第三話 現実の壁
神殿から家に戻ったウォル=水原は、早速水魔法を試してみることにした。庭で一人、集中して手のひらから水を出そうとする。
「えいっ!」
手のひらから勢いよく水が噴射された。予想以上の威力と精度に、ウォル=水原は感動した。
「すごい…こんなに自在に水が…」
しかし、次の瞬間に現実に引き戻された。
「でも、これをどうやって温水洗浄便座に…」
手から出る水をお尻に当てるとなると…それはもはや便座ではなく、単なる手動洗浄である。しかも魔法を使っている間は手が塞がってしまう。
「うう…これはちょっと…」
さらに問題は山積みだった。
まず、温度調整。今の水魔法では常温の水しか出せない。温水にするには何らかの方法で加熱する必要がある。
次に、持続性。魔法は術者の集中力と魔力に依存する。長時間の使用は難しい。
そして何より、装置化。手動では意味がない。自動的に動作する仕組みが必要だ。
「つまり…温水を作る魔法装置が必要ということか」
ウォル=水原は考えた。前世の知識を総動員して、この世界の技術レベルと魔法を組み合わせた解決策を模索する。
「まずは情報収集だ。この世界の技術レベルと、魔法装置というものが存在するのかを調べないと」




