イベント告知
夜ログインするとマスターが待っていた。なにやら相談があるらしい。
「夕方、イベントの告知あったの知ってる?」
「ログインする時にアナウンスがあったけど戦闘系のイベントだったから、ちゃんとは見てないです。私に関係ありますか?」
「うん。来週の日曜日、ゲーム開始1か月の記念イベントなんだけど。このままだとイベントマップへたどり着かなさそうなの。だから、ミーナちゃんの作ったポーションを使いたいんだけど……いいかな?」
「はい、マスターに任せます」
「ありがとう。明日と土曜日が肝心だと思うから、明日は今あるポーションを全部使うつもりで攻略をするね。いきなりポーションがなくなるけど、驚かないでね」
「はい、私はポーションをたくさん作ればいいんですよね」
「ううん。ミーナちゃんは、無理せず楽しんでね」
「そうじゃなくて、私もクランの一員として出来ることをやりたいんです。このクランが好きだから、一緒に頑張りたいんです」
「ありがとう。じゃあ、たくさんのポーション作製をお願いしていいかな?」
「はい!任せてください。イベントまでに強くなって、勝ってくださいね!」
「うん、頑張るよ」
「そうだ。聞きたいことがあったんだけど……いいですか?」
「なに?」
「武器や防具を売ってる人はときどき見かけたんだけど、ポーションだけ売ってる人少ないのが不思議だなって思ったんだけど。専門で作ってる人いないんですか?」
「このゲーム、戦闘性能のつかないアイテムあるでしょ?武器作製・防具作製は初期に戦闘性能のないアイテムを短時間で作ってレベルをあげるのが定番になってるんだ。たとえば、武器作製だと、レベル1でテーブルナイフ・レベル5で包丁を作れるんだよ。作製時間もポーションと違って短いの。店で売ってる素材を使って作って、同じ店に売っても赤字にならないの。露店を開かなくていいから効率がいいんだよ」
「効率は悪いけど、ポーションも高く売れるから専門に作る人がいてもいいと思うんだけど……」
「それはね。今いる武器や防具を作製してる人たちの多くは私たちと一緒に他のゲームから移住してきたからだと思う。前のゲームではポーション系のアイテムは店で買うものだったんだ」
「もともとアイテム作りが好きな人たちが移住してきたから、武器・防具は作れるようになったんですね」
「うん、そんな感じ。他に聞きたいことある?」
「ポーションの値段って、今のままで大丈夫ですか?始めて2日で8万Gも溜まったんだけど。こんなに儲かっちゃっていいんですか?」
「今のポーションの値段って、わざわざ探さないけれどあったら買う値段なんだ。探さなくていいだけで有難いんだよ。ミーナちゃんがマイホームを買ったら少し考えるかもしれないけど、それまではガッチリ儲けちゃってね」
「はーい、ありがとうございます」
みんなと一緒に行動したい気持ちもあるけれど、モンスターと戦うとかやっつけるイメージがわかないし、ただの足手纏いだよね。私は出来るだけ長くログインしてポーションを作ること、クランのために頑張ろう。