与党過半数割れの初の国会! 野党にも責任が求められるが、酷い案ばかり!
◇野党はこれまで“ぬるま湯”にいた
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は自公政権が少数与党になってから初の臨時国会の「野党の責任」と「見どころ」について解説をしていこうと思います。
質問者:
自民党は公明党以外の意見を聞かなくてはいけないと言うのはこれまでにない国会ですよね。
筆者:
ハッキリ言わせてもらいますと、これまで「野党の存在意義」というのは薄いものがありました。
どうせ自民党案が党議拘束もあるので通過することが確定です。
そのために国会の答弁がただ単なる「時間潰し」の状況でしたからね。
しかし今国会からは自民党案すらも法案が成立するかどうか「瀬戸際」になるために、どの法律に対して成立・反対をしているのか非常に重要になってきます。
公明党についても「自民党に常に追随」と言う状況を脱しないと「自民党と一体」と見られてもおかしくはないです。
現に、政治とカネの問題について「裏金議員」を推薦したことから大きく議席を減らして前代表が落選するほどの事態になりましたからね。
(別に一緒に沈んでくれて個人的には構いませんが)
質問者:
なるほど、与野党ともに政治に対する責任が重くなってくるわけなんですね。
筆者:
これまでは与党政治家個人のスキャンダラスの内容について追及することぐらいしか野党は効果があることが無かったですし、「実績」を作ることが出来なかったんです。
そしてそれらは政治と金の問題を最初から追求してきた共産党は議席を減らしていることからも、「政権担当能力」と言う視点で見た場合には何ら意味をなさないものでした。
せいぜい、与党案にただ単に反対表明をし、
官僚から受け取ったカンペをもっともらしく話すだけの「簡単なお仕事」で野党議員は年収4000万円+議員特権を得ていたわけです。
完全に「ぬるま湯」に浸かっていたわけです。
質問者:
今の状況では参議院での法案通過は難しそうですが、少なくとも衆議院での法案通過は可能になりましたからね。
責任ある立法が出来るようになったという事ですね。
筆者:
参院通過については現状、難易度はかなり高いですが、公明党を自民党から引きはがせば野党案も不可能では無いです。
ただ、現実問題として自民党案そのまま通過では無く、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党あたりの意見を取り入れて修正することによって法案が通過する方向になると思います。
でも、これだってかなり画期的ですよ。これまでは野党が何を吠えても受け入れてもらえないので支持者の方々としても「虚無感」みたいなのがあったと思いますからね。
逆を言えば野党としては「投票してもらうためのパフォーマンス」として無責任な法案の提出が出来たわけです。
これからは一体どの法案にどの党が賛成・反対したかで次の参院選挙・衆院選挙の投票行動に大きく影響を与えると思っています。
◇衆議院選挙を受けて「政治改革」が焦点
質問者:
具体的に今回の臨時国会ではどのようなことが話し合われるのですか?
筆者:
一つは「政治と金の問題」の見直しです。
この間の衆議院選挙では明らかにこの問題の清算が付いていないと国民が認めたことから自民党が過半数割れにまで追い込まれました。
このことから政治資金規正法の改正が行われることが濃厚になっています。
これは投票に言った方々が自民党に対して「NO!」を突きつけたことによる大きな一歩だと思います。
現時点において自民党は政策活動費の廃止、旧文通費の見直し、外国人による政治資金パーティー券購入を禁止などを行うようですが、企業献金の禁止に関しては全くやる気がありません。
他の党はいかにしてこの「企業献金禁止」について首を縦に振らせるかが「勝負所」と言えそうです。
※自民党はちなみに昨年度は24億円と他の党の何倍も企業献金を受け取っています。
質問者:
これに関して一番キャスティングボートを握っていそうな国民民主党はどうなんですか?
筆者:
非常に残念なことに立憲民主党と日本維新の会が「企業献金禁止」を盛り込んでいる法案提出に参加しないようなんですね。
恐らくは「経済対策を優先」なのでしょうね。
ただし、立憲民主党も「企業」からは受け取っていないかもしれませんが「連合関連政治団体」から7400万円(国民民主党は1億6千万円)受け取っていることが『連合傘下、国民・立憲側に2.4億円寄付 企業献金「抜け道」の指摘も』という11月29日の毎日新聞の記事から分かっています。
何かしらの「抜け道」を用意することは明白であり、どうしても中途半端な形で終わってしまいそうです。
質問者:
政治資金に関するお話は本当に「違法でない」形で永遠と悪用されそうなんですね……。
筆者:
非常に残念なことに現状、政治家は「消去法で選ぶしかない」のが現状ですからね。
いずれにせよ、お金をポケットにちょっと入れにくくなる程度しか改革されないことが予想されます。
◇経済対策について
質問者:
経済対策についてはどのようなことが話し合われることになっているんでしょうか?
