4-2話
GM: 君たちが今日も今日とて『蒼い雷の剣亭』にたむろしていると、入り口のドアから「ミシッ」という重い音がします。
一同: ?
GM: 同も大きな何かがいるらしく、扉を開けるのに手間取っていたらしい。入り口のノブが少しガチャガチャしますが、やがて扉が開くと、ヌッと巨大な老人の顔がのぞく。『魔物知識』判定をしてください。
カンモン: 「10」で『15』
トロント: 「4」で『9』
GM: では、それがマンティコアだとわかりました。猫のようにするりと店の中に入ってくるマンティコアの背には、一人のタビットが乗っている。
※タビット:種族:二足歩行するウサギのような外見をしている。小柄で非力で不器用だが、知力と精神力が高く、魔法使いとして優秀な資質を持つ種族。なお、信仰心は持たず神聖魔法は取得できない。
ルーサー: 「サー・タップ。店内の騎乗はやめてくれ」
GM: 店長のルーサーの言葉に、タップ卿と呼ばれたタビットは少し不機嫌になります。が、素直にマンティコアからはおりました。
タップ卿: 「まったく。彼と私は一心同体だというのに」
マンティコア: 「然り、然り」
GM: と、軽く愚痴るとマンティコアもそれに同意します。
サンドラ: いや、ふつうにマンティコア(人喰い)に、街中や店内を闊歩されちゃまずいでしょ」
トロント: 街中でも騎獣で移動していいの?
ディート: トロントも街中をバイクで爆走しているジャン。
トロント: 言われてみればそうだった。
GM: まあ、あまり褒められた事ではありません。
トロント: バルルン!バルルン!(笑)
GM: あまり褒められた事ではありません(語感強)。街中での騎乗ですが、基本的に馬に乗っているのと同じ扱いです。さすがに多部位のドラゴンやワイバーンで闊歩されたら注意されますし、騎獣が問題を犯したら責任はライダーが取ることになります。見ると、マンティコアの毒の尻尾にはカバーがかけられており、周りに迷惑がかからないようになっています。
カンモン: まあ、毒針プラプラされたら問題だもんな。
GM: 騎獣から降りたタップ卿ですが、店長のルーサーとしばらく話をすると、そのまま君たちの所へやってきます。
タップ卿: 「最近売り出し中の冒険者というのは君達か?私はタップ・ラ・パンドロン。帝国騎士の称号を得ているが、本職は知識の探求者だと思っている」
GM: ローブに三角帽子。手には杖を持っている魔術師的風貌です。そのすぐ後ろにマンティコアが控えています。
トロント: そこまで従順になるんだ。
サンドラ: 一応、マンティコアの体は獅子の体だからね。猫科でしょう。
GM: しかし、君たちはそのマンティコアの視線が自分の主人からひと時も離れず、さらに、それがだんだん、飢えた獣の目になっている事に気が付いた。
トロント: 全然従順じゃなかった!!
(一同爆笑)
GM: じっと自分の主人を見続けていたマンティコアは、やがて熱にうかれたように、タップ卿に首を伸ばす。そして、その口からあふれたよだれが零れ落ちる。
タップ卿: 「こら、ハングリー。よだれが垂れたぞ」
トロント: はんぐりぃ!?
ディート: 名前からしてヤバイ(笑)
マンティコア(以後「ハングリー」): (正気に戻り少し距離をとる)「おお、すまんご主人」
タップ卿: 「店長殿。彼に何か食べ物を用意してやってくれ。本当にハングリーは食いしん坊だな。はっはっは」
ハングリー: 「うむ。ハングリーはいつも腹ペコだ」
トロント: なるほど。主人は「食いしん坊」だとおもってハングリーと名付け、本人は「はらぺこ」なのでハングリーと呼ばれているわけか。
ディート: あぶねぇぇぇ!!
(爆笑継続)
カンモン: 確かにマンティコアは謎めいた言い回しを得意とするが、こいつは意味深だ(笑)
サンドラ: 意味が深すぎるわ(笑)
GM: さて、店長が出したハムにかぶりつくマンティコアのハングリーをよそに、タップ卿は言葉を続けます。
カンモン: 正直依頼内容より、マンティコアの方が気になって仕方ない(笑)
タップ卿: 「依頼したいのはダーレスブルグへの護衛だ」
GM: ダーレスブルグについて、簡単に説明しますが、ルキスラの北部。ティラステラ大陸の最北端にある王国です。昔は帝国の一部でしたが今は独立しています。現在、帝国とは友好的同盟関係です。特徴としては、ティラステラ大陸最北端であり、その先にあるレーゼルドーン大陸の玄関口になっている点です。蛮族の領域であるレーゼルドーンとの最前線のため、何度も大規模な蛮族の襲撃を受け、それを撃退している精強な国です。現在はレーゼルドーンへの開拓も始まり、今後も動向が楽しみな国です。
タップ卿: 「ただ、いろいろ面倒な事になってな」
トロント: 面倒?
