1-2話
GM: では、用意をすませて帝都ルキスラの西にある森へと進みます。さすがに、大国ルキスラのお膝元、治安は高く、ワンダリングモンスターに遭遇するようなことはありません。
ディート: まあ、城壁の外をモンスターが闊歩していたらその国終わっているよな。
GM: とはいえ、それはあくまで見える範囲の事。これから向かう先の森は見晴らしも悪く、どんな存在がいるかはわかりません。そうでなくとも、帝国兵の目をかいくぐった蛮族や山賊が、近隣の村や行商人を襲う事はそう珍しくもない話です。だからこそ、君たちの仕事がなくならないともいえます。
カンモン: 帝国兵仕事しろ。
GM: ちゃんと仕事はしていますよ。帝国軍が出ればそういった不埒者は殲滅確定です。ただ、その軍が出るために数万ガメルの経費がかかり、一定期間帝都の防衛力が落ちるだけです。
トロント: 数千ガメルで冒険者に頼む方が楽な話だね。
GM: さて、バイパーさんと一緒に森へと向かいます。店長ルーサーから遺跡までの地図をもらっているので、そうそう迷う事もないのですが、一応判定をしてください。『レンジャー技能』+『知力ボーナス』で判定をお願いします。目標値は『7』です。
サンドラ: ならアタシの出番だね。レンジャー技能は3レベル。知力ボーナスは2なので、2D6で「2」以上。最低値の「2(1ゾロ)」は絶対失敗だから、それ以外ならすべて成功ってことだ…「9」。『14』です。
GM: では、地図に書かれた通り遺跡の入り口を見つけます。一見コケや雑草に覆われた小高い丘のように見えますが、一角に露出した入口があります。入口の扉が壊されて、奥へ続く通路になっています。
カンモン: 明かりはありますか?
GM: ないですね。誰か明かりを用意しないと中は見通せません。
トロント: 冒険者セットに松明がありましたよね。
カンモン: うん。だが問題だ。誰がそれを持つか。吾輩はネコなので当然持てない。
サンドラ: ロングボウだから両手持ちだね。
ディート: 持てなくはないが、二刀流だからな…
トロント: 私が片手空いているので、松明を持ちます。
サンドラ: あれ?盾は持ってないの?
トロント: お金が足りませんでした。今回の報酬で買います。(笑)
カンモン: なら、その時にはランタンも買おう。まあ、吾輩はつけられないがな。猫だから(笑)
ディート: 油まみれにして括りつけてやろうか(笑)
GM: (一緒にいるバイパーさんが持つという選択肢もあったけど、まあいいか…)
GM: では、遺跡の中に入ります。しばらく進むと、部屋につきます。左右の壁に通路が伸びており、向かい側の壁際には一体の破壊された魔動機が転がっています。床には戦闘の跡と、壊れた残骸。それとは別に、何かを引き摺った跡があります。それは右の通路の奥へと続いています。
トロント: 魔動機はガーウィですか?
GM: 違います。バイパーさんが教えてくれますが。コレはガーウィではありません。
バイパー: 「これは『グルガーン』という、魔動機文明時代の作業用の魔動機だ。作業用ではあるが、そのパワーは侮れないがね」
ディート: 引き摺った跡というのは?血の跡とか付いている?
GM: 重量のある金属を引き摺った跡のようです。所々に壊れた破片が落ちているところから、壊れながらでも移動したのか、それとも壊れた後移動させたかのどちらかでしょう。
ディート: まあ、向かった先に何があるか見てみるか。
サンドラ: その前に、破壊された魔動機の剥ぎ取り判定をしよう。2D6で「9」。
GM: では『粗悪な魔動機の部品(売値: 100ガメル)』が見つかります。
ディート: お、早速『当たり』を引いたか。
GM: さらに、剥ぎ取りを行っていたバイパーさんが、感心したように「ほう」と感心したようにつぶやく。
トロント: どうしたの?
