1日48時間ほしい
「うーん、時間が足りない。1日が48時間あればいいのにな」
学校帰り、幼馴染の結衣と電車を待ちながら電子書籍を取り出す。高校の入学祝いに買ってもらって1年、常に持ち歩く大切な相棒である。読みたい本を買いあさり暇を見つけて読んだけれど、読めていないものがたくさんある。来月には大好きな作家の新刊も出版されるのに、時間が足りないのだ。
「美彩は電子書籍を読む時間が欲しいんだよね?」
真剣な目をして聞かれたので小さく頷く。
「だったら!!一緒にゲームしよう!!!」
結衣の言っている意味が分からない。時間がないのに、なぜゲームをしなきゃいけないのか……
「あのね、私が今やってるゲームはVRMMORPGってやつなんだけど。ゲームの世界に入ると時間が倍になるの。たくさんゲームしたい私はすごく嬉しい機能なんだけど、これは美彩にもオススメしたいんだよね。電子書籍のデータが持ち込めてゲーム内のタブレットで読めるんだ。ゲーム機の本体を買わなくちゃいけないけど……」「ゲーム機っていくらくらいするの?分からないことは結衣に聞いてもいい?」
結衣を質問ぜめにしたら、あっさり説得されてしまった。
「お小遣いで買えるんだったら、始めてみようかな」
本は親に買ってもらっていたので、お小遣いはほとんど使ってないので大丈夫だろう。たくさん本が読めることを喜んでいると、結衣は再び真剣な目をして
「お願い!うちのクランを助けてください!」
やっぱり意味が分からない。