22.
クリスマスおめでとう〜
あけおめ〜
またね〜
「じゃあまたね。」
暗夜の国での外交活動は1日のみ。それはあっという間に終わってしまった。久々に会った友達と別れるのは名残惜しいような。だってここで別れたらかなり会えなくなりそうだから。1秒でも長く話していたいと思うのは子供として当然のことだろう。一応と確認のためお父さんの姿を目で捉えつつ声が聞こえにくいところまで移動してある。昔の事を聞かれたら厄介だからね。
「もう帰るんだね。1日って24時間あるはずなのに過ぎるのあっという間だった気がする。結局あの後オールしたしね。久々だからかな。」
時と言うのはあっという間に過ぎ去るものだ。それが大事な人といるならば当然のことで。もう帰る時間になってしまった。
「かもね。あそうだ。手紙とか書いた方がいい?こっちにはアレないし。」
「念話も出来ないから書いた方がいいかも。でもどうやって届けるつもり?」
「気合い。」
「無理を言わない。」
「パッションで行ける気がしたんだよ。」
「キミ、よく自分の事をなんもできない凡人って言うのにそういうところは強情だね。」
なんにもできない凡人とは本当のことだ。今のわたしも昔の「私」も少ししかできないただの一般人。得意なことはなく、苦手なこともあまりない。強いていうなら苦手なことは待つことだけど。昔、友達に2時間待たされたことあったなぁ。冬の日にさ…外で…
ーー…パパぁ…早く帰ってきてよぉっ…!
また嫌な記憶、吐き気がするほどの。最近多いなこれ。「私」、いまのお父さんにはなんにもしてないよ。する気もないよ。なのに、なんで、
「…まぁそれはともかく手紙はなんとかして届けるようにするよ。だから書いといてな。」
「了解。じゃあまたね。フェーテ。」
「今度こそまたね。御そ…ナデュラ。」
前世が日本人だった「私」達は相手の目を見て声のトーンを聞き分ければ相手に対してどんな感情をもっているのかがわかる。いまのナデュラからは敵対心とか全然感じないしむしろなんというかまた会おう的な目を感じる。最初は懐疑ばっかしてる目をしていたのに短時間でこうも変わるとは、そんなに「私」に会えて嬉しかったのかな。
「…さて、2人とも別れの挨拶は済んだかな?」
「あ、お父さん!うん!終わったよ!もう帰る準備は終わったの?さっき陛下に帰らないでくれ〜って抱きつかれかけてたのみたけど…もういいの?」
「えっ、あれ見てたの?…子供に恥ずかしいところを見られたなぁ。お母さんにはこれ、内緒ね。かっこいいお父さんでイメージ刷り込ませてあるから。」
「…あー、ウン。」
(フェーテ シラハ ゼンブ シッテルヨネ)
「お父さんが押しに弱いところのこと?まぁ知ってると思うよ。お母さん、水の精霊と相性いいからね。」
(アイツラオトクイノ ミナモカガミカ)
「そうだね。」
精霊にも属性なるものが存在する。あるあるの属性だけれども水、風、大地、光、この4つ。炎が何故ないのかと言われれば光は炎になれるからとしか答えようがないのだけれど。水はいわずもがな水で風もそう。大地は陸全般、光は炎も合わせて太陽と人工の炎以外の全般。まぁ要するに精霊はすごいってことで。あそうそう。治癒の精霊もいるにはいるんだけど二アドにも振り向かない結構つんつんの性格をしているからエルフ達は治癒を属性のひとつとして捉えないらしい。なんでだろうね。仲間はずれは可哀想なだけなのに。
「きっと帰ったらお母さんにお父さん怒られるんじゃないかな。お酒飲みすぎでしょって。だって今日の朝会った時若干酒臭かったし。」
(フェーテ イナクナッタアト ヤケザケシテタヨ)
「だろうね。いまのお父さんはそういう人だもん。」
(イマ?)
「…そうだよ。でもこれ他の精霊には内緒ね。わたしと君だけの秘密ってことで。」
(ヒミツ…)
秘密というのは誰でも嬉しいものだと思う。その人から信頼されているという証でもあるから。精霊もそういう嬉しいっていう感情はあるのかな。
そんなことを思いつつも不思議な行動を取る精霊を見つめる。なにを考えているか分からない布で隠された顔。長老でもみたことがない精霊の顔。この世には幾万と謎があるだろう。それでも、この大陸ができた時から存在している精霊にはどんな歴史があるのか、わたしはそっちの方が気になってしまう。だからその下の顔を私は少し見てみたいと思った。きっと歴史の一端が見られると思うからさ。
「…フェーテ様少しお時間よろしいでしょうか。」
無邪気に空を飛び回る精霊を見ていたから肩に手を置かれ自分の名前を呼ばれたことに少し驚いてしまった。いや、少しじゃない。オーバー気味に驚いてしまった!
「ん?うわあっ、キシュレッテさん。びっくりしたぁ…どうかしましたか?」
「驚かせてしまいましたか?それは申し訳ないことを致しました。我が王がお話がしたいとフェーテ様をお呼びです。少しの間我が王の元にお越しいただけないでしょうか?」
一体何の用だろうか。陛下とは昨日の夜の夜会以外は会っていない。この国のとっておきのプレゼントでもくれるのだろうか?
