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三話



 パーティーが終わり、家に帰る者やそのまま泥酔する者で別れると、クレイは言われた通りクレイの待つ団長室へと向かった。

 ギルドの奥にある部屋をノックすると、奥から入れと声がする。

「失礼します……」

 クレイが恐る恐る入室すると、部屋の奥にある豪華な木製テーブルを挟んでライルと目がある。

 ライルは動かず高級そうな椅子に腰掛け、クレイを冷たく見つめた。

 楽しそうな雰囲気を予想していたクレイは予想を外した。

「あれ? なにか変な音がしませんか? 水っぽい感じの」

 クレイがなにか変な音がしたので部屋を見回すとライルが口を開いた。

「いや。聞こえないな。クレイ。お前、うちに来て何年になる?」

「えっと、三年くらいです……」

「そうだ。三年だ。その間にうちは随分と大きくなった。今回の成果は既に中央委員会に報告してある。うちがダイヤランクになることは間違いない」

 ダイヤとは上から二番目の位置するランクだ。

 ここに入れば一流ギルドと認められる。

「おめでとうございます」

「ああ。めでたい。だが悲しい日でもある」

 ライルは頬杖を付き、微かに目を細くした。

 クレイは意味が分からず首を傾げた。

「知ってるだろうがギルドにはランクによって登録制限が設けられている。今回の昇格でうちは更に優秀な人材を雇うことができるわけだ。だが、それによって既存の人材と能力の格差も生まれる。俺はなるべくそれをなくしたい」

「はあ……」

 未だに話が掴めないクレイにライルははっきりと言った。

「だから能力が足りてないと判断した者は容赦なくクビを切ることにした。そしてその中にお前の名前も入っている」

「……………え?」

(それってつまり、クビってこと?)

 予想もしてなかった宣言にクレイは呆然としていた。

 だがライルは無情にも告げた。

「そこに退職金を用意してある。持って帰ってくれ。いきなりで悪かったな」

 ライルの視線の先にはローテーブルがあり、その上に札束の入った封筒が乗せられていた。

 しかしクレイはまだ話についていけてなかった。

「……えっと、いや、でも…………」

「クレイ」

 ライルは強く名前を呼んだ。

「残念だ。お前がもっと成長できていればこんなことにはならなかった」

 残念だよとライルは続けた。

 さっきまで楽しい雰囲気の中にいたクレイはどん底に落とされ、目の前が真っ暗になった。


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