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10日ぶりに学園に来た王子達。
学園の雰囲気がいつもと少し違うことに気が付いた。
「なんだか浮かれている?」
「何か行事があったか?」「いや」「だが、皆そわそわしていないか?」
状況はわからず、昼休みになったため食堂に向かうと賑やかだった。
「なんか、人が多くないか?」
戸惑う王子達の横を数人の生徒が通り過ぎていくが、王子達には気が付いていないようだ。
「あ~なんで今日俺は当番なんだ!」
「私もよ!!しかも昼に用を言いつけるだなんて、ありえないわ」
「私、今日お休みの子の代わりなのよ??」
「俺なんて今日の昼を楽しみにしすぎて授業中失敗しちゃってさ・・・今からそのやり直しだよ」
とほほ、という声が聞こえてきそうな愚痴が聞こえてきた。
「明日こそはルナ様と」
「そうだ、リア様やクララ様と」
「メメメメグ様~まっててくださいぃ」
「今、ルナって言わなかったか?」
「そう聞こえた、な」
「リアとクララ?」「メグって・・・・?」
幼いころに呼んでいた愛称を聞き、王子達は困惑していた。
「まさか・・・な」
そういってそっと食堂をのぞくと、人だかりの中にルナマーリア達がいた。
しかも笑顔で談笑しているではないか。
「どうなってるんだ?」
「淑女のマナーはどこへ行ったんだ?」
「あんな笑顔で?しかも男もいるじゃないか!」
「低位貴族とは付き合えないんじゃなかったのか?身分違いだとかいってたんだろ?」
王子達の目の前には今日一緒に食事をするグループの令息令嬢たちと談笑しながら食事をしているルナマーリア達の姿があった。
王子達は茫然とそれを見ているうちに昼休みが終わった。
ルナマーリア達は同じクラスの令嬢たちときゃいきゃいと楽しそうに話し王子達の横を通り過ぎて行った。
「あのルナマーリアが俺に気が付かなかった、だと?」
レイモンドは今までどんな時でもルナマーリアから挨拶をされていた。
どんなに人の多い場所でも、もちろん学園ですれ違う時でも。
レイモンドにとってそれは当たり前のことであったのだが、『お休み』中のルナマーリアには関係のないことなのである。
王子のそばを通り過ぎるとき、ルーナリアだけは王子に気が付いており
(無視されて今、どんな気持ち?ねえどんな気持ち?)と聞きたい気分だったのは内緒だ。