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〈不登校男子の白石くんとの出会い〉


僕がいなくなっても誰も悲しまないことが、嬉しかった。


教室に行っても、行かなくても、誰も僕のことは気にしない。


楽で身軽だと思っていた。堂々と学校を呪っていいと思えた。


     ………


「夏目さ〜ん、今日も課題見せてくれない?」


金子さんは申し訳なさそうに、手を合わせながら言った。申し訳なさそうにしているが、もう10回目だ。


「もう、仕方ないなあ」


作り笑いを浮かべながら課題のノートを金子さんに渡した。


「ありがと、夏目さん」


1ミリも敬う気持ちが無さそうな声色にイラッとしたが、クラスの中でも中心の人物を敵にはまわしたくない。


下校チャイムが鳴りクラスメイトもぞろぞろと帰り始め、私も帰り支度を終わらせた。「おい、金子。」廊下で金子さんが担任の吉高先生に呼び止められていた。


「よっしーかよ、課題は明日には提出しまーす。」


金子さんは調子よく吉高先生に伝えた。


「もう、みんなは出しているから、当たり前だ。明日には必ずだせ。」


吉高先生はため息をつきながら、職員室の方へ戻っていった。


「てか、よっしー今日機嫌悪くね?」


金子さんと同じグループでクラスの中心人物のひとり、岩井咲月だ。岩井と金子の二人は仲が良く二人でよく帰ってる様子を見る。


「それな?別に明日提出するしよくね?」


金子は悪そびれもせずに言う。


「てか、綾って課題の答えわかるの?私ギリギリに出したから、まだ課題ノート返されてないけど」


流石に明日も出せないと放課後残されるかもよと岩井さんは付け足す。


「大丈夫。また、夏目さんにノート借りたから」


金子はやはり反省の色がなさそうに言う。


「綾怖ーい、夏目さん可哀想だよお」


と言いつつ私のことを、見下しているようなニュアンスで笑った。ずっと金子さんたちの後ろについて行き、追い越さないように歩いていた。


が金子さんたちは他のクラスの子に話しかけられ、私は2人を追い越し下駄箱に着いた。外はぽつぽつと雨が降りだしており、傘も持ってきておらずさっさと帰ればよかったと後悔する。


「チッ…。」


下唇を強く噛み締める。金子さんといい雨といい今日はついていない。



「ねぇ、そこの子」



今のを見られたのかと、ビックリして振り返る。そこには色白で目鼻立ちが整っていて、容姿端麗という四字熟語が似合う同い年くらいの男子が立っていた。


「2‐7って東棟の2階だよね?」


いきなり話しかけられ、ビックリして引き攣りつつしかし、答えた。


「うん、そうだよ。」


まだ、さっきの金子さんたちとのやり取りの嫌な余韻が残っており小さな声で、おどおどして答えた。


「東棟か。1年の時は西棟だったからどうやって行くか覚えてないんだよなあ。」


その男子は頭を掻きながら困っていそうだった。雨が降りだしもう少し下駄箱に留まろうとか思っていた。ちょうどいい。


「あの、良かったら私が案内しようか?2ー7って私と同じクラスだし。」


ここにはいたくないと思い、勝手に言葉が出ていた。

「本当?確かに、クラスの子に案内してもらうのが一番いいか。お願いしてもいい?」


私たちは東棟へと向かう。


「えっと、あなたは私と同じクラスなんだよね、名前なんて言うの?」


私は、同じクラスだというこの男子の姿を教室で見たことがなかった。


「僕は白石 樹。君はなんて名前なの?」


白石は私を顔を横目で覗く。


「私は夏目優って言うよ。」


「でも、白石くんってあんまり教室で見たことないな。1度見たら絶対忘れない外見なのに。」


私はボソッと記憶を確かめるように呟く。


「そのはずだよ。姿を見てないのは僕がこの教室に来ていないからだよ。」


私はクラスに1つ席が空いていたのを思い出した。引き出しにはたくさんプリントが入っており、使用感の無さすぎる席を思い出した。


そして、口に出ていたことを白石の返事で気づく。


「って口に出てた。いきなり人の外見とかについて口出しするの失礼だよね。名前も同じ教室なのに覚えていなかったし。」


私は慌てて言葉を付け足す。


「ううん、大丈夫だよ。僕も夏目さんの名前、同じクラスメイトなのに知らなかったから。お互い様」ふふっと笑う。

……


教室につくと、既に人はいなく、静まり返っていた。白石は自分の机の引き出しを探る。


「あった、この本。」

学校ならではの苦しさや辛さ、それだけではなく少し前を向き、希望や温かさのある小説にします。

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