閑話 あの日のはなし
こんにちは。めちゃ久しぶりですね〜
実は現在我が家は修羅場を迎えているため続きが書けていません。そこで閑話をお届け!内容が重いのでご注意ください
「…ねぇ、1つ御空に聞きたいんだけどさ。御空は…なんというか、その、」
満月の夜。いつも通り祐輝と夜と一緒に帰る学校からの帰り道。橋を渡って最寄り駅向かう途中に歯切れの悪い言葉が夜から飛んできた。
「なに?」
「いや、言い難いんだけどさ、あの、自殺…しようと思ったことっていうか、実行したことって、ある?」
なんだ。そんなことか。と言うように間髪入れずに問いに答える。
「うん。あるよ。」
「…マジで?」
「うん。なんで?」
「いや、なんというかさ私とか祐輝は過去が過去だけにまぁ、あるんだけどさ、光もあるって言う話は聞いた事あるじゃん?あとーーちゃんも。でも御空はそういうことしなさそうだなぁって思って一応聞いてみようかなって。」
「私も人間だしあるよそりゃね。」
そんなに驚くことでもないと思う。令和の時代にインターネットでは若い子がODで自殺未遂というニュースを何度も聞くように一度や二度やったことあるだろう。それに、私や夜が通っている定時制高校の特に夜間部なんてのはほとんどの人がワケありの人たちばかりなのだから。
「まじか…あの、一応、どうやってとか聞いてもいいですか。」
「ん?うん。私の場合はトイレでタオル使って首吊ろうとしたよ。」
「あーやっぱり首吊りか。私もそうだよ。でも私は3段ベッドのハシゴでだけど。祐輝は?」
「うち?うちも似たようなもんだよ。てか普通首吊り以外の選択肢なくね?」
「ま、確かに。あ、でも中学の時に親の薬大量にパクってODしたことあるわ。」
「その頃から夜はODって言葉知ってたんだ?」
「いや?知らなかったよ。言葉自体は最近知ったからね。」
ふっといつものを言った後に夜がドヤ顔を決めた。いつものことだからと祐輝も私も無視をして話を続ける。
「自殺じゃなくて殺されかけたことならうち何度もあるけどね。」
「祐輝はだってほら、家が特殊じゃん。」
「え、あれ無視?まぁいいや。そうだよ。私の家も中々だけど祐輝も中々じゃん。特にお母さんがさ。」
夜も祐輝も過去に不運がありすぎて1日かけても話しきれない程色々な経験をしている。それに比べたら私の過去なんて微々たるものだ。この人が死ぬほど嫌いで許さないっていう人は今のところ1人しかいないし私の所は親が仲がいいから。
「あー包丁ぶん投げられたり油頭の上からかけられたり突っ張り棒で殴られた話のこと?でもあれはまぁなんというかしょうがないからな。」
「しょうがないで済む話じゃないと思うけど。でもお前んところのお母さんたまにド正論言うからなぁ。」
「そうそう。課金云々の話とかね。それでもとんでもない時の方が多くない?」
「そう?でもうちはもう慣れすぎてわかんないや。」
「確かに。私もパパに物投げられるの慣れちゃったしな。」
慣れすぎてわからないというのは非常に危険な言葉だと思う。おかしいでしょう。なぜ包丁を投げられても母親がやばいと理解しない?夜もそうだけど自分自身の親がおかしいと思わないのは洗脳されているからにしか聞こえない。祐輝は母親のことあまり嫌いではないようだし、夜は色々あったとしても結局両親を嫌いになっていない。家族関係の話をする時はいつもパパという言葉がでてくるのだから。本当に子供を大切に想っているなら怒りに任せて殺そうとしてくるはずがないのだ。
「話を戻すけどお粗末な装置では苦しいだけなんだよな。やるならちゃんと準備してやらんといけんよな。でも痛いのは嫌だな!」
「誰でも嫌だろ。でもうちは早く死にたいって思うけどね。」
「…」
横断歩道が赤になり各々は足を止めた。
私は、祐輝の冗談にも聞こえる言葉に言い返す言葉が見つからなかった。人間は簡単には死なない。助かる見込みさえあれば無条件に助けられてしまう。祐輝の周りには人がいる。少なくとも高校には。この状態が高校を卒業しても続くのならばこいつは死ぬことなど出来ないのではないだろうか。それこそ、祐輝を知らない人がいる土地で人気のない場所で死ぬなどしないと。
