第十八話 王都の現実
翌日から本格的な研究が開始された。しかし、ウォル=水原たちは早々に王都の厳しい現実に直面することになった。
「材料調達に三週間?」
エルナが資材管理部の役人に驚いた。
「はい。王都では調達に正式な手続きが必要なんです。申請書類の審査、予算の承認、入札の実施...」
「そんなに時間をかけていたら、研究が進みません」
「規則ですから」
役人は無表情に答えた。
一方、研究施設でも問題が発生していた。
「この魔法陣、設計が古いですね」
セオドアが既存の設備を調べて言った。
「古い?どういうことだ?」
王都の技術者が反発した。
「我々の魔法陣は百年の伝統がある。簡単に古いなどと言われては困る」
「いえ、伝統は尊重しますが、効率性の面で改善の余地があると思います」
「君のような若造に何が分かる」
王都の技術者たちは、地方出身の若者を快く思っていなかった。
さらに追い打ちをかけるように、資金面でも問題が生じた。
「研究予算の申請が却下?」
レディ・ハイクラスが困った顔をした。
「王室財政委員会が、費用対効果に疑問を呈したようです」
「費用対効果?」
「はい。『地方の小規模実験と王都の大規模事業は次元が違う。莫大な予算を投じる価値があるか疑問』とのことです」
ウォル=水原は理解した。王都には王都の論理があり、地方の成功がそのまま通用するわけではない。
「つまり、改めて価値を証明する必要があるということですね」
「そういうことです」
「分かりました。やってみせましょう」




