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「今日は何の集まりなんだろう?」
王子達は久しぶりに王宮へと集められた。
「なんでしょうね?」
「公爵達も呼ばれているらしいぞ」
「俺たちの親も呼ばれているしな」
「う~ん」
しばらく考えていた王子達のうち一人がはっとした顔でポンと手をたたいた。
「婚約の話ではないでしょうか?」
その言葉に王子達はパッと顔を輝かせた。
「そうか、そうだよな」
「それだよ!最近はなかなか会えなかったけど、ルナマーリア達は婚約を望んでいたんだしな」
「な~んだ、あいつら恥ずかしくて俺たちに会いにくかっただけなんだな」
彼らの思考はあさっての方向へ飛ぶ。
もはやあさってを通り越して未知なる宇宙まで飛んでいたのかもしれない。
「そうか、だったらちゃんとエスコートしてやらないといけないな」
誰が言い出したのか、ルナマーリア達をエスコートするために馬車口に行くことにした。
(違う!絶対違う!!)
(なんでルナマーリア様たちが恥ずかしがってるなんて思えるの??)
(節穴・・・)
(頭の中どうなってるんだ??)
メイドも侍従も騎士も心の中で思いっきり不敬なことを思っていた。
(ハンドサインでルナマーリア様たちに連絡を・・・)
メイドがそう合図をだすと、
(公爵家から連絡、王子達を止める必要なし、繰り返す、王子達を止める必要なし)
ハンドサインを確認した使用人たちが少し戸惑ったものの、王子達を見守る体制にシフトした。
ルナマーリア達より先に馬車口についた王子達は何故か馬車から見えないところで待機していた。
「突然現れたらより喜ぶに違いない」との思考らしい。
(うっわ、より気持ち悪)
(ハンドサイン止められてるから連絡できないけど、ルナマーリア様たち逃げて~)
やがて馬車が到着した。
人の移動する音がして、王子達の待っているところに近づいてきた。
「ルナマーリア嬢!」「マーガレット嬢!」「リーリア嬢」「エリザベス嬢!」
王子達がそういって突然飛び出した。
「「「「さあ、恥ずかしがらずにこの胸に飛び込んでおいで、私の天使」」」」
彼らは両手を広げて彼女たちがその胸に飛び込んでくる準備をしている。
うっとりとしたその眼は飛び込まれる妄想に酔いしれて固く閉じられていた。
だが、いつまでたってもその胸に何かが当たることはなく、王子達はそっと目を開けた。
「殿下もお前たちも何をしてるんだ?」
そこにいたのは公爵達。
「殿下も側近達も道の真ん中で両手を広げて何をしている?」
「まさか愛の翼をはためかせる練習??」
「ぐほっ!!辺境伯!!やめてください!!」
「練習はもっと廊下の端でお願いしたいものだな」
がはは、と笑いながら公爵達が通り過ぎて行った。
「「「「あぁぁ・・・・・」」」」
恥ずかしさに王子達は膝から崩れ落ちてしまった。
王子達より先に集まった公爵達は
「なんであんなところであんなポーズをとっていたのか?」
「彼らの考えは理解できませんな」
「まったく」
待機室に集まっていたルナマーリア達は
「レイモンド殿下たちは何をされていたのかしら?」
「さあ?」
ルナマーリア達が下りた馬車口の反対側に王子達はいたのだ。
よって、声は多少聞こえるのでレイモンド達だとわかってはいたが、何をしていたのか、ルナマーリア達にはわからなかったのだった。
王宮の広い会議室、全員が集まり会議が始まった。




