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第一話 転生と記憶の覚醒

 水原健太は、その日も朝早くから水道工事現場に向かっていた。二十八歳、水道工事歴十年のベテランとして、彼の技術は会社でも一目置かれていた。配管の設計から施工、トラブルシューティングまで、水に関することなら何でもこなせる男だった。

「今日は新しい住宅地の上水道工事か…」

トラックを運転しながら、水原は設計図面を思い浮かべていた。効率的な配管ルート、適切な水圧管理、将来のメンテナンスのしやすさ。そんなことを考えていた矢先だった。

信号待ちで停車していたトラックに、居眠り運転の大型トラックが突っ込んできた。

「あ、これは…」

水原の意識は、そこで途切れた。


次に意識を取り戻したとき、水原は奇妙な感覚に包まれていた。まるで深い水の底に沈んでいるような、そんな感覚。しかし息苦しさはない。むしろ心地よささえ感じていた。

時間の感覚もあいまいで、どれくらいそこにいたのかも分からない。ただ、時折上から声が聞こえてくることがあった。

「ウォル、しっかり食べなさい」

「ウォル、今日は魔法の練習よ」

「もうすぐ十三歳ね。ギフトの判定が楽しみだわ」

ギフト?魔法?何のことだろうか。水原の意識は混沌としていた。

そして運命の日がやってきた。


「うう…トイレ…」

ウォル・アクアートは目を覚ました。十三歳の誕生日の朝だった。膀胱の圧迫感に急かされるようにしてトイレに駆け込む。

「ふう、すっきりした」

用を足し終えて、ウォルは何気なく便器の横のレバーに手を伸ばした。温水洗浄のボタンを押そうとして…

「あれ?」

そこには何もなかった。

その瞬間、ウォルの中で何かが弾けた。記憶が、感情が、知識が一気に流れ込んできた。

「俺は…水原健太…?いや、今はウォル・アクアート…?」

二つの人格、二つの記憶が混じり合い、やがて一つになっていく。現代日本で水道工事に従事していた水原健太と、この異世界で生まれ育ったウォル・アクアート。二つの人生が融合した瞬間だった。

「そうか…俺は転生したのか…」

そして次の瞬間、ウォル=水原は愕然とした。

「温水洗浄便座がない!!!」

この異世界には、現代日本の快適な設備が一切存在しなかった。トイレは汲み取り式、風呂は存在せず、上下水道なんてものは影も形もない。

「これは…これは由々しき事態だ…」

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