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 「何だ?」

「なんて失礼な」

周囲の声にレイモンドたちは怒りをあらわにした。

だがそんなレイモンドたちを歯牙にもかけず『お休み』ムーブは止まらない。


「あ、あの、ルナマーリア嬢?」

周囲の声に少し気後れし始めたレイモンドは、それでも気を取り直してルナマーリアに話しかける。

ルナマーリアははぁ~とため息をついてようやくレイモンドたちに向き直った。

「何?」

「え?」

「「何?ってば」

「あ、いやその・・・久しぶりだからちょっとゆっくり話したいと」

「わたくしには話したい事なんてないわ」

「え、でも」

「今更何を話すことがあるの?」

「いや、その近況とか?」

「あなたの状況なんて把握済みよ?

逆に聞くけど、あなた何の情報もとってないの?」

「は?」

「え~、マジで~?」

マーガレット達がその会話に乗ってきた。

「ちょ、いくら飛ばされたからって貴族としてありえなくない?」

「相変わらずじゃん」

「自分たちの世界で閉じこもっているのね」

「自分しか見えてないのよ、いつまでも」

「よくルナに堂々と声をかけられるわよね」

「私たちにも勝手に声かけたりして」

「「「ウザいわよね」」」

そういいながらレイモンドたちを見ながらクスクス笑う。

「な?」

「ちょっとひどくないか?」

「そうだよ、いくら親しい仲でもそんな言い方はないだろう」

たまりかねてレイモンドたちが反論すると、ルナマーリア達はじっと見返してきた。

「な、なんだよ」

「親しい仲って何?」

「いつまで幼いころのことを引きずってるの?」

「なっ!」

「エリザベス嬢、ちょっとひどくないか?」

「そうだ、そうだ」

「あなたたちはどの立場でさえずっているのかしら?」

「は?」

「え?」

「さえずっ?」

「リーリア嬢?どういう意味?」

「今のわたくしたちはあなたたちとは何の関係もないんだけど?」

「そうそう、貴族同士ってだけよね」

「顔見知りってだけよね」

彼女たちの言葉に驚くレイモンドたち。

「そんな、なんでそんな冷たいこと言うんだ」

「そ、そうだぞ!俺たちの仲じゃないか」

「俺たちの仲?って何?」

「え?とその幼馴染・・」

「正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()手ね」

「あ、う・・・」

「でも、いずれ婚約するはずで  「婚約者でもないくせに、って全員で叫んだのはいつだったかしら?」

かぶせるようにマーガレットがバッサリと行く。

「そういうこと、話すことなんて今更何もないわ。じゃね」

そういってルナマーリアは

「皆、つまんないからルーの所に行こ」

そういってくるりと後ろを向いて立ち去ろうとした。

「ま、待ってくれ!ルナマーリア嬢。

私は今でも君の事を!」

そういってレイモンドがルナマーリアの肩に触れようとした瞬間、バシッと扇で払いのけられた。

「いたっ!何するんだ!」

「何するんだ?ですって?あなたこそ何しようとしてんのよ。

またワタクシを痛めつけるつもり??」

レイモンドには全く身に覚えがないため困惑していると、

「やだ~覚えてないの?」

「やった方は忘れてもやられた方は覚えてるんだよね」

「あれはひどかったもん」

「あんなことしておいて忘れるとかないわ~」

エリザベスたちがひそひそと、だが周囲に聞こえるように話をしてくる。

「ね、ルナ、あの時は痛かったのよね」

「そうそう、見ているこちらもつらかったもん」

「そうなの、わたくしあの時のこと思い出すとまだ震えてしまうの」

「大丈夫よ、今日は本を持っていないから」

その会話でレイモンドたちの一人が気が付いた。

「もしかしてあの時投げた本の事?」

「あの時って?」

「ララが皆にひどいことを言われたって泣いてきて、それを叱りに行った時があっただろう?」

「あー、なんかそんなことあったかも?」

「その時にレイモンドが投げた本がルナマーリア嬢にあたってしまって」

「あの時か?そういえばちょっと悪いかと思ったけど、ちょっとかすっただけだったろう?」

「そうだったような・・・」

「あんなことでこんなに責められるのか?」

レイモンドたちのぼそぼそとした反論にルナマーリア達はきっと睨み返した。

()()()()()ですって?」

「ひっ!」

「あなたたちの花畑な頭の中だと幼馴染で婚約者候補である貴族令嬢に対して物をぶつけたのよ?」

「それをあんなことで済ませるの?」

「謝罪もなしだったわよね」

「本当、無礼なのはどっちって話よね」

「本当に、こじらせるとああなるのかって何故か納得してしまったわ」

「「「「ちいさいわよねぇ」」」」

ルナマーリア達の声がそろった時、レイモンドたちの顔色は真っ白だった。


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