筆者:
最も注目されることとしては、「103万円の壁引き上げ」でしょうね。
これは石破首相の所信表明演説でも話題に上がりましたから間違いなく行われると思います。
焦点としては「どこまで壁を上げられるか?」と「住民税の壁も一緒に上げられるか?」だと思います。
特に住民税は一律なので低所得者ほど負担が大きいです。
「住民税の壁も上げた」状態で地方に対して公付金を増やすことが大事だと思います。
※その他にはアルバイトをする学生らが年収103万円を超えると、その親が「特定扶養控除」を受けられない問題に対応するための年収要件の引き上げについても検討項目としてあるようです。
質問者:
あとは、いつものように「財源」の話になりそうですよね……。
自民党の後藤税調会長さんは『経済効果による税収増は恒久財源ではないだろう』とおっしゃっているみたいですから……。
筆者:
これが本当に「狂っている」と言っても良い話でして、
そもそも前回壁が引き上げられたのは29年前の1995年なんです。
これは日本経済が「失われた」と言われてきた期間とほぼ同じですね。
それまでは好景気だったために定期的に「壁」が引き上げられてきたのがこの30年に関しては「政治の失敗」によってずっとゼロ成長でした。
そのことから壁を引き上げる議論すらできない状況だったのです。
ここ最近は経済が成長、好景気だから最低賃金や物価が上がっているのではなく「コストプッシュインフレ」によるものです。
ですからこの壁引き上げについて「財源論」は問題外だと思いますよ。
そんなに大好きな「財源」を言うのなら政治家のポケットからか、「たくさん献金してくれている大企業様」から捻出して欲しいものです。
国民から取る場所を変える状況では「経済対策」として成立しませんよ。
質問者:
確かにその話を聞くと「財源」とか言わずにやって欲しいですよね……。
筆者さんが一番問題にしている「壁」の「106万円」や「130万円」については何か議論は無いのですか?
筆者:
「3号保険者廃止(つまり主婦は働けという事)」や「106万円廃止(つまり学生以外の強制加入)」と言った事実上の「超増税案」なら議場にありますよ。
立憲民主党は「就労促進支援給付」として、年収が130万円を上回って200万円に達するまでの間、年収の増加に伴って、徐々に金額を減らしながら給付金を支給するという得意の「分けわからん給付制度」をやりたいみたいですけどね。
前々から口酸っぱく言っていますが、取ってから配ると時間的にも手間的にもロスが出るので最初から取らないのがベストです。
※厚生年金は100万円台の収入では月6000円程度しか年金が増えません。
回収には自分の手取り減分で30年、労使折半分回収で60年かかるために「完全なる増税」です。厚生年金に加入による「老後の安心」というのは完全なる詭弁です。
質問者:
廃止しなくていい「壁」を廃止したいんですよね……。
国民民主党は「103万円の壁」以外の政策って無いんですか?
筆者:
選挙時の公約では「一律5%への消費税引き下げ、インボイス制度廃止」などがありましたが気が付けば消滅しましたね。
代わりに立憲民主党と似たような「消費税にかかる金額の給付付き税額控除」をやりたいみたいですけど。
最初から取るなよ――とまたしても言いたいですね。
「ガソリンのトリガー条項発動」ぐらいが唯一まともな政策と言えますね。
質問者:
ホントにどうしてこんな酷い経済対策案ばかりしかないのでしょうか……。
筆者:
正直言って今の状態は「比較的良い状態」状況で自民党独裁よりは議論できるだけマシと言えます。
ただ、政治家のレベルがあまりにも低いために「酷い案対決」になっていることから「抜本的政治改革」がやはり必要ですね。
予てから僕が申し上げている「根本の治癒」のための政策としては、財務省の暴走や財源論を防ぐための「財政法4条改正」、大政党以外の候補者を受からせるための「中選挙区以上の選挙制度にすること」や、「あらゆる献金を廃止し、お金のかからないネット選挙」にすることなどです。
「酷い有様」であることを国民全体で受け止めることがある意味次のステップに繋がるかな? と僕は考えています。
質問者:
これらは本当に一朝一夕ではうまくいきそうにもありませんね……。
筆者:
気長にやるしかないと思います。
という事で今回は今国会の注目ポイントとして政治改革と経済対策について解説させていただきました。
今後も政治制度や政策の問題点について個人的な解説をしていきますので、
よろしければまたご覧くださいね。