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   ルナマーリアたちの 話はまだまだつづく。

「そういえば、貴族令嬢は腹黒って言ってたわ」

「すました顔で腹黒ですって」

「やーね」

「高位貴族になればなるほどお高くとまってとかも言ってなかった?」

「「「いわれた~」」」

「自分たちも高位貴族のくせにね」

「本当に~」

「あのララみたいに素直になればいいですって~」

「やだ~、いくらなんでもあんなに下品なふるまいはできないわ」

「わたくしは無理~」

「わたくしも無理~」

「わたくしも無理~」

「わたくしも無理~」

そういって皆がさっと扇を取り出して見せたが、広げることもなく笑いあっていた。

「そういえば扇持っているだけで厭味ったらしいとかなんとかいってたわよね~」

「どんだけ偏見~」

「自分たちだって胸にキラキラ貴族章つけて歩いているくせにね」

「そうそう、それで 

俺たちは低位貴族の気持ちがわかる キリッ

ですって」

「やだ~恥ずかしい~」

「あのララ以外はレイ達の事を軽蔑してたってのにね~」

(え?俺たち軽蔑されたの?)

(そんな、ララと仲良くしているのを皆憧れてくれていたんじゃ・・・)

「そうそう、あのララと一緒に行った視察もね~」

「視察って単なる街歩きでしょ?」

「そうそう、立ち入り禁止区域に勝手に行って

俺たちは庶民の味方 キリッ

だもん、恥ずかしすぎてわたくしなら埋まるわ~」

「わたくしも深い穴掘っちゃうわ~」

「あの勝手な行動でどれだけの人に迷惑かけたか知ってんのかしらね」

「知らないんじゃない?」

「絶対わかってないわよ、じゃなきゃ謹慎中に謝罪文を送ってるわよ」

「護衛団長も気の毒よね、減俸でしょ?」

「王子付きの侍従長は左遷されてなかった?」

「側近のそば仕えも再教育の上減俸らしいわよ」

「ひど~、それなのに謝りもしないの~」

「やだ~、それって貴族以前に人としてありえなくな~い?」

「どれだけ周囲の事に無関心なんだかねぇ~」


ルナマーリア達の話はまだまだ続いた。

「そうそう、わたくしたちは単なる幼い頃からの顔なじみってだけらしいわよね」

「あ、それ言ってたわね」

「まったく何様なんだか、あ、王子様か」

「王子と仲間たち様、よ」

ルナマーリア達がまたクスクスと笑いあう。

(あれ?いつもの笑い方じゃない?)

(なんであんな自然に笑っているんだ?)

(まるで昔の頃みたい、いや、あの時よりももっと可愛くなってて・・・)


「お嬢様方、そろそろいいかな?」

ミーセン公爵がそういうと、ルナマーリア達は はい、と返事をした。


「さてと、ここまでの話を聞いて、お前たちの言い分を聞いてみようじゃないか。

皆それでよろしいか?」

ミーセン公爵の問いかけに王子達以外の全員がうなずいた。

「・・・・」

だが、王子達は何を話していいのか戸惑っていた。

親たちの話から、どうやら自分たちは貴族のくせに貴族批判をしている痛いヤツだと認識されていることに気が付いたのだから。

そして、ルナマーリア達がまるでララのように話をしているのだが、その内容が自分たちが彼女たちに対して行った言動に対しての反撃だと感じられた。

そんな風に気が付いてしまった今、何を話せばいいのだろうか・・・。

「何もないのか?」

重ねて問いかけられたが何も言えない王子達。

「ま、そうだろうな。

貴族としての生活を送っておきながら貴族への批判を繰り返し、その言動も粗野にすることをあえて行うという幼稚さ、恥ずかしく思えて当然だ」

(幼稚!!!さすがミーセン公爵)

(粗野な言動って見てて痛いよね)

(恥ずかしいよね)

(ねえ今どんな気持ち?って聞きたい!)


「ま、こうなっては仕方があるまい。

お前たちはしばらく平民の暮らしをしてみればいい。

あれだけ貴族の批判をしていたのだ、本望だろう?」

ミーセン公爵の言葉に王子達は茫然とした。

「平民の暮らし?」

「平民と一緒に暮らせと?」

「そんな!学園は、学園はどうするんですか?」

「俺、いや我々は確かに少し嫌な態度をとってしまったかもしれませんが、ルナマーリア嬢たちも貴族らしからぬ言動をしていたではありませんか」

「そうだ!我々だけ責められるのは解せぬ」

わあわあと王子達が騒ぎ出したため、ミーセン公爵は王子達の机をバンとたたいた。

「「ひっ」」

「静かにしろ、ご令嬢たちは今『お休み』中だと陛下が最初に話していただろうが。

『お休み』中のままで話して何が悪い。

お前たちも貴族を『お休み』するだけのことだ。

それだけのことをしたんだよ、お前たちは!

しっかり『お休み』するがいい」

「「「「・・・・」」」」

そのまま王子達はどこかへ連れ出されていった。


「うふふ、それにしてもルナちゃんたち、ずいぶんと『お休み』令嬢の練習頑張ったのね」

王妃がそういって笑った。

「ええ、わたくしたちかなり頑張って練習しましたの」

「淑女のマナーよりも難しかったですわ」

「何回もやり直ししましたのよ」

「うまくできてよかったわ」

ルナマーリア達がそういうと、周囲の皆はふふっと笑みをこぼした。


今日のこの日のために、ルナマーリア達はルーナリアに脚本を書いてもらい、さらに監督まで頼んで『お休み』令嬢としてのけいこを積み重ねたのだ。

本番は緊張したが、王子達をぎゃふんといわせたようで彼女たちは大満足だった。







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