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あの頃、僕は非日常を願ってた

「平凡な毎日だなあ」

あまりに平和すぎる何事もない平和な日々。今思えば僕たちはそんな日常にもっと感謝すべきだったのかもしれない。目の前にある大事なものなんてものはきっと失わなければどれほどありがたいものなのかなんてわかるはずもないからなのだろう。僕は平凡で退屈でただ目の前で行われている授業にもいまいち興味も持てずに授業中でもあるにもかかわらず日本史の教科書のページに落書きをしていた。山口先生(通称ヤマセン)の授業も聞かず。授業は豊臣政権についての説明をしているけれども全然違うページを開いていた。つまらなかったから。ヤマセンの説明も単調で面白くもなかった。あと10分で6時間目の終了のチャイムが鳴る。早く終わってくれないもんだろうか。そう僕はこんなありふれた毎日にもうあきあきしてしまってるんだ。だからと言ってこんな日々が急に変化することなんてありえない。だからこんな日々に期待もしないし、特に何かに夢中になったりすることがあるわけでもなく一日がこれからも過ぎてゆけばいいような気さえもするんだ。でも考えてみたらもう来年になれば、大学受験に突入してしまう。周囲もそろそろそんな雰囲気に 変化しつつあったんだ。僕の目の前にある現実は受験と生ぬるい友人関係だけ。僕は体育会系特有のギトギトとしたような関係が嫌いだった。だから部活にも入ることもなかったかといって勉強もする気なんてない。大学だってそこまで行きたいわけではないんだ。でもこのまま何もしないわけにはいきやしない。だから受験勉強をする。それだけだ。ただ漠然と、ほかのみんなとおなじようなことをするだけ。そんな風に流れに合わせるようにして、自分の中に確かにある不安を上手にごまかすだけの日々だ。こんな高校生活に意味があるのかもわかりやしない。多分僕だけじゃないと思うんだ。ただ流されながら過ごしていくこんな日常に何の意味も見いだせてない人は。ただ、一つわかることは、未来のことなんて誰もわかりやしないということだ。今の自分が想定できる未来なんてものは、今だけのものであって、世界情勢や周囲の環境の変化によっていくらでも覆されてしまうものであるからだ。明日になったらもう今日みたいに漠然と今日とおんなじ未来なんて描けている状況じゃないかもしれない。まあ、極端な話ではあるけれども。そう僕を含めてこの2年3組にいるみんなもこれから僕たちの身に起こる状況の変化には誰一人として気付いちゃなかったんだ。この時は。この時僕らには受験生として、勉強をする未来が用意されてたんだけれど。家に帰ってテレビを見たときから僕らの未来は変な方向に歪んで行ってしまったんだろうと思う。

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