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第十五話 王都からの使者

 上下水道整備事業の準備が本格化して一週間が経った頃、町に豪華な馬車が到着した。王家の紋章を掲げた正式な使節団である。

「王都から使者が!」

町は一気に騒然となった。小さな地方都市に王室の使者が来ることなど、滅多にあることではない。

使者は優雅な服装に身を包んだ中年女性だった。

「私はレディ・エクセレント・ハイクラス、王室技術評価委員会の委員長です」

「技術評価委員会?」

町長が困惑した。そんな組織があることすら知らなかった。

「王国全体の技術革新を評価し、有用なものを普及させる機関です。今回は、例の水魔法応用技術について調査に参りました」

ウォル=水原たちは緊張した。王室の正式な評価となると、失敗は許されない。

「まずは実際の装置を拝見させていただきましょう」

レディ・ハイクラスは非常に専門的な質問を投げかけてきた。魔法理論、衛生学の知識、技術の応用可能性。どれも高度な内容だった。

「なるほど、確かにこれは画期的ですね」

温水洗浄器を実際に試した後、レディ・ハイクラスは感心した様子だった。

「特に、魔石に頼らず使用者の魔力で動作する点は素晴らしい。量産化への道筋が見えています」

「ありがとうございます」

「しかし」レディ・ハイクラスの表情が急に厳しくなった。「一つ問題があります」

「問題?」

「この技術の普及により、既存の医療システムに大きな影響が出る可能性があります」

ウォル=水原は身構えた。やはりその問題が王都でも議論されているのか。

「具体的にはどのような?」

「病気が減れば、医師や薬師の収入が激減します。彼らの生活を保障する対策なしに、技術だけを普及させるわけにはいきません」

これは予想外の観点だった。技術の普及が雇用に与える影響まで考慮しているのだ。

「つまり、普及は困難ということでしょうか?」

「いえ、逆です」レディ・ハイクラスが微笑んだ。「だからこそ、段階的で計画的な普及が必要なのです」

「段階的?」

「はい。まずは医師や薬師を新しいシステムに組み込む。彼らを『衛生管理士』として再教育し、予防医学の専門家にするのです」

ウォル=水原の目が輝いた。素晴らしいアイデアだった。

「敵を味方に変える戦略ですね」

「そういうことです。そして、この町をモデルケースとして、王国全体への展開を図りたいのです」

「王国全体への展開!」

町長が驚きの声を上げた。

「はい。成功すれば、アクアリス町は王国技術革新の聖地として名を残すでしょう」

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