3-2話
GM: では、強行軍でルキスラの南。城塞都市ティザに到着します。人口約8000人。肥沃な帝国南部の農耕地帯を管理する都市で、その生産量は他国に輸出するほどです。とはいえ、出発した時間から到着したのは深夜ですが、そのまま野宿して、次の日の朝、再び出発します。
カンモン: ティザについたのに宿屋には泊まらないのか。
GM: 夜なのでティザの城門は閉じています。普通の旅なら、それを考慮して途中で一泊。ティザで一泊となるのですが、今回は強行軍なので、一気にここまで来ています。一応、都市のすぐそばなので、外敵の危険は少ないでしょう。泥棒に注意する必要はあるのですが、高価な荷物を運んでいるわけではない上に、武装している君たちを襲うような奴はいません。
GM: ティザを出て途中で休憩をはさみつつ、『神へのきざはし』へ。これは雲を貫く巨大な山です。恐ろしいことにその頂上は見えません。地質学的にもこんな標高の山は存在するわけがなく、超常的な力が働いていると言われている秘境の一つです。
ディート: 某60階の塔みたいな感じかね?
サンドラ: 例えが古いよ(笑)
GM: ハザリアの案内で、『神へのきざはし』の麓にある山脈の一つへ向かいます。麓は木々が生い茂る斜面で、見れば小さな小川が流れています。ちなみに、地図を見ると帝国の主要大河「ローラ川」の源流が、この『神へのきざはし』っぽい。まあ、その川に流れ込む何本もの支流の一つと思ってください。
ハザリア: 「おばあちゃんの小屋はこっちです」
GM: そういうと、ハザリアが君たちを案内します。あいにくと強行軍により日は暮れ、夜空には月と星々がきらめいています。どうでもいい事(※)ですが、シーンの神官であるハザリアは【暗視】能力を付与するシーンの特殊魔法『ナイトウォーカー』の魔法が使えます。
※もちろん。どうでもいい事なわけがないのである。
①(残り10時間): 「森への入り口」
GM: 斜面に、踏み固められた細い道ができている。その周囲には草が生い茂り、小さな藪などが点在している。ハザリアは、その細い道を進みながら斜面を登っていく。
②(残り9時間): 「切り株のある分かれ道」
GM: 細い道は切り株の所で二股に分かれている。片方は斜面を登り深い森へ。もう片方は斜面を下る方向だ。切り株は誰かが使ったものだろう手造りのカップが置かれ、切り株の横には、そこが抜けて壊れた桶が打ち捨てられている。ハザリアは、そのまま下る方の道を進んでいく。
③(残り8時間): 「隠居者の小屋」
GM: 道を進むと、夜目にも建造物が見えてくる。ログハウスのように丸太で作られた小屋だ。小屋の横には柵で覆われた畑のようなものも見える。しかし、近づいていくと異常事態に気が付く。柵は壊され畑は荒らされている。小屋の扉は砕かれ、その破片が周囲に飛び散っているのだ。それを見たハザリアは血相を変えて小屋に走り出す。
ディート: まあ、依頼人だし単独行動にならないようにオレ達もついていくよ。
GM: ハザリアは小屋に飛び込み、君たちも続く。小屋の中はめちゃくちゃに荒れている。そして、そこには二体の蛮族の死体だ。『魔物知識』判定を二回してください。
カンモン: 「8」の『13』。「8」の『13』
GM: ゴブリン(ML2)とボガード(ML3)だね。ボガードはホブゴブリンみたいな大柄の蛮族で、戦闘を好む好戦的な種族だ。一回攻撃が命中するともう一度攻撃できる【連撃】という特殊能力を持っている。
トロント: ほほう、いいね。
サンドラ: PCはこの特技は取れないよ。
トロント: 差別だ(笑)
ディート: 蛮族の死因はなに?刀傷?
GM: 強い衝撃を受けたようだね。骨が砕けたりしている。ちなみに、ゴブリンの弱点は『魔法ダメージ+2』だ。
カンモン: なるほど。
※ちなみに、これをGMのテクニック「ミスリード」という。(真相は後程)
ハザリア: 「遅かった…」
GM: と、悲痛な声でハザリアはつぶやきます。
ディート: ミッション失敗か?
GM: では、スカウト技能かレンジャー技能+知力ボーナスで判定をしてください。目標値は『12』
ディート: 「6」『10』
サンドラ: 「9」『15』
GM: では、サンドラは遠くで音が聞こえます。振動を伴うような音です。動きを止めて音を殺すと、他の全員にも聞こえてきます。次にセージ技能+知力ボーナスで判定してください。目標値は『10』です。
カンモン: なんだろう?「8」『13』
GM: (GMもサイコロを振る)。カンモンはこれが太鼓の音である事がわかります。それも、荒々しい野蛮な太鼓の音色で、蛮族の戦争などで戦闘部族を鼓舞するための物によく似ている事に気が付きます。
カンモン: ではみんなに伝えよう。「これは蛮族の戦太鼓だ。誰かが戦っている」
GM: すると、ハザリアもそれに答えます。
ハザリア: 「おばあちゃんです。それ以外考えられません」
ディート: 小屋の中に血の跡とかある?
GM: パッと見ないね。蛮族も斬られていないので血はほとんど流れていません。
ディート: その可能性は高いな。
サンドラ: 『足跡追跡』してもいいかね?