「…はー?まだ高校卒業してないのに何言ってんの?それにこの話何度もしたと思うけど今のところ我々の中で死ぬ順番の予想は私が1番、お前が2番、御空が3番でしょ?だから私がこの世界からグッバイのログアウトするまではあんたは生きてるよ。」
ただでさえ眼鏡のせいで目が細く見える夜が更に目を細めて祐輝に言い放った。この話は何度も何度も聞いた話だ。夜が勝手に言い出してそれに祐輝が口出して決まったランキング。私が最後に死ぬというのは大方あっていると思う。このランキングを決めた審査員の2人は「なんかアニキは嫌なこととかのらりくらりで躱してそう」とか「老後はアニメとかでよくみる椅子に座って編み物してそう」とかいうコメントを付けられている程だ。
「その話だけどなんでうち2位なの?いや御空が3位なのは満場一致で納得なんだけどさ。」
「んー…」
「…なんとなく?私家出たら色々やらかしたりして精神すり減らして表面笑ってるくせに裏でゲロ吐いて泣きまくって首吊って死んでそうだなーって思ったから。そう考えたら死ぬのも早そうじゃない?」
とんでもないことを言ったあとに普通に夜は笑っているが自分が何を言ってるのか本当に理解しているのだろうか。いや、してないとこんなこと言えないか。
「うわぁ…ありそうだからなんとも言えん。」
「祐輝はなんやかんや生に固執してるところあるからなー。だからお前は2番。」
「私も祐輝は2番目だと思う。そうじゃなきゃ家から飛び出したりしないでしょ。」
「あー…まぁ、確かに。」
祐輝はしょっちゅう親と、いや母親と喧嘩して家を飛び出していた。公園で野宿しようとしていたり友達の家に駆け込んだり。警察にも何度もご厄介になったり児相にも何回も行っていたらしい。この情報に関しては夜からちょろっと聞いた程度で本人から詳しい話は聞いてないから何回行ったかとかは知らないけど。詳しく知っているとしたら光かーーちゃんか。まぁ、けどどうでもいい話だ。夜も私もその話を聞いたところで祐輝と友達であることを辞める訳では無いのだから。現に今の祐輝は私たちに不利益をもたらすようなことはしていない。苦しいなら手を差し伸べる。悩んでいるなら相談にのってあげる。間違った方向に進もうとしているならぶん殴ってでも止める(これは夜が言っていました。私は言っていません。)それが友達としてのあるべき姿だと私は思っているから。
「…御空?どうかした?立ち止まって。」
「え?あ、いや、なんでもない。」
「…?そう。それよりさ、昨日ゲームやってた時の話なんだけど…っておいこら祐輝!イヤホンすんな!私の有難い話を聞けやクソボケ!」
「えースマホ見るくらいならいいだろ別に。」
「イヤホン外せっつってんだよ!ふん!アイス!奢りね!」
「えー…じゃあ1個な。」
「御空サンの分もだからな!」
「はいはい。」
「…じゃあ私はーー」
三角形のパズルを見たことがあるだろうか。型にぴったりとハマるパズルを見たことはあるだろうか。以前、夜が言っていた。自分たちはパズルのピースみたいだね、と。性格も考え方もばらばらなのに不思議と一緒にいて楽しい関係。1人でも欠けたら完璧な三角形にはならず不完全な何かになってしまう。新しいピースを加えてはいけない。そうしたら三角形ではなくなってしまうから。高校を卒業すれば別々の道を進みその先でまた別の友人ができるだろう。けれど、この2人よりも仲が良くなることはこの先訪れることはない。
「…また止まってる…大丈夫?体調悪い?」
「早くアイス買わないと電車に間に合わなくなるぞー。」
「…いや大丈夫。考え事してただけ。今行く!」
もしキミたちが精神的におかしくなって死にそうになって助けを求めてきたら私は迷わず話を聞くよ。無条件(殺人以外)でキミたちの助けになるから。だから、どうかこれからも。綺麗な三角形でいよう。
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普段はこの3人で帰ることが多いようですが、極稀にーーちゃんも一緒に帰っています。夜遅いし家は反対方向なのにどうして帰っているんですかね。多分この頃は…




