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目覚め
まるで幽体離脱した魂がいきなり身体に戻るように、俺は重力のようなものを感じながら自らの脳が造り上げた夢の世界から、まぶしい日差しによって現実世界へと戻った。
まだ朝だと思っていたが、日光がやけに強い。
時間を知るため、時計を探す。
が、昨日あったはずの場所に時計はなかった。
不思議に思いながら周りを探した。
時計は元々あった場所から遠く離れた廊下の上で無惨に転がっていた。
原形は留めておらず、昨日設定した六時ちょうどのところで針は止まっていた。
やれやれ、夏休み早々やっちまったよ。幸い親は旅行に出掛けていた。なんでも、結婚記念日だそうだ。頼むからクソ暑い夏をこれ以上暑くすんなよ〜。今頃ハワイのダイヤモンドヘッドを眺めているであろう両親の行動力を半分羨ましく、半分恨めしく思いながら起床した。リビングの時計は午後二時を指していた。