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三十三話



 クレイ達を助けてくれた男は無人の家の庭に置かれた椅子に座った。


 テーブルに足を乗せると煙草を取り出して一服する。


「俺はイルワロ。近くの小屋であいつを見張ってるんだ」


「あいつってゴーレムのことですか?」


「それしかねえだろ」


 イルワロは白煙を吐き出した。


「三週間前からあいつが現れてな。あんなのが出るんで村人は全員逃げていったよ。国もこんな辺境の地は気にしてないらしく、軍も来やしねえ」


「だからギルド本部に誰かが依頼したんですね。それが僕らのところに来た……」


「みたいだな。みんな貧乏なのにギルドへ依頼する金があるとは思わなかったよ」


「知らなかったんですか?」


「俺だけがここに残ってるからな。誰がそんなことを危険を冒して伝えに来る?」


「たしかに……」


 クレイは先ほど遭遇したギアゴーレムを思い出して身震いした。


 汚したズボンとパンツはアリアとマリイが手伝って着替えたが、もしまたゴーレムと会ったら予備の着替えが必要になりそうだ。


 それほどギアゴーレムの大きさは圧倒的だった。


「……イルワロさんはなんで逃げないんですか?」


 イルワロは口から吐き出した煙を見つめてから、遠くを指さす。


 平原の真ん中に小屋が建っているのがここからでも見えた。


「あそこにぽつんと小屋が見えるだろ? あそこの周辺は先祖代々の土地でね。守る必要があるんだ」


「でもあんなのがいたら危ないですよ」


「問題ない。見張ってて分かったんだがゴーレムはこの辺りをぐるぐると回ってるだけだ。いくつかのルートがあって、この村に来るのは昼と夜中の二回くらいだな。タイミングを間違わなければ危険はねえよ。まあ、たまにお前らみたいな知らない奴らが現れて、そのたびに危険を冒して助けないといけないけどな」


 イルワロは苦笑いを浮かべた。


 クレイ達はばつが悪そうにする。


 イルワロは煙草を地面に落とすと靴で踏みつぶした。


「悪いことは言わねえ。帰った方がいい。あいつを倒したいならもっと人数が必要だ。それを本部に報告してくれ」


「で、でも……」


「それなら聞くが、お前らはあいつに勝てるのか?」


「うっ……」


 クレイは言葉に詰まった。


 それが紛れもなく答えだった。


 しかしテストクエストをクリアしなければエンブレムはギルドとして機能しなくなる。


 それは夢の終わりを意味していた。


 俯くクレイにイルワロは呆れながら立ちあがる。


「まあ、いい。忠告はした。俺は仕事があるから小屋に戻る。お前らも命が惜しければリンカーに帰りな。今から近くの村まで行くか、それが無理ならここで一晩泊まってもいい。誰かの家だが、文句言う奴はいねえよ」


 歩き出すとイルワロは背中越しに手を振った。


「次はもっと大きなギルドを頼むぜ。それだけでも来てくれた価値はある」


 クレイはなにも言わずにしばらくイルワロの背中を見つめていた。


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