GM: どうぞ。大小さまざまな足跡があります。目標値は『8』で
サンドラ: レンジャー技能4レベルだから1ゾロじゃない限り成功だ。「10」『16』
GM: では、小屋から君たちがきた道とは違う道が小屋の裏から伸びています。そこに、足跡は続いている。『16』ならもう少しわかりますが、足跡の中に巨大なものがあります。40㎝以上あるような足跡です。
カンモン: でか!?
GM: 推定身長3m位はあるような怪物がいるようです。
トロント: まあ、倒す倒さないは置いておいて、足跡を追いかけるか。さすがに、バイクに乗るのはやめておこう。
⑥(残り7時間): 「巨石の道しるべ」
GM: 太鼓の音はどんどんと強くなっていきます。道なりに進んでいくと、一抱えもあるような大きな石を積み重ねて目印にした道しるべがあります。その周りに木々が生い茂り、森林地帯を作り出していります。
サンドラ: 『足跡追跡』「7」『13』
GM: では、足跡はそのまま上へと続いています。そこで、ハザリアはいったん足を止めます。
ハザリア: 「ここから先は、森から山岳地帯に代わっていきます。蛮族がいるなら、奴らに見つかる可能性があります。偵察に向かいましょう。倒せるなら急襲する。だめなら、別の方法を探しておばあちゃんを見つけましょう」
サンドラ: となるとレンジャー技能の高いアタシかね?
ディート: 一応、敏捷度も高いしスカウト技能もあるからオレ。
GM: 一応ハザリアさんもレンジャー技能を持っているから大丈夫よ。
トロント: じゃあ、ボク等はここで待機しますか。
カンモン: 猫だからいけそうな気もするけど、逆に食料にされそうだからやめておこう。猫としてレンジャーかスカウト技能取るべきかな。街猫か、野生猫か…
GM: 何を迷っているんだ。(笑)
トロント: どっちにしろ、葉巻咥えている段階で不自然極まりない(笑)
⑦(残り6時間): 「戦太鼓の陣幕」
GM: 木々がまばらになり、斜面が急になって山肌が見え始める。そこに、十人近い蛮族がいる。太鼓をたたく者以外が、厳しい目を山の斜面に向けているところだ。時折、山間から「プォー」と角笛の音が返ってくる。
ディート: どうやら、別働隊を出しているようだな。
GM: では、まずレンジャー技能かスカウト技能で『隠密』判定をしてください。
ディート: 「7」で『13』
サンドラ: 「11」の『17』
GM: (山岳地帯を警戒しているので-4のペナルティーが入って目標値は『11』だから…)特に気が付かれないようですね。さて、蛮族の中にひときわ大きな蛮族がいます。巨大な蛮刀を持ち、体にはいたるところに刺青を掘りこんでいる。筋骨隆々の怪物です。『魔物知識』判定をお願いします。
サンドラ: …
ディート: …
(一同笑)
カンモン: 吾輩スキルを手に入れる。そう心に誓ったよ。
GM: そんなこともあろうかとハザリアさんが…(サイコロを振る『15』)…成功しています。
ハザリア: 「アレはダークトロールです。争い神ダルクレムの神官にして強力な戦士です」
GM: ちなみに、モンスターレベルは8です。データも見ていいですよ。
トロント: 命中力『11(18)』。勝てる気がしない。(トロントの命中力は「5」)
GM: まあ、普通は勝てません。
ハザリア: 「いったん戻りましょう」
⑥(残り5時間): 「巨石の道しるべ」
GM: では、巨石の所に戻ってきました。ハザリアさんは、考えるように顎に手を当てています。
ハザリア: 「まずいですね。あそこは山岳地帯への道です。あそこに陣取っている以上、敵はおばあちゃんを逃がす気がないようです」
サンドラ: ほかに道はないの?
ハザリア: 「入口までもどれば、そこから沼地を通って抜けられるかもしれません。ですが、大回りになる上に、沼地を進む必要があります。沼地にはどんなモンスターがいるかわかりません。エルフがいない私たちでは、水の中での戦闘は危険です」
ディート: まあな。SWは水中戦闘のペナルティーがきついからな。
サンドラ: 一応、『生命力』ラウンドなら水中にいられるよ。
カンモン: 妖精魔法のレベルが低いんで、水中対応の魔法はまだない。
トロント: 他に道はない?
ハザリア: 「あとは、どこにつながっているかわかりませんが、『キノコの栽培所』からなら、山脈のどこかに出るかもしれません」
トロント: キノコの栽培所?
ハザリア: おばあちゃんが薬になるキノコを栽培している洞窟です。栽培所の奥にも洞窟は続いているので、そのどれかが山岳地帯に続いている可能性があります。そこは、ここから少し行ったところです」
トロント: じゃあ、そっちに行こう。
④(残り4時間): 「星空の広場」
GM: 獣道を下っていくと、木々の間に出来た空き地に出る。昼ならば日が差し込んだだろう。今は、そこから満天の星空が見える。みると、空き地の脇を小川が流れている。
ハザリア: 「あの小川の源流が栽培所だ。水はその奥から流れている」
GM: そういうと、小川に沿って進みます。すると、木々の生い茂る先にぽっかりと開いた洞窟が見つかる。
ハザリア: 「どうします?照明器具を付けるか?私の<ナイトウォーカー>の魔法をかけましょうか?」
ディート: いや。別に松明つければいいだろ。ここでMPを消費するのはもったいない。




