詫びさせていただきます。

そもそも。悪いことのひとつもしてないのに、逃げるように街から離れるというのが不満だった。

だから、大手を振って正面から堂々と街を出てやる。


「そんなこと、どうやってですか?」


フェクターさんが疑問顔をしている。改めて観ると、ロッカと眉や鼻の形が似てるなぁ。

なんてことを考えてる場合じゃない。


「ん、とね。せっかくだから歌手として、街を出ようよ」


んん? 話に付いて行けない皆が疑問顔のうえにも疑問符を浮かべる。


でも! さすがは親友たち。サシャとロッカは私の言わんとしていることが伝わったようだ。


ニンマリ笑ってみせると、反対にげんなりしてくれる。

またまた、そんな顔しても付き合ってくれるくせして!


「それは、あたし達も含めてなのよね?」


ロッカの前向きではない質問に


「もちろん!」


私は最高の笑顔で答えた。


「どういうことだい?」


フェクターさんが娘に訊く。


「つまりさ、リリンは。あの時みたいに男装しようとしてるのよ」


あの時、というのはアッチラの街でのことだね。


でもさ、実を言うと。あの後でも、何度も男装してる…させられてるんだよね、私。

どういうことかと言うと。


始まりは、私が部屋で単独アイドル・ショーという自分設定のごっこ遊びを2人に見られてしまったことが切っ掛けだった。


いや、あのさ。女の子なら誰だって経験あるでしょ? なんとなく体を動かしたくて、ついアイドルのダンスの真似をしてしまうなんてことが。…ない? あっても中学生まで? なら私は14歳だからOKじゃん。前世の年齢は別ですよ、もちろん!


で、ね。私はその時、昭和のアイドルのダンスをしてたのよ。『キャンディ〇ズ』とか『ピンクレディ〇』とか『ウ〇ンク』とか、あんな感じのやつを。もちろん歌いながら、ね。


ランランルー♪ と仮想マイクを握りしめながらノリノリでクルリンと一回転した私は、視界の端に2人の顔を入れてしまったのよね。


まさか! の状況だよ。


誰にも見られてないと思ってるからこその、テンションだったし。


そっと視線だけで窺う。


すると、窓の向こう側にはニマニマ笑いをしているサシャとロッカがいたんだよ。


私はね……何食わぬ顔でカーテンを閉めました。


でも、その直ぐ後で親友たちはノックもなしに突撃訪問をかましてくれましたとさ。


で、部屋に押し込んできてまで無言でニマニマしている2人【親友度60:悪友度40】に、私は頭を下げて


「どうぞ、今のことは忘れてください」


と懇願したんだけど


「リリン、可愛らしかったですわよ」


「女の子っぽかったよ」


なんてサシャはともかく何気にロッカに酷いことを言われたあげく、なんじゃかんじゃでダンスを教えることになったの。


要するにさ、2人も私のダンスに興味津々だったんだよ。なんせ、この世界のダンスは舞踏会で披露するような男女で踊る社交ダンスみたいなのがほとんどだから。こうしてペアもなく踊るというのが面白かったみたい。


それからは暇さえあればアイドル・ごっこを3人でしてたの。


楽器の練習はどうしたって? なんのことかしら? ワタシワカラナーイ。


でも、無駄なことをしてたんじゃないから!


お祭りでシスター達が歌と踊りを披露したって言ったでしょ? その踊りの指導をしたのはサシャとロッカだから。


それは、さておき。

ここで唐突に男装のお話に戻ります。


ある日、2人が突然に言いだしました。


緊張感がないわね、と。


要約すると、ダンスが上手くなったのを誰かに見せたい、自慢したい、てことなの。


とはいえ、サシャもロッカも本気で披露したいわけじゃない。恥ずかしいからね。


「こんなことしててもさ、見せる相手がいないんじゃぁさ」


「でしたら、ジャックを呼びましょうか?」


「なんで、そこでジャックがでるかな? あたしとしてはさ、せっかくだから男の人に見てもらいたいなぁなんてさ」


「そんなの…恥ずかしいですわ」


「だよね~。あたし達がさ、気兼ねなくしてられる男の人がいたらいいんだけどね」


「そんな男の人いるわけが…?」


「なくない、ような…?」


そこで2人の視線が私に突き刺さったのです。


「リリン、男装してよ」


「してくださいますよね」


といった流れで、私はほぼ毎日のように男装をする羽目になったのです。


しか~も! 悪ノリしたロッカの手配で、私のクローゼットは男物の服ばかり。紳士な服からワイルド系まで取り揃えられております。オプションで付け髭と眼鏡まである始末です。


さて、現実に戻ろう!


「考えたら、私が男装をするのは必然なのだ!」


何故な~ら。


とみんなに説明する。


「女のままだと歌手としてデビューしたところでお縄になってしまうでしょ。だから、超絶有名になるまで男として生き続けます」


「ま~た、この子はとんでもないことを」


「でも、言っていることは理屈にかなってますわ」


「ということで、私はとりあえず男としてデビューします」


と宣言しておいてなんだけど


「あの~…いいですか?」


とリリジさんにお伺いをしておく。


「いいじゃないですか! 美少年と美少女2人のユニット!」


OKでました。


「ですが、その場合、3人の関係性を考えないとなりませんね」


「関係性ですか?」


「ええ。赤の他人だと、邪推する人もいますから」


なるほどなるほど。両手に花状態の美少年とか、鼻につくもんね。


「ならさ、今日の今から私たちは兄妹きょうだいになろう!」


「わたくしとリリン様が姉弟きょうだいですか?」


う~ん、サシャが私に『様』付けしてくる。なんか違和感。


まぁ、そこのところは追々考えるとして。


私はうなずいた。


「そう、兄妹きょうだい。だったら、私…僕が両手に花でも邪推されないでしょ?」


「あたしと、あんた達が姉弟きょうだいね。ふふ、面白いじゃない」


ロッカに不満はないみたい。


僕は拳を前に出した。


心得たように、ロッカも拳を出して僕の拳にぶつける。


孤児院で流行させたハンド・シェイクの一環で、拳をぶつける男前な挨拶だ。


僕とロッカは、残るサシャに目を向けた。


うん、と小さくうなずいてサシャも拳を突き出す。


僕たち3人は拳をぶつけ合った。


「これで僕らは兄妹きょうだいだ!」


「仲のいい姉妹きょうだいになろうね」


姉弟きょうだいとして生きることを誓います」


そう言い合って拳を離した私たち。


でも、この数分後…。


だれが姉で兄で弟で妹かという難問で大喧嘩をすることになるのだ!


どう考えても、僕が長男でしょうが!

桃園の誓い、的な?

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