葛藤
更新遅れてすいません。
てか、まだ題名と何のつながりもない場面ですよね・・・。
は、早くそこんところ明らかにしたいです。
むしろなぜここまで引き伸ばされてんのか・・・。
気長にお願いします(´;ω;`)
エーラと少女が去ってから、車内はまた静かになった。だが、それに反してクライドの心中では様々な感情がうごめく。思い出したくない記憶がよみがえってくる。
目の前にいた、あいつが、あいつがっ!
考え出すと止まらなくなる。
今すぐにでも喉元を掻っ切ってやりたい。僕達家族が受けた以上の傷を仕返して、それでもきっと足りない。許さない。
脳内で狂い、叫ぶ感情を押さえたくない。頭の中にはそれを制する言葉もあった。クライドの中では鎖を外された獣の様な憎悪が暴れまわり、一方でそれを何とか抑えようとする声もあった。その声を何度も頭の中で思い返す。だが、それを追い抜くようにまた暴れ出す獣がいる。ふっと息が漏れた。
「ねぇ、どうしたの?」
隣でさっきの事件を気にも留めず、また誰かにしゃべり腐っていたさっきのお坊ちゃんが話しかけてきた。彼はクライドの顔に指を向ける。
「涙こぼれてるよ」
彼はさっきまではにかんでいた表情を硬め、事実を述べた。ふと頬に手を当てると、いくつかのぬるい水が指にまとわりついた。
「大丈夫?」
「あぁ、ごめん」
クライドは涙をぬぐって、つぶやいた(不意に出したその声はかすれていた)。
熱くなりすぎるな、今はまだ我慢するんだ。その時まで、じっと。
心の中で言い聞かせている事とは裏腹に、拳にどんどん力が入っていた。それととともに、さっきぬぐったはずの涙が止める間もなく、あふれてくる。自分でも息が荒くなっているのがわかった。
少年の視線を感じた。顔を上げても、少年はこちらから視線を合したままだ。深い藍色の目はクライドの脳の奥底までもを見透かしてきそうな感じだった。クライドはこのお坊ちゃんに妙な恐ろしさを感じて、自ら目をそらした。
すると、少年は何かを諦めたように、ふっと息を吐いて、それからまた今まで見せていたはにかみ顔に戻り、つぶやいた。
「大丈夫か~い。あまり一人で抱え込みすぎると、疲れちゃうよ。たまには深呼吸をして、お昼寝もしなきゃ」
「・・・うるさい」
頭をなでてこようとしていた少年の手をクライドはパッとはねのけた。
こいつに子ども扱いされるのはなんかむかつく。
お坊ちゃんは手がはねられた時、一瞬目を丸くしたが、すぐに細めて、またころころと声を上げて笑い出した。
「なんだ、抵抗する元気があるんだ。じゃあ心配ないね」
「お前に心配される筋合いはない」
「あはは~。まあそうだネー」
少年はクライドの返答を軽く受け流した。その後は少年の方が、自分の好きなレストランや昼寝場所などとりあえずどうでもいい情報をくれた。しかしクライドはその少年の気楽さに落ち着きを感じた自分に気づいた。話しているうちに、呼吸も落ち着き、涙も止まった。エーラと対面した時の、想定外の自分の取り乱しにも、不思議に思っただろうに触れないまま対応してくれた。クライドは偶然出会った名前も知らない少年に、多大なるうっとうしさと、少しの感謝を抱いた。
読んでいただきありがとうございました。
四話目は今日中にあげれたらと思いますけど、あんま遅くなったら明日投稿になるかもです。