準備
「いってらっしゃい。パーティーの準備しておくからね」
会議室でエリアボス討伐へ行くメンバーを見送る。
『アテビのバッチ』と『Fランク冒険者認定書』の発見によってボス討伐の勝算が出来たとマスターが言っていた。まだ誰も倒したことのないボスなので確実ではないが、挑戦する意味はあるのだろう。上手くいくと信じて私はパーティーの準備を始めよう。
まずは冒険者ギルドに行き、マイホームを購入する。認定書とバッチのおかげで効率が上がり、ゲーム開始半月で100万G貯まったのだ。初期購入以外はステータス画面からオプション購入できると説明を受けて、すぐにマイホームに移動した。
会議室と同様に移転陣を使いマイホームに入ると、そこは真っ白な壁の四角い部屋だった。途方に暮れていると夏南ちゃんからメッセージがきた。
「昨日はありがとう、死に戻りしなくてすんだよ。スズメにも会えて、アテビのバッチ貰えたよー」
「メンバーを案内したついでだよ。バッチもおめでとう」
「ありがとー。今、何してるの?」
「今、マイホーム買ったんだ。クランメンバーとパーティーしようと思って準備してるの」
「もう買ったの?行ってみたーい!」
「まだ何もないんだ。ただの真っ白な部屋で家具もまだ無いの。パーティーの準備しなきゃいけないし……」
「手伝うよ!模様替え得意だから、役に立つよー」
「いいの?ありがとう」
冒険者ギルドの移転陣から来れると伝えると、すぐに来てくれた。
「本当に何もないねー」
「うん。ステータス画面で家具や壁紙が買えるんだけど、多すぎてどれにすれば良いか悩んじゃって……」
「部屋の雰囲気から決めたいから、壁紙から決めよっか。ミーナちゃんはどれがいい?」
「うーん……パステルイエローと花柄の2つで迷ってるんだよね」
「予算的に問題ないなら、両方買って気分で変更するのはどうかな?」
「それいいね、今日はパステルイエローにするよ」
「次はテーブルだね、どれにする?シンプルなのがオススメかな」
夏南ちゃんのオススメ通りに選んでいくと、あっという間にとても可愛い部屋が出来上がった。
昨日買っておいたお菓子や飲み物も並べ、パーティーの準備は完成した。
「ありがとうね。私一人じゃ、こんなに可愛い部屋に出来なかったよ」
「うん。私も楽しかったよ。いいなー。私もマイホーム目指そうかなー」
「うんうん、応援するよ」
「やっぱりポーションが効率良いよね?でも露店って時間かかるし、面倒くさいんだよね……」
「そうなんだ。私はクランの自販機があったからな……」
夏南ちゃんに認定書の取得方法を教えてあげると、『すぐやってみる』と言って部屋を出て行った。
自販機について詳しく調べてみると、クランの自販機は冒険者ギルドの2階に設置すると全プレーヤーが買えるようになるらしい。ポーション作製クランがあればいいのにな……




