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第十四話 同盟の結成

 敵対勢力の正体が明らかになったことで、ウォル=水原たちは戦略を練り直す必要があった。

「相手は医師組合と保守的な貴族の連合ですね」

セオドアが状況を整理した。

「バロンは一旦引きましたが、諦めたわけじゃないでしょう」

「そうね。きっと次の手を考えてくるわ」エルナが心配そうに言った。

「だったら、こちらも味方を増やそう」

ウォル=水原は決意を固めた。

「まずは成果を示すことです。浄化槽の効果を多くの人に知ってもらう」

翌日から、積極的な広報活動が始まった。町長の屋敷での実演見学会、効果の数値化、使用者の証言集め。

「すごいじゃないか!」

見学に来た町の有力者たちは、皆一様に驚いた。汚水が透明な水に変わる様子は、誰の目にも明らかだった。

「これで病気が減るなら、ぜひうちでも導入したい」

「費用はどのくらいかかるんだ?」

問い合わせが殺到した。しかし、ここで新たな課題が浮上した。

「一軒あたりの設置費用が高すぎます」

エルナが計算結果を示した。魔法陣の刻印、特殊な槽の製作、初期の魔法処理。すべて合わせると金貨二枚を超える費用がかかる。

「庶民には手が届かないわね」

「普及させるには、もっとコストを下げないと」

ウォル=水原は考えた。前世の知識では、インフラは公共事業として整備されることが多かった。

「町全体で一つの下水処理システムを作るのはどうでしょう?」

「町全体で?」

「各家庭から汚水を集めて、一か所で処理する。個別処理より効率的で安価になります」

町長の目が輝いた。

「それは素晴らしいアイデアだ!でも、そんな大規模な工事…」

「私たちだけでは無理です。でも、町が主導して、住民が協力すれば可能だと思います」

「つまり、公共事業として?」

「はい。上下水道は本来、公共インフラであるべきです」

この提案は町議会で大きな議論を呼んだ。保守派は反対したが、進歩派と商人たちは賛成した。

「経済効果を考えれば明らかにプラスだ」

「他の町に先を越される前に実現すべきだ」

「でも予算が…」

「商会が資金協力する」

マルクス商人が手を挙げた。

「この事業が成功すれば、我が商会の名声も上がる。初期投資として金貨五十枚を出そう」

さらに、思わぬ援軍が現れた。

「王都からも支援が来るかもしれません」

セオドアが報告した。

「魔法学院でこの技術の報告書を提出したところ、非常に高い評価を受けました」

「高い評価?」

「はい。実用魔法の画期的な応用例として、学会でも話題になっています」

「それは素晴らしい!」

「王室も興味を示しているようです。もしかすると、王国全体で導入される可能性も…」

この報告は、町全体に大きな影響を与えた。王室の注目を集める事業となれば、参加しない手はない。

「よし、アクアリス町上下水道整備事業の正式始動だ!」

町長の宣言により、異世界初の本格的上下水道事業が始まった。

しかし、バロンたちも黙ってはいなかった。王都に向けて、この事業を阻止するための工作を開始していたのだった。

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