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HORN~ホーン~

作者: 諷渡

変な虫の表記が出ますので、虫が駄目なかたは閲覧注意です。

ずいぶん前に書いたものなので文章がおかしい部分があるかとおもいます。

全ての有り得ない展開は、ここから始まった。



夢を見た。

ゾウムシのような角の生えたゴキブリ…確かにゴキブリだった。

そいつが壁に貼り付いていた。


誰だか判らないが、男性がそれを殺そうと殺虫スプレーを向けると、

それは角の先から何やら黄色い液体を撒いた。

液体が僕の目の前に降りかかる…


はっと目が覚めた。

じっとりと額に汗をかいている。

時計に目をやると、午前五時だった。

キッチンに行って水を飲み、再び眠りに付いた時には夢を見なかった。


再び目が覚めたのは、午前六時半だった。

朝食を摂りに一階へ降りると、いつもの様に朝のニュース番組が流れ

、いつものように家族が新聞を読んだり、こんがり焼けたトーストを頬張っていた。



ところが、その光景に目を疑うような物があった。

朝のニュース番組にも、父の読んでいる新聞の一面にも…

大々的に取り扱われている一つのニュース。


『ミュージシャンT 原因不明の死』


発見された遺体の左頬には剃刀負けらしい傷口が化膿し、

顔中に黄色の液体がぶち撒けられていたという。


僕はぞっとした。

―まさか、夢に出てきたあの虫か…

…いや、それはないか。

とにかく忘れよう。―


熱いコーヒーを一気に飲み干し、身支度をして家を出た。



僕の通っている学校は何の変哲もない公立高校で、

出来て数年のまだ新しい学校だ。

家から学校まで約一時間。

家から駅までの長い距離を歩いて通う。

だが今日はいつもと様子がおかしかった。


ツンと鼻を刺す何とも言えない臭いが町中に漂う。

まだ8時前だというのに、かなりの人が洗車をしている。

道路の隅に一羽のスズメが死んでいた。

傷ついた羽には沢山の虫が集っていたが、時間もなかったので素通りした。


学校に着いても学校中その話題で持ちきりだった。

世代は違えど有名なミュージシャンの謎の死に皆ショックを隠せなかった。

その事以外は、普段と変わらない平凡な生活を過ごした。


帰宅し、夕食後就寝するまでネットで怪現象について調べてみたが、

前例はなかった。

ただ一つ、速報で入ってきたニュースを覗いては。


『Tの遺体 傷口から謎の虫』


僕は驚いてそのニュース記事を読んだ。

死因を調べる為に遺体を一晩T氏宅に置いており、

翌日見に行ったら小さな虫が傷口に集っていたそうだ。


詳しい画像を見て、僕はまた仰天した。

…ゾウムシのような角、明らかにゴキブリ・・・・・・


正夢だ。

僕は正夢を見たんだ!!

いや、そんな事考えては駄目だ。

…眠ろう。眠って起きたらもう何もかも無かった事になってる筈だ。


そう自分に言い聞かせながら僕は布団に潜り込み、激しく打つ鼓動を抑えながら眠りに着いた。



翌日。


学校が休みの土曜日は普段なら気持ちが軽くなるものだが、今日はそういう訳にもいかなかった。

朝のニュースも新聞も、今度はこの話題で持ちきり。

『謎の虫 T氏遺体から発見』


そしてニュースを流していくと、

『五歳女児不審死 傷口に黄色い液体』

『猫の死骸に謎の虫』

など似たような事例が次々に流れてきた。


そしてやはり、死者の近くにいる『謎の虫』は僕の夢に出てきたとおりの虫だった。


僕は外の様子が気になって、家を飛び出した。

道路の隅には、緑色の小さな蛇が大量に死んでいた。数百メートル先までずっと。

蛇の口元にはやはり黄色い液体が散っていたが、恐らくあの『謎の虫』を食べようとしたのだろう。


そしてまた鼻を刺す臭いがする。

背筋が凍るのを感じた。

僕は慌ててそこから逃げ、家へ帰った。

そして母に、くん煙殺虫剤を使うように言ったが、

母は片付けが面倒だと使わなかった。


すると、キッチンの天井で虫が動いた。

ゴキブリ。

………いや、あの虫だ!!

とうとう家に来てしまったのか!

どうしよう…


母は虫が苦手で、既に部屋から立ち去っていた。他の家族も見当たらない。


―消さなくては。 僕の日常生活を取り戻す為に。―


気付いた時には、僕は殺虫スプレーを手に虫の元へ歩み寄り、スプレーの狙いを定めた。

虫は相変わらずその場に貼り付いている。

僕は震える手でスプレーを握った。

すると、虫が角の先から黄色い液体を撒き散らしだした。

確実に僕を狙った液体。

僕の目の前に降りかかる。

…僕は、もう、死ぬんだ…



―ジリリリリリリリリ…―


ハッと目が覚めた。体中汗でぐっしょり濡れている。

…夢か。そうか夢か!!

僕は夢の中で夢を見ていたようだ。

僕の右手には、昨日飲んで置きっぱなしだったジュースの缶が握りつぶされていた。


助かった。何もかも夢だった。

ホッと息を吐いて一階へ降りると、またいつもの様に家族が朝食を摂っていた。

ニュースにも、新聞にも、例の話題は載っていない。

試しに虫の事を話したが、誰も理解していなかった。



本当に嫌な夢だった。


高二の冬だった。

これ・・・実際に見た夢なんですね・・・。

二重にも三重にも夢を見てました。

とてもとてもおぞましい、ひどい夢でした・・・。

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