表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/45

三十九話



「イルワロの正体は亜人狩り……」


 クレイはカイネから話を聞いて動揺していた。


 亜人狩りとはその名の通り亜人を狩る集団のことだ。


 帝国の支配下となった土地でも全ての亜人が奴隷となったわけではなく、小さな集落などを作って生活をしていた。


 その集落を襲い、女を攫って奴隷として売るのが亜人狩りだ。


 亜人の管理は帝国にとっても貴重な財源のため、亜人狩りは帝国法で禁止されているが、亜人は高値で売れるために後を絶たない。


「そうか。こんなに危険な場所に居続けるのは」


「イルワロにとってはむしろ安全ってこと?」


 マリイの問いにクレイは頷く。


「うん。きっとここは亜人を売るための中継地点にされたんだ。この村から先は人が住んでいないし、モンスターも多いから中々住めない」


 アリアは驚いていた。


「村自体を乗っ取ったってことですね」


「多分だけど。そしてゴーレムを使って守らせた。強いモンスターを使えばクエストの報酬は高くなる。きっと村人達じゃ払えないと思ってたんだ。でもテストクエストなら本部は通常より取り分を随分減らしてるし、割が合わなくてもクリアするしかない」


 クレイ達に支払われるはずの報酬はギアゴーレムの強さと合ってないため、普通なら断られる額だった。


 だが通常ではあり得ないテストクエストに割り振られたため、亜人狩りの悪事は彼らが予想するより随分早く曝かれてしまった。


 偶然が何度も重なっていた。


 亜人の子供、カイネはクレイに言った。


「あいつら、仲間を呼んでた。多分夜には来ると思う。そしたらあたし達売られちゃう……」


 クレイの顔に焦りの色が滲む。


「もしそうなったら、僕らに勝ち目はなくなる……」


 本部に救援を呼ぶ暇もなく、戦うなら今しかなくなった。


 さっきまでリンカーに帰ろうとしていたクレイはどんどん追い詰められていく。


「クレイ……」


「クレイ様……」


 アリアとマリイはクレイを見つめた。


 クレイが顔を上げるとカイネが目に涙を浮かべている。


 クレイは大きく息を吐いた。


(ここで僕らがなにもしなかったら亜人達は奴隷にされる。みんなを守るにはやるしかない。でもどうやったらいいんだ?)


 クレイは顔をしかめて、悩んだ。


 そしてあることに気が付き、呟く。


「もしかしたら……」


(でも、怖い……。あんなのと戦うなんて怖すぎる……。それでも……!)


 クレイはいつもより力強く顔を上げた。


「な、なんとかするしかない」


 クレイの顔にはまだ恐怖が残っていたが、それでも覚悟を決める。


 アリアとマリイは主人の決断を温かく受け入れ、カイネは喜んだ。


 クレイは立ちあがった。


「あいつを倒そう! みんなで!」


 クレイの目はいつになく強く輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