おれたち しんゆう
1
おれ、はえ。
おれのすきなもの、くさったたべもの くさいみず。
ごみの まわりから、ぶん ぶん ぶん と、おとがしたら
それは、おれのいる あいず。
くろいかげが、かれいに ぶんぶん まってるぜ。
2
こいつ、げんた。
こいつ、おれの『ともだち』だ。
げんたのへやは、いつも たくさんの おたからで、いっぱい!
3
かぴかぴに かわいた おかしのたべカス――
こぼして、カーペットにしみこんだジュース――
しきっぱなしで じめっと、しめったふとん――
たんまりと、たまった ふわふわの ほこり――
まさにパラダイス!
むしのなかまたちも あつまって、まいにち、まいにち、どんちゃんさわぎ。
『さいこうの くらしだぜ!』
4
そんな あるひ。
おれらの てんてき『げんたのおかあさん』が、へやにやってきた。
「なんなの!?この きたない へやは!」
へやをみた おかあさんは、ビックリ!
「はやく、かたづけなさい!」
げんたは、おかあさんから こっぴどく しかられた。
5
「なんで、かたづけなんか、しなきゃいけないのさ」
おかしのたべカスをあつめながら、
げんたは、ぶつくさと もんくをいった。
『そうだぜ、げんた。 そんな、めんどくさいことなんて、やめちまえ』
「でも…かたづけをしなかったら、また おかあさんに おこられちゃうよ」
『なに、てきとうに へのすみにでも ほおりこんでおきゃいいのさ。
「ようりょう」のいいやつってのは、そうしてるぜ』
「わかった、ぼくも そうする!」
6
げんたは ひとつ、うなずくと
たべカスも カーペットも ふとんも ほこりも ぜ~んぶ まとめて、
へやのすみへ ほおりこんだ。
「これで、よし。おかたづけ、かんりょう!」
『よし、あそびにいこうぜ』
7
つぎのひのあさ。
『た、たいへんだ!』
げんたのかおをみて、ビックリ!
かおじゅう あかい ぶつぶつだらけ、
めは きいろいヤニで、ぶあつくふさがり、
はなからは、はなみずが ごうごうと
たきのように ながれている。
「かゆい、かゆいよぉ」
ほこりとゴミを たくさん くっつけ、
かおじゅうを ぼりぼりと かきむしり、
げんたは ぼろぼろと なみだをながした。
8
「だから、ちゃんと、かたづけなさいって いったでしょ!」
「ごめんなさい……」
そのご、
げんたは おかあさんから、てあてと おおめだまをくらい、
べそをかきながら、ちゃんと かたづけをしなかったことを ふかく、はんせいした。
「ぼく、ちゃんと おかたづけするよ」
9
てあても、おわり。
さっそく、へやを きれいにするため
むしのなかまたちを よびあつめ
『おかたづけぶたい』が、けっせいされた。
ハエのひこうぶたいによる アクロバットな まどふきに――
ゴキブリたちの ぞうきんがけレース――
ダニたちは、えっさほいさと、こまかいすきまや みぞの ゴミをほりおこし――
くものねえさんは、いとで、くるくると、ふとんやまくらを ベランダにつるした。
げんたも まけじと、レースにさんか。
みごと、いっとうをかくとくし、
ゆかをピカピカにみがきあげた。
10
みんなで、ちからをあわせた おおそうじ。
あちらもこちらも ピッカピカ。
ゴミひとつない すみづらい いえになってしまった。
『だけど、げんたがげんきでいてくれるなら、ピカピカのいえも わるくねぇな』
だって、おれたち『しんゆう』だもんな。
【おしまい】




