3-2
「.....おい恭太郎」
「.....何、颯斗」
やっぱり面倒な事になったなと思いながら前を返事を歩く二人に聞こえないように隣にいる恭太郎に話し掛ける。
恭太郎も僕と同じくらい面倒、というか哀愁漂う顔で返してきた。
「どうにかしてくれ。
このままじゃお前達がクラスに行っても空気が悪いままだぞ」
「.....いつも思うんだけど何でこういった役目は僕なの?」
「いつも言ってるがそれぐらい察しろよ」
と言ってもこいつは鈍感だからそのあたりはまだ気付けないだろう。
今も僕の言葉で深い溜め息をついてジト目で睨んでくる。
全く、自分のハーレムぐらいしっかりと管理しないから修羅場イベントが発生すると言うのに。
「......まあいつものことだし、しょうがないよね.....」
恭太郎はどんよりした空気のまま前にいる二人まで行き声をかけた。
声をかけると二人は振り返り恭太郎が二人に何か言っている。
小声でなんといっているか分からないが、二人の顔が不機嫌から驚き、不安、安心、そして赤面とコロコロ表情が変わっていった。
ホントあいつは天然たらしのハーレム主人公だと痛感する。
あいつがイケメンなのもあるが、それ以上に性格がとても優しい。
自分勝手の優しさだとか、偽善とかではなく本当の意味であいつは優しい。
それに加えてスポーツ万能、成績優秀、学校内の戦闘ランクSときたらモテない方がおかしい。
戦闘ランクCの僕に比べればその差は明らかだ。
妬ましい気持ちがない訳ではないけど、結局のところあいつを僕は認めてしまってるため、妹を任せられると常々思っている。
兄としては妹を選んで欲しいと思っているけど、それはあいつ次第だから強制は出来ない。
しかし妹と恭太郎が付き合ったらゆくゆくは結婚する可能性もあるわけであり、そうなると僕はあいつの義兄さんになるわけだが......
「颯斗、もう大丈夫だよ」
「僕はまだ認めない!」
「は?」
思考の海に浸かりすぎて声がつい出てしまった。
「どうしたの?」
「いや悪い、一人事だから大丈夫だ」
「大丈夫ならいいけど。
ほら、もう二人共仲良くしてるよ」
恭太郎の視線を追って前を向くと仲良く話している二人がいた。
無理していたり、仕方なく仲良くしてる訳では無さそうだ。
「流石イケモテの恭太郎さんだな」
「.....ハァァァ...」
先程より深い溜め息を吐かれた。