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宣伝歌の評価とか、マジ?

短いです。

やっぱっぱぱぱ


来ぃて見ぃて、寄ってみて


グリングランデ、しょ~か~い


ヘイヘイヘヘイ


品ぞろえは(抜群!)


お求めやすい(価格!)


おほほ


コレは行ぃかねば、なぁるまいに



「何と言いましょうか…」


「歌詞がついた途端に…」


サシャとロッカが渋い顔をしてケチをつける。


「歌の入りの『やっぱっぱぱぱ』というのは何ですの?」


「インパクト」


私は明言した。


「おほほ、ってのは?」


「奥様方の満足感」


私は断言した。


う~ん? と2人は余計に渋い顔をしている。


「あとさ、何で最後が時代劇っぽくなってるの?」


「あ、それはわたくしも思いましたわ」


2人が私に注目する。


「なんとなく」


答えを聞いたシンガー(仮)の2人の表情が決定的にしょっぱくなる。

けど、私に言わせてもらえれば『なんとなく』なフィーリングは必要なのだ。何ていうの? 才能的な? 閃き的な?


「わかった、わかりました。なら、この歌詞は捨てます」


ホッとした顔になっている彼女たちに、私はでも爆弾を落としてやる。


「代わりに、歌詞を考えてね?」


パスされるとは思っていなかったに違いない、


「え?」


「は?」


「いやいや、だって気に入らないんでしょ? なら、自分たちで作ってよ」


「…リリン、もしかして怒ってる?」


ツン、とそっぽを向いてやる。


そりゃ、小腹ぐらいたつでしょ。だって、寝る間も惜しむどころか、寝ている最中でさえ夢にみて考えていたってのに、この反応……な~んてね。実はぜんぜん怒ってないんだ。まともな感性をしてたらヘンテコな歌詞だって思うもん。私はその反応を狙ってたんだ。え? 嘘じゃないッスよ。だって、ヘンテコであればあるほど『なんじゃこりゃ?』て思って、頭に残るでしょ? まさしくサシャとロッカの反応はそれだったからね。


2人はボソボソと相談していたけど


「おみそれしました、リリン様。あなた様の才能には脱帽です」


「納得はできませんけど、了承は致しますわ」


両者ともになかなか個性的な答えですね。特にロッカさん、高速の揉み手は素晴らしいインパクトがあります。


「分かってくれたなら結構。これからは私の才能に敬服して、常に下手したてにでて、さらには寝る前に『リリン様は最高最上天下一!』と唱えてからベッドに入るように。それでね、ん~と、フルートを教えてくれる時はもっと優し」


「はいはい、戯言たわごとはそこまで」


サシャに右のほっぺを


「つけあがり過ぎ」


ロッカには左のほっぺを、むぎゅう、とつままれて、私は口を封じられてしまった。


「「反省した?」」


2人が声をそろえて言う。


「ひゃい」


「「なら、よろしい」」


開放されて、私はほっぺたを撫でさすりながら、せいぜい恨めし気な目をつくって2人を見た。


「ほっぺたが伸びちゃうでしょ!」


「な~んかリリンの頬って触りたくなるのよね」


「わかりますわ! 触るとモチモチしてて孤児院にいる赤ちゃんのお尻と感触が似てるんですのよ」


「赤ン坊のお尻に例えられる私の顔って…」


「いいじゃない、それだけ美肌ってことだよ」


「そうですわよ、羨ましい程ですもの」


2人が励ますように私の肩に手を置いてから…


「そういえばさ、リリンって化粧品は何を使ってるの?」


ロッカが私の横顔をジッと見詰めつつ訊いた。


「それが、この娘は化粧品どころか肌のケアをしてないんですのよ」


何故かサシャが答える。まぁ、本当のことだからいいけど。

面倒くさいんだよね。お金も凄いかかるし。それに、別に手入れなんてしなくても変わらないじゃん? それは前世の頃から同じで、化粧とか肌の手入れなんてしたこともない。それを知った悪友兼親友の愕然とした顔ったら。


ん? そういえば、あの後って…。


「え! それで、あのモチモチ感なの?」


「そうなんですのよ。毎日、頑張って肌のお手入れをしているのが馬鹿らしくなりますわよね」


そうそう、こんな感じで悪友兼親友と周りにいた女友達の目つきが険しくなってきて…。


「うんうん、腹立つよ」


「ええ、ムカムカしますわ」


……なんだか、雲行きがおかしくなて来たような? この展開は前世のあの時と同じだぞ?

そう。トラウマになりそうなほど揉みくちゃにされた、あの時と。


私はそっと逃げ出そうとしたのだけれど


「なにか、モチ肌の秘密があるんですわよね?」


「内緒にしてないで、教えてほしいな」


肩に置かれていた2人の手が、ガッシリと掴んでいる。


目が、マジで怖いんですけど…。


それからはある意味で拷問だった。

美肌の秘密とやらを問い詰められ、そんなものがないと判明したらしたで、今度は女性にとってどんなにスキンケアが大切なのかを懇々と説かれた。


ええ、もちろんのこと歌の練習なんてしてません。

できるはずないじゃん!


気付けば、お日様が沈みかかってるんだもん。


こちとら、グッタリだよ。


前世での授業を思い出しちゃったもん。


で。練習できなかったっていうのに、サシャとロッカはニコニコしてる。


あ~。私は気づいてしまった。

体よく2人に歌の練習をいなされてしまったのだと。


どうやら2人は、明日、フェクターさんの前で歌わなければ本番のラジオでも逃げられると思ってるみたいだけど、そうはイカのきん…おっと私としたことがハシタナイ。


ふ、ふふふふ。


決めた!

ぜ~~~~たいに、明日はサシャとロッカにも歌わせたる!

自分の作詞の才能のなさに愕然としました。


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