「…ねーお父さん。陛下がわたしを呼んでるんだってー行ってきてもいい?」
「フェーを?うん大丈夫だよ。お父さんはここで待ってるから行っておいで。」
「ありがとうーいってきまーす!ここで手を振ってと…ということで行きます。陛下のところに案内をお願いします。」
「…あぁはい。ありがとうございます。こちらです。」
ーーーーー
またでかくて白い大理石の壁に囲まれたもふもふの音を吸収するカーペットの上を歩き陛下が御座す場所まで歩く。なんだか、この場所に来たのは昨日のはずなのに何年もここを歩いたことのあるかのような感覚に見舞われる。前世は別に豪族だったわけでもなんでもないのになぜだろう。
「…いま、私もフェーテ様と同じことを考えていると思います。」
「え?あ、はい。…ん?はい?」
「私は昨日貴方様とそしてリター様に初めてお会い致しました。そう、昨日来られたばかりのはずなのにそんな気がしないということです。」
「あ、なるほど。」
「……独り言なのですが私はこの国に大使として来られたのが貴方様方で良かったと思っております。なにせクーグレイス国王はアズィーザカとの友好関係を望んでいますがそれはこの国でしか取れない魔石の為だ。それさえなければ人間は魔族を劣等種として差別する。とこの国の大半は思っております。だからこそ、大使が来るとわかった時元老会のジ…老中などが反対したのです。人間アンチ過激派の中には大使を殺して戦争をという声もあった程です。ですが誇り高き魔族の王、我が王は人とは共存できるという考えをお持ちの方です。」
キシュレッテさんの足がぴたりととまりとどまった足下のカーペットが歩いている時よりも下に沈む。足に力でも入れているのだろうか、靴がカーペットを貫通しそうだ。それほどまでにこれから彼の口から紡がれる言葉は大切なのだろう。
「…」
「フェーテ様。私は…いえ私も、元老会のジ、頭が硬い魔族同様に人間は嫌いなんです。小さな頃、人間の友人が私にはいました。ですが、よくある話で友人には裏切られ人間の国の奴隷商に売られたんです。魔族は…数こそ多いですが個々が魔術を使うことが出来ます。人間たちは魔術が使えない代わりに魔石を使った魔道具を使う。その魔道具の中には魔族を道具のように扱える魔道具が存在します。それを付けられれば自己の意志とは関係なく無尽蔵に魔術を使う傀儡になる。」
なるほど、だいたい話は分かってきた。つまりはこういうことなのだろう。キシュレッテさんが人間を嫌いな理由。それは。
「…キシュレッテさんはその魔道具を人間の友人だったやつにつけられ奴隷商に売られた、ということですね。」
「そうです。ほぼ不意打ちのような形で付けられました。幸いにも私は傀儡になる前に救出されましたが人間国にはまだ我々の同胞が傀儡となったままなんです。我が王はまだ年齢的にも幼いところがございます。このことは恐らく知らないのでしょう。ですが、我が王が人間と共存したいというのならば我々臣下は従わねばなりません。」
「…まぁ、確かに。陛下にはこのこと、言わない方がいいかもしれないですね。客観的に見てもあの方は同じ種の者を大切に思い過ぎている。暗い事実を知ってしまったら大陸まとめて爆発しそうな気がしますからね。」
「そうですね。我が王ならやりかねません。」
気が抜けたのかキシュレッテさんは再び歩みを一歩また一歩と進めだす。置いてかれぬようにわたしもまたふかふカーペットの上を歩幅大きくしながら歩く。
「…リター様は純人間ですが、他の人間に会った時に感じた嫌悪感なるものは感じなかった。あの奴隷商と友人だったものと同じ種族なのに。本当に不思議です。フェーテ様はハーフエルフですので納得は一応できるのですが…フェーテ様なぜリター様は人間なのに嫌悪感を感じないのでしょうか。」
「…それを娘のわたしに聞くんですね。うーむ中々難しい問いです。でも、ひとつだけ思いつく少しだけ納得の行くかもしれない回答がありますよ。」
「それは?」
「まあ…わたしという存在が全てを物語っていますね!」
ここでドヤ顔and決めポーズ!!!ふっ、カメラがあったらスクショタイムよ!いま!
「…コホン。わたしはハーフエルフです。わたしのお父さんは誰と結婚して誰との子供を産んだか。それはそう。エルフのお母さんです。エルフは引きこもりの種族です。滅多なことがない限り人間なんかと出会うことはありえません。そんな確率を引き当てて尚且つ生まれる可能性0.1%を乗り越えたわたしのお父さんはなんというか運がめちゃくちゃいいんですよ。」
「…運がいいから嫌悪感を感じないと?回答になっていないような気がしますが…」
「お父さんは…英雄気質があるんだと思います。人当たりがよくてまわりを気にかけられてそれでいて家族思いで。自分を幸せにするために他者をまず幸せにする。言葉にするのちょっと難しいんですがそういうことです。」
「………。なるほど、そういうことにしておきましょう。」
「…キシュレッテさんとはこれからも長い付き合いになりそうなので特別にひとつ教えて差し上げます。」
「グローへルエ家の一人娘のフェーテの中には過去もう1つ別の魂が存在しました。でも魂はぶつかりあい混ざり合い今やひとつだけ。人々が娯楽小説などでよくみるあるあるの設定。わたしはこれが2度目の人生なんですよ。キシュレッテさん。」
「…え。フェーテ様、今なんと。」
その事実に驚愕したからなのかキシュレッテさんは思わず足を止めた。それとも既に目標の場所に到着したから自動的に止まったのか。わたしにはどちらか判断するのはどうやら難しいようだ。
「キシュレッテさん。もしかしてもう到着しましたか?」
ーーーーー
おい!またね!って行ったらさっさと帰れよ!
早く本編行かせろよ!
あ、すいません。みなさんもうこの設定お忘れかもなんですがフェーテさんのお父様はですね。騎士団長でした。副団長ではありません。もし間違ってたらスライディング土下座(:D)| ̄|_します。
久しぶりの投稿すぎておまだれ。こんにちは。誤字ばかりの人間です。アレ(スマホ)やらかした☆




