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ずるいずるい妹に搾取され続けた姉です。ずるーいと顔がかわいい妹に言われれば、だれもがはいはいと大切なものを差し出しましたが、私のさすがに婚約者までさしあげるわけにはいきませんわ。

作者: アトラ

「欲しい、欲しいのですわ!」


 私は欲しい欲しいの我が妹の攻撃に参っていました。

 いつも自らの欲に忠実です。

 

 私はあまり欲がないほうで、妹のおねだりに逆らったことはありませんが。


「ずるーい。リリーも婚約者が欲しい、王太子殿下みたいな人が婚約者にほしいですわ!」


 14歳にもなった妹が床にバタバタして、欲しい欲しい攻撃をするのにはひいておりました。


「お姉さまずるーい」


「あの、あなたは16歳になってないので、リリー、あと2年したら、お父様が良い婚約者を……」


「お姉さまみたいなブ、いえ地味な方が王太子殿下の婚約者なんて!」


 まあ私は平凡な容姿、あなたのほうが確かに美人ですけど、姉に向かってブスはないと思います。


「リリーも!」


「わかりました、二年後にお父様に掛け合いますから」


 お願いだからそれはやめてと私は頭を抱えます。

 こんな時はええ、流すのが得策。


 私は妹を無視して、王宮に行く準備を始めます。途中であきらめて自分の部屋に帰ったみたいでやれやれでしたが。私はこの時、妹を流したことをあとで後悔することになったのです。



「マーガレット、君は妹をいつも無視するそうだね」


「え?」


「実の妹を無視するような真似をする姉である君と婚約をするわけにはいかないんだ。婚約を破棄させてくれ」


 あれから1年半が経過しようとしていました、妹がすごく静かで恐ろしかったのですがあの子も大人になったのでしょう、もうすぐ16ですしなんて思っていたら……。


「ああ、破棄はするが君の罪は問わないでおく」


 ここは弁解しても無駄、いつも欲しいずるい妹の攻撃、両親に嫌だと突っぱねて怒られた経験からわかります。

 私はいじめてはいないというのは一応言いましたが、やはり信じてはもらえませんでした。


 館に帰ると、両親が渋い顔で言いました。妹のリリーベルが新しい婚約者となったことを知りました。

 あの子のたくらみかとやはりと思います。


「やはりですわね……」


 私はあの時どうして深く考えなかったか呪いました。あれがすぐ諦めるわけもなく。

 そして私も婚約式に呼ばれていると、みせつけたいわけですわね。


 私はあのバカ妹に復讐するべく策を練ったのです。


「この婚約をここに……」


「異議ありです!」


 私は高く手を挙げて、婚約式を妨害します。すると皆がえ? といったような驚きの顔でこちらを見ます。

 まあ数人驚いてない人がいますが、私が婚約破棄された元姉ということがわかる人ですわね。


「異議があるとは?」


 陛下が私に尋ねます。この時を待っておりましたわ!


「わが妹、リリーベルは、他者のものを欲しい欲しいという欲の塊です! そして他人の婚約者まで奪う大罪人ですわ!」


 私は証人をお呼びしています。と高らかにいうと、扉からぞろぞろ女性たちが入ってきます。

 過去、あいつに婚約者を奪われたご令嬢たちですわ。


「私は、あのリリーベルさんに、婚約者のケイン様を奪われました。婚約をしている男性に言い寄ることは認められていません。でも1年前のアクアの月に言い寄られたケイン様は私と婚約を破棄して、リリーベルさんと真実の愛に生きるといわれました。しかし一か月後、愛に破れたとやらで戻ってこられました」


 まず一人目、伯爵令嬢のメアリアンヌ様がおずおずといったように切り出します。


 婚約者をとられたなんて恥なので誰も言い出さなかったのですわ。根気よく探せばこれだけいましたわ。みつかっただけでも7人ですわ。どれだけの暇人ですのよあの子、人の婚約者を奪うなんて!


「……私は一年半前、婚約破棄を婚約者のアベル様に申し入れをされました。ええ、そこにいるリリーベルさんが真実の愛の相手で、私と婚約は間違いだったとお、ううう……」


 二人目は男爵令嬢のエミリア様。ああ泣き出されましたわ。しかしおとなしそうで優しそうな方、こんな気の弱そうな人からも婚約者を奪うなんて……。


 証言が続きます。これだけの証言があるなんて予想もしてなかったのでしょう。顔が引きつってますわリリー。


 青ざめる殿下に、陛下はふうとため息をつかれ、王妃様はあきれたといった顔で見ています。


「調べただけでもこれだけの証言者がいます。私は不義を犯し続けた妹をここに断罪します!」


「わかった……婚約はいったん白紙だ、わかったな、クリス?」


「はい……」


 陛下に静かに言われてうなずく殿下、泣き出すご令嬢たち、しーんとした冷たい空気に包まれる広間……。


 私はあれがこちらを強い目でにらむのを見ました。自業自得ですわよ。


 あ、リリーは不義の罪により断罪され辺境送り、一応、陛下には根回しをしておいたのです(顔には出されませんでしたが)なんとか断絶は免れ、所領を少しだけ没収ですみました。


 殿下は廃嫡、私は魔法学園に入学し、自立できる道を探しています。


 辺境修道院送りとなった妹のことはどうなったかは調べておりません。疲れますもの。

お読みいただきありがとうございました!

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