ナンパ
家につくと部屋着に着替えてログインする。
今日はカフェに行ってみようと思う。
紅茶とケーキを頼んでのんびりと読書を始めた。
「ちょっといいかな?」
本を読んでいると男性3人組に声をかけられた。
「初心者さんだよね?もしよかったら、この後一緒に狩りにいかない?いろいろ教えてあげれるよ?」
「いえ、狩りは大丈夫です」
「あ。もしかして、ポーションない?大丈夫だよ、俺たち持ってるから」
「不安だったら友達誘ってもいいよ」
「そそ、葵様とかリリアン様とか誘おうよ」
葵様?リリアン様?
この人達は、先週私がリリアン達と話していたのを知ってて、リリアン達と仲良くなりたいって事だよね。『様』って……ストーカーかな?とりあえず断っておこう。
「今日はこれから約束があるので、ちょっと無理です。すみません」
「えー、そんな約束やぶっちゃいなよ」
「そうだよ、俺たちと遊ぶ方が楽しいよ」
「たくさんレベル上げてあげるから、行こうよ」
「いろんなモンスター倒せるよ」
「ね、行こうよ」
ちょっとしつこい。私がここにいる限り、誘い続けるつもりなのかな。もう少しここで読書したかったのに、この人達の相手をしたくない。
「じゃ、さようならー」
ニッコリ余裕があるように見せかけて、急ぎ足でカフェを去る。ストーカーが確定した訳じゃない大丈夫。
クラン会議室に入り、机に突っ伏して呼吸を整える。自分で思っていたよりも緊張していたようだ。
リリアンにメッセージを送るとマスターと一緒にすぐ来てくれた。
「大丈夫?ログを見る限り、そこまで悪質プレイヤーではないだろうけど気をつけてね」
「一応、メンバー全員に情報共有しておこうか?」
「うん、大丈夫。知らない男の人に声を掛けられたの初めてだったから、ビックリして対応に困っただけ。あの人達、リリアンとマスターに『様』つけてたけどストーカーじゃないの?」
「そう呼ぶ人はいるんだけど実害ないから放置。仲良くなろうとしてくる人もいるけど、様付けされて喜ぶと思ってるのかな?私達はゲームで崇められたいわけじゃない、楽しみたいだけなのにね。」
「たまに悪質なストーカーが沸くけど、その時は運営に通報して対処してもらうし……良識ある人は通報されるの理解してるから簡単に近づいてこないよ。ミーナちゃんが狙われるなんて考えてなかった。本当、ごめんね」
みんなの事を羨ましいって思っていたけど、美女って大変なんだね。私は普通で良かったよ。
二人には狩りに戻ってもらい、会議室でおやつを食べることにした。やっぱり甘いもの食べると落ち着くね。
しばらく人が多い時間は会議室に引きこもろう。




