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二十話



「ライル! なんでここが?」


 クレイは慌てて立ちあがる。


 ライルはゆっくりと部屋の中に入ってきた。


「市場の何人かに依頼したんだよ。実力以上の獲物を持ってきた奴を報告してくれってな。そしたらお前が引っかかった。クレイ。お前如きがトゲイノシシを討伐できるわけがない。それなら協力者が必要だ。とびきり優秀な協力者がな」


 ライルはギロリとマリイを睨んだ。


「帰るぞ。今なら軽いお仕置きで済ませてやる」


 マリイは狼狽しながらも身構えた。


「か、帰らない! あたしはクレイの奴隷になるんだから!」


 ライルはクレイを睨み付けた。


「クレイ。どういうことだ? まさか豚箱にぶち込まれたいのか? お前も知ってる通り、奴隷盗みは重罪だ。説明しろ」


「そ、それは……」


 クレイはなにも言い返せなかった。


 ライルの言っていることは全て正しい。


 このままではクレイは裁判所に裁かれて牢獄行きだ。


 下を向くクレイの代わりにアリアが答えた。


「クレイは関係ない。あたしが勝手に出て行ったの。もう……、あんたに使われるのはイヤなのよ!」


 涙目になるアリアに対し、ライルは舌打ちする。


「ちっ。奴隷の分際で生意気な。俺が今までどれだけお前に良い思いをさせてきたと思ってる。衣食住もある程度の自由は与えてきた。亜人なんて他のギルドならそれこそただの慰みもので終わっていたぞ。なのに重宝してやった俺を裏切る気か?」


「あ、あんたなんて奴隷を道具としか思ってないじゃない!」


「そうだ。それのなにが悪い?」


 ライルは開き直って拳を握った。


「俺がのし上がるために亜人を使う。だが同時に亜人の価値を一番分かってるのも俺だ。肉体的にも魔力的にも優秀な亜人をただの奴隷や娼婦にしておくなんて馬鹿げている。有益に使ってこそ意味があるんだ。そして結果を出した者にはそれ相応の対価も支払う。雑用でこき使われていたお前が自分の部屋を持てたようにな」


「そ、それは感謝してるけど……。だけどもうイヤなの……。あたしは自由がほしいのよ……」


 マリイが俯くとライルは一笑に付した。


「自由? そんなものはどこにもない。クレイだってお前を利用したいだけだ」


「そ、そんなことない!」


 クレイは否定するがライルは見下していた。


「亜人はどこまでいっても亜人だ。人間としては扱われない。それがこの世の仕組みだ。そんなことはお前も分かってるだろ?」


「だ、だとしてもこんなことは間違ってるよ。亜人だっていたい場所にいれるようになるべきだ」


「青いな。だからお前は要らなくなったんだ。そんな甘さじゃこれから上には行けない。足を引っ張られるのは目に見えてるからな」


 冷たく宣告され、クレイは悔しそうにした。


 ライルは埒があかないと溜息をついた。


「どちらにせよ、俺はお前を許す気はない」


 部屋の外から足音が聞こえた。


 すると数人の制服を着た男達が部屋に入ってくる。


 それは治安を守る警官達だった。


 その中の一人だけ違う制服を着ている。


 眼鏡をかけたおかっぱ頭の大人しそうな青年だ。


「私はエバン。ギルド本部から派遣された執行官です。ギルド内やその組織同士で起きた問題の介入者とでも言えばいいでしょうか。どんな問題でも法に則り公明正大にジャッジします」


 エバンはマリイを見つめた。


「先ほどライルさんからそちらの奴隷が強奪されたという報告を受けました。事実ですか?」


「そ、それは……」


 クレイは答えられなかった。


 エバンは眼鏡を直して振り返る。


「お認めにはならない、と。ではどちらが正しいか示すしかありませんね」


 するとライルが苛立った。


「俺の奴隷だと言ったはずだ。買った時の契約書も見せただろう? それがここにいる。誰がどう見ても奴隷泥棒なはずだ」


「契約書は偽造可能ですし、本人達も認めていません。ですからまだ決まったわけではありません」


 ライルは舌打ちした。


「堅物が。まあいい。面倒だが証明してやる。だが逃亡される可能性はあるからな」


「それはこちらも承知です。拘束しろ」


 エバンが指示すると後ろの警官達がマリイとクレイに近づく。


 マリイは抵抗しようとするが、そんなことをすればクレイに迷惑がかかることを悟ると大人しく捕まった。


「マリイ!」


「クレイ!」


 取り押さえられた二人は互いの名を呼び合うしかできなかった。


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