バイパー: 「なに、この魔動機。きちんと動力中枢を抜き取っておる。ここを探索した冒険者の中に、そこそこ魔動機に詳しい奴がいたんだろうな」
トロント: そうなんだ
バイパー: 「冒険者の中には壊しておしまいという奴も多い。動かなくなったのと動けなくなったのとは違うという事だ」
GM: まあ、剥ぎ取りで「魔動機の部品」が出た場合の考え方だと思ってください。
トロント: じゃあ、右の通路を進んでみますか。
GM: はい。通路は明かりもなく直進の10mほどです。その先で扉が閉まっています。
ディート: とりあえず、扉に罠がないか調べてみよう。おお「11」だ。『16』。
GM: 罠はないけど鍵がかかっていることが分かった。
ディート: …変だな?
サンドラ: どうしたんだい?
ディート: 探索した後の遺跡なのに、扉に鍵がかかっている。引き摺った跡という事は、前の冒険者の戦闘跡だとして、誰がカギを閉めたんだ?
カンモン: 密室殺人!?
ディート: ちがうよ(笑)
サンドラ: そういえば、『足跡探索』とか何にもしていないね。
ディート: 戻る前に、扉の向こうを『聞き耳』。「8」で『12』。
GM: 特に何も聞こえない。
トロント: どうする?いったん最初の部屋に戻る?
ディート: そうだな、いったん戻って足跡を調べよう。
GM: わかりました。では、最初の部屋に戻りました。
サンドラ: レンジャー技能で『足跡追跡』でもいいのかな?
GM: はい。隠し扉を探す『探索』判定はレンジャー技能ではだめですが、特に記述がなければルールブックにある判定でスカウトとレンジャーの区別はありません。
サンドラ: はいはい。「10」で『15』です。
ディート: もういいような気もするけど…「5」で『9』だ。
GM: 高いな。では、いくつかの足跡を発見します。つい最近ここを頻繁に使っている足跡があります。足跡はどれも人間よりも小さな下級の蛮族の様です。ざっと見て2種類の蛮族がいるようです。わずかな足跡が右の通路を、ほとんどの足跡はが左の通路を進んでいます。左の通路にある足跡は、何度も外に出たり奥へ入ったりしています。
ディート: 蛮族が住み着いたか。
トロント: 蛮族って、ゴブリンとかトロールと思っておけばいい?
GM: そうですね。オーガやラミア。ホブゴブリン的なボガード。はてはバジリスクやバンパイア(ノスフェラトゥ)まで、敵対亜人種の総称だと思えばいいでしょう。
カンモン: とりあえず人族(人類)の敵だな。
ディート: 足跡は左に続いているんですね。
GM: そうですね。何個か右の通路にも続いていますが、その数は少なく。また、古いものばかりです。新しい足跡はすべて左の通路へ向かっています。
ディート: 右の扉の鍵を閉めたから左の通路へむかったのか?どうする?
トロント: 右のカギのかかった扉に行こう。鍵を閉めたのが誰か分からないけど、ここに二つの勢力がいるなら、数が少ないほうが情報や助力を得やすいはずだ。
カンモン: なるほど。だが、問題もあるぞ。
トロント: なに?
カンモン: 足跡は蛮族のものだけだ。となると、二つの勢力両方とも蛮族である可能性が高い。そして、このパーティーの誰も『汎用蛮族語』を覚えていない。下手すると会話できんな(笑)
サンドラ: バード技能かセージ技能は!?
※セージとバード技能を1レベル上昇させると、言語を一つ習得できる。もちろん、共通語や種族語などは初期作成時に取得できます。
カンモン: セージ1レベルを持っているのは我輩だけ。そして、我輩が持っている言語は「エルフ語」の会話だ。
サンドラ: なんでさ!?
カンモン: 我輩がお魚大好きで『水の加護(水中呼吸)』を持つエルフの多くが漁業従事者である以上、我輩の人生でどっちが重要か自明の理ではないか!!!
ディート: いばるなぁぁぁぁ!!
(一同笑)
カンモン: もし我輩が蛮族領に生きていたらギルマン語になっていた事は間違いない。
サンドラ: 自慢げに言うな自慢げに(笑)