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  勢いで飛び出したララは誰も追いかけてきてくれないことに気が付き、

「なんで誰も来ないのよ、意地悪、ケチ」

などとぶつぶつ言いながら歩くことにしたのだが、前から来た数名のうち誰かにぶつかってしまい、転んでしまったのだ。

「いった~ぁい、どこ見て歩いてんの!ララ転んじゃったじゃない」

ぶつかったのは王子達。

「え??」

王子達が歩いていれば、道をあけるのが暗黙のルールである。

王族に万が一があれば学園内での出来事でも本人はもとより親も兄弟も、最悪だと親類縁者にまで被害が及ぶ可能性がある。

触らぬ神に祟りなし、王族には寄らず触らず、である。

だがララはそんなことはつゆ知らず、思い切りぶつかってしまったのだ。

「早く」

「え?」

「早く助けなさいよ!」

「あ、はい」

ララの勢いに押され、側近の一人がララの手を取って立たせてあげた。

「あ~痛かった、もう、気を付けてよね!」

ララが手を腰に当ててふんす、と鼻をならす。

「おい、不敬だぞ!お前」手を貸した側近以外の側近がそういってララを叱りつけた。

「は?不敬って何?」

「こちらは第2王子様だ、お前失礼だぞ」

「第2王子?え、本当に?本物?わぁ~初めて見た、すごぉ~い」

うわさに聞いていた王子に遭遇したララは大興奮。

一人できゃいきゃいと騒いでいる。

「ぷっ、そんな反応されたの初めてだな」

普通ならカーテシーをされるか、道をあけてすっと頭を下げる。

婚約者候補のルナマーリア達ですらスカートの両端をつまみ、簡易なカーテシーをする。

王子だと聞いて目を輝かせてまるで視察中の孤児。

結局王子自身が了承したため、ララは罰には問われなかった。


 それからのララは王子達を見ると「お~い、王子様~」と言って駆け寄ってくる。

「おい、ララ、走るなよ、また怒られるぞ」

「大声もだめだぞ」

「本当に貴族令嬢としては落第だな」

始めのうちはそんな馴れ馴れしいララに厳しい視線を投げていた側近たちは王子がそれを面白がってなあなあにしているうちにそれに慣れていった。


そのうち「ねえ、王子って呼ぶのなんかよそよそしくない?」とララが言い出し、ララは王子達を愛称呼びし始めた。

ララの態度はエスカレートしていき、休憩時間はいつも王子のクラスに入り浸り、昼は当然一緒。

放課後も街歩きへと誘う。

王子や側近たちにベタベタと絡みつき、大声で愛称を呼ぶ。

それを王子が 面白い と面白がっているので、側近たちも次第に感覚がマヒしてきた。

ララも自分だけが特別扱いされていることを自慢に思い、周囲にもわがまま放題を繰り返すようになっていった。


学園内ではそんな王子達を眉をひそめてみるものが多い。

高位貴族たちは馴れ馴れしいララを注意しない王子達にイラつき、低位貴族たちは自分達と同じ身分なのに王族が不遜なララを容認しているのに自分達には許されない事にイラついた。

学園は不穏な雰囲気に包まれていた。

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