ナンパから助ける王子様は基本的に優しくて強い。
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「おい。服はどうした」
「恥ずかしくて買えるわけないよ! どうしよう、当分の間あそこの服屋いけない。煌のせいだよ!」
ブラを買ったあと自身の発言と羞恥心によって周りのや店員の目線に耐えきれなくなり必須な筈の服を買う事なく店を出てしまった。
「せめて適当でもいいから一着は買えよ。流石にその格好は目立つぞ」
「知らない!」
わかってるよ! わかってるけどそれ以上に恥ずかしいんだよ! いや、自分が悪いのもわかってる。流石に発言が過ぎた。店員にも煌にも悪い事したとは思ってる。でも煌も煌だ。なんで下着を着ている相手に『魅力的』とか『見惚れてる』とかさらっと言うんだよ。ちょっとは戸惑いとか、恥ずかしさとかないのかよ! これじゃあ僕が変に意識してるみたいじゃないか!
早足で歩く。顔を合わせたくなくて煌の前を少し下を向いて歩く。意味は無い。煌を撒く意思も無ければ後ろにいるのに顔を下げなくても見えやしない。むしろ人の多いショッピングモール、人にぶつからないように目だけでも前を見ざる負えない。それがよりイライラを募らせていく。完全に自業自得。それでも何かのせいにしたかった。
「俺が悪かった。少し調子に乗りすぎた」
「…………………………」
なんで煌が謝るんだよ。そっちに謝られたらこっちは何かのせいにできなんじゃないか。僕が100%悪いんだから。意地でも落ち着かせないといけない。
「服を売ってる店は別にあそこだけじゃない」
「………………服屋にはいかない」
「はあ、わかった」
煌はどこか諦めたような声色だった。僕も諦めよう。謝ろう。買い物は服だけじゃない。時間がすぎれば客も店員も変わるだろう。それまで別の買い物をしよう。
「僕の方が悪かっ……………」
振り向いたら煌はいなかった。辺りを見渡す。見える人達は皆楽しそう。そこのどこにも見慣れた人は見えない。さっきまで後ろにいたのにどうして? いくら早足だったとはいえ目立つ僕を見失う事なんて無い。もしかして呆れて帰っちゃった?
困惑して少し思考が遅くなる。その分目と耳から楽しそうにしている人達の表情と声が鮮明に聞こえた。ちょっと悲しかった。気分転換をしたくなった。けれど一人でしても意味がない。
仕方ないから自分ひとりで買い物を済ませよう。必須リストと、
「あれ」
バックの中からポケットまで調べたが見つからない。そうだ。煌と確認したさい渡してそのままだ。仕方ない。一人で買おう。の前に喉乾いた。
近くの端にあった自販機に行く。他より買う人がいないのか売り切れは一つも無かった。
「ねえ、君さっき彼氏と喧嘩してたでしょ」
金髪の胸元をだしたシャツ着た男性に話しかけられた。まさかナンパ? デパート内で? 煌は彼氏じゃない。
「彼氏じゃないです」
「マジ?! こんな可愛いこと一緒で彼氏じゃない。じゃあさ、これから俺と遊ばない? あの友達より楽しい事知ってるからさ」
金髪は彼氏じゃないことにテンションを上げる。まさか彼氏じゃないから自分もいけると思ってるのか?
「嫌です。他をあたってください」
さっさと断って立ち去ろう。
「そんな遠慮するなって」
「?!」
手首を掴まれ強引に自販機の横に引っ張られる。
「は、離せ!」
「いいじゃないか。彼から俺に変わっただけじゃないか。友達になろうよ」
こいつ! しつこいタイプの奴! こうなったら叫んでやる!
「いた!」
手首を強く握られて痛みで叫べなかった。でも我慢すれば!
「彼が持ってた買い物袋、大きさからして中身下着だよね。帽子だったらすぐ被るだろうし。彼に選んでもらったのかい? そんなエッチなら別に俺だって良いじゃないか」
金髪の息が荒く興奮気味だった。
気持ち悪!
「この変態!」
煌直伝の頭突! 鼻を狙って怯んだ所間髪入れず顔面を殴る…………はやめて押して突き飛ばす! 近くに女子トイレあったしそこに逃げ込めば激昂して追いかけてきてもこいつは社会的に死ぬ!
「ぐへ」
「え?」
頭突で怯んだまでは良かった。でも肝心の突き飛ばしができない?! 押しても倒れてくれない!
「この女!」
「いた!」
手首を思いっ切り握られて壁に叩きつけられる。施設内の端にいるのと自販機の影で周りから見えない。失敗した事の困惑ですぐに別の行動に移せなかった。
「人を傷つけてはいけないって人に教わらなかったのか?! 俺もやり返していいよな? なに、鼻とデコを合わせる代わりに口と口を合わせるだけだ」
無理矢理顎を押さえられる。そんなのふざけんなと全力で抵抗する
「逃げんじゃねえよ」
『は? 何逃げようとしてんだよ』
……………怖い。
金髪が数人に見えた。フラッシュバックされる中学の頃の記憶。重なる。怖い。嫌だ。
「急に大人しくなった? それで良いんだよ」
叫べば良いはずなのに。声が出ない。蹴るでもなんでも抵抗しなきゃいけないのに体が動かない。怖い。助けて。
金髪の顔が近づいてくる。
「キスなら壁としてくれ」
いきなり金髪が離れたと思ったら壁に熱烈なキスをし始めた。
「うげぇ?!」
「数分離れただけなのになんでナンパされてんだよ」
金髪は頭を押さえつけられていた。押さえつけた主を見るとそれは煌だった。
「煌………………」
瞬間に安心から全身の力が抜ける。
「大丈夫か」
煌の腕が受け止める。
「…………じゃないな。手首にアザができてる」
「ごめん」
すると買い物袋を見せられる。
「そう思うならこれでも着とけ。テキトーに選んだやつだから期待はするなよ」
別の店で買った服だった。僕が行かないって言ったから煌が入ったんだ。
「ありがとう」
「その前に」
煌がバッグを気絶した金髪の上に雑に置くと中から包帯と湿布を取り出した。
「………ちょっと過剰じゃないかな」
手首に湿布を貼られ包帯でぐるぐる巻にされてしまった。手慣れていて早い。
「過剰なもんか」
手当を終えると怪我してない方の手に買い物袋を渡してくる。
「着替えるぐらいならできるだろ。買った服に文句言うなよ。結構地味なやつにしたから」
「わかった」
女子トイレに向かう。煌は優しい。服の話で誤魔化そうとしたり、安心できる場所とトイレに誘導したり、悪くないのに喧嘩にならないように自分が悪いと言ったり、やっぱりそう言うところがずるい。
僕もあのぐらい強くなりたかった。
瘉。
中学生の頃いじめられていた事があったが煌がそいつらを半殺しにした。強くなりたいと弟子入りをお願いしたこともある。なお筋肉の付きにくい体と雨宿先生から言われた。
煌。
瘉の手首を見て金髪を殴り殺しにしようと思ったが瘉の安心が最優先。包帯ぐるぐる巻は過剰とは思っていない。瘉基準で考えているため他人を手当すると心配性と思われる。
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