タップ卿: 「そもそも、私がダーレスブルグへ行くのは、私個人の目的の為だった。向こうで探していた一冊の書籍が見つかったのだ。それだけなら護衛など必要ない。私とハングリーだけで行ってくればいいのだ。だが、私にもしがらみというのがあってな」
カンモン: この主従を、二人旅をするのは別の意味でヤバイ気がする(笑)
サンドラ: 行きは二人で帰りは一人(笑)
タップ卿: 「ダーレスブルグへ荷を運ぶライダーギルドの護衛も兼用なのだ。そして、これには危険が伴う」
トロント: というと?
タップ卿: 「実は、ダーレスブルグに荷を運ぶのは二回目なのだ。一度目が賊に襲われた。それも、商隊に同行していた際に、わざわざライダーギルドの馬車だけを狙う始末だ。おそらく、ライダーギルドの中に内通者がいると思われる。そして、残念ながら、内通者を捜してから再び荷を運ぶ時間的余裕はない」
ディート: なので、護衛を付けて移動となるわけか。
タップ卿: 「その通り。私も帝国騎士の称号を受ける程度の腕は持っているつもりだ。このハングリーもいる。だが、それは向こうも認識していよう。それでも襲うなら、備える必要がある。その為に、護衛を雇う必要があるのだ」
トロント: 報酬は?
タップ卿: 「ダーレスブルグと帝都の往復で1人1万ガメル。4人で4万ガメルだ。護衛時の宿代なども経費も別途出そう」
カンモン: 一人でその値段なら破格だな。
GM: 往復およびダーレスブルグ滞在時の護衛も兼ねるからね。ダーレスブルグまで片道5日で、往復10日。向こうの滞在も入れると2週間から半月になる。
トロント: いいね。この値段なら『魔動バイク』が買える!(笑)
ディート: いや、その前に装備充実させろよ(笑)
※『ミニバイク』の上位機種である『魔動バイク』にはグレネード射出装置が搭載されている。だから何だとはあえていわない。
ディート: 依頼を受けるのはいいとして、前回襲われた時はどういう状況だったの?
タップ卿: 「ダーレスブルグまであと2日という早朝に襲われた。出発の準備もあり警備が手薄になっていたところを狙われたのだ。護衛も商隊も襲われていない馬車を守る事を優先したため、不意打ちで破壊されたギルドの馬車は残され略奪されたのだ」
GM: こんな時代なので、馬車が襲われた際は、生き残った馬車を守ることを優先するのは常識的な行動ともいえます。
トロント: 狙われた場所もダーレスブルグに近すぎもしない絶好の場所だね。馬車の行程を知っている内通者もいるわけだ。
タップ卿: 「うむ。ギルドには私が護衛につくことは知られている。向こうもそれを想定しているだろう。」
カンモン: ちなみにタップさんの技能は?
GM: ソーサラー6レベル。セージ7レベル、ライダー7レベル。
カンモン: 高いなライダー技能(笑)
GM: レッサーマンティコアの必要レベルが6からでしたので…
サンドラ: 真語魔法の<ファイアーボール>が使えるのか。
ディート: まあ、いいんじゃないか。報酬も破格だし。
GM: では、君たちが受けようとすると、店長ルーサーがやってきて4つのブローチをテーブルに置く。
ルーサー: 「おう。これを付けておけ。ダーレスブルグなら、ウチの知り合いも多い。多少は顔を利いてくれるだろう」
GM: 見るとブローチには雷と剣の衣装が施されている。安物だ。
トロント: 安物なのか(笑)
GM: まあ、冒険者の店のエンブレムで、店で認められた証ですね。別の場所へ行っても、とりあえずは他の店で一人前と認められた証明的な意味合いを持ちます。
ルーサー: 「まあ、まだまだヒヨッ子ではあるがな。ここらで外に出て腕と見聞を磨くのもありだろう」
GM: と笑ってくれます。
トロント: アクセサリー欄に書けばいい?
GM: いえ、それすら必要ありません。あくまでもファッション的な意味合いなので。
ディート: 場所によっては複数の冒険者の店に所属するときもあるからね。その都度アクセサリー欄を埋められたら困る。
トロント: なるほど。
カンモン: で、出発はいつごろになるんだ?
タップ卿: 「うむ、出発は2日の昼だ。ライダーギルドの前で待ち合わせよう」
カンモン: あいよ。
GM: さて、会話に参加していないレッサーマンティコアのハングリー君ですが…
カンモン: おう。どうした(笑)
GM: 君たちの会話中も、しばし食べるのを止めて、君たちをじーっと見てる。
トロント: ほう?
GM: そして、しばらくするとまた出されたハムの塊にむしゃぶりつくね。
一同: ????
GM: 昔の人は、梅干しをさらに載せてじーっと眺めていると、口の中に唾が出てくる。その酸っぱさをオカズにご飯を食べていたそうだ。
ディート: エア食事か!?
(一同笑)




