狂った熱
「おはようさ〜ん」
「今日二限目体育だよな。ダリぃなぁ」
「おっ、英二、もう来てるじゃん。早いな?」
教室の扉が勢いよく開き、いつもの三人の声が空気を切り裂く。
慎太郎、大五郎、権兵衛。
彼らの足音が床に響き、埃の粒子が朝の光の中で舞う。
しかし、英二は動けない。
スマホの画面に視線を釘付けにしたまま、息を潜めている。
診断結果の文字が、網膜に焼き付いて離れない。
「お〜い……英二、どうした?」
「何だよ、スマホ見て固まってんの?」
「……まさか、エロサイトか?」
三人が近づき、心配とからかいの混じった視線を投げかける。
英二の耳に、その声が遠く届く。
違う。
エロサイトなんかじゃない。
これは……凄い。
あまりに正確すぎて、怖いくらいだ。
胸の奥で、何かがゆっくりと膨らみ始める。
驚愕が、熱に変わる。
興奮が、静かに、しかし確実に破裂する。
英二はスマホを握りしめ、勢いよく顔を上げた。
目が、異様に輝いている。
「おい! お前ら!」
声が、教室に響き渡る。
「『スーパー性格判断アプリ、星狼一号』ってアプリ、知ってるか!?これ、滅茶苦茶当たるんだよ! マジで俺のこと、全部見透かされてる!お前らも絶対やってみろ! ヤバいって!」
三人は一瞬、言葉を失う。
英二の顔は、いつもの醒めた表情ではなく、
どこか狂おしいほどの熱を帯びていた。




