身長を計りたいのに一人じゃできないとか言うから手伝ったら距離近いしめっちゃいい匂いする
誤字報告ありがとうございます。
身長測って柱に線を書く。懐かしいです。
「あ、今の自分の身長がわからない」
雨宿先生から手渡された身体測定の紙。その他にも女性に必要な物とかが書いてある紙もある為に一度家に戻る。
「身長も体型も変わってるし、服を選ぶにも知っておかないとな」
「………………」
「………………」
「………美少女のスリーサイズ」
「………ふふ」
「…………今の僕なら知りたい放題」
「…………後で教えてくれ」
「………服屋に行ったら教えるよ」
「………楽しみは取っておくものだな」
互いの目が合う。互いに少しニヤけているのがわかる。何せAPP17(十回に一回は18が出る)の超絶好みの美少女のスリーサイズがリアルにわかるんだぞ。
俺は家から持ってきたメジャーを渡す。そして隣の部屋の扉が開かれる。瘉は得意げな顔で扉を締めた。
俺達は同じ好みである。
いやぁ、スリーサイズ。いくつかなぁ。今は身長だけど
扉が空いて戻ってきた。
「5秒ぐらいだけど」
「一人じゃできなかった。手伝って」
「知ってた。」
メジャーじゃ一人でできないことわかってたが何かワクワクしてたのでちょっとおちょくった。ちょっと落ち込んでいる様子だった。
「ちなみにメジャー単体じゃ測れないからね」
「え?! 」
「使うのは鉛筆と直角に取れるやつならんでも良い。分厚い本とかね」
「それ早く言ってよ! とりあえず分厚い本あれば良いんだよね」
瘉は本棚から一冊取り出した。
「何で広辞苑なんだよ。何で一番デカくて重いの選んだんだよ持つの俺なんだぞ持つ右手が震えてるぞ両手で持てよ腕力弱すぎるだろ」
「あ、無理」
瘉は片手では最後まで持ちきれず両手で持つ。
「瘉弱い。流石に片手で持てるようになろうよ」
物にもよるが広辞苑の重さは4キロ近い。受け取るとずっしりと重さが来る。俺なら上投げでぶん投げられるけど。瘉は少し楽しみにしているのがわかる。初めて見たときから思ったが男の時の瘉よりも身長が高くなっているそれでも俺より低いけど。低い瘉からしてみれば少しでも高くなっているのは嬉しいんだろうな。俺もこう、高身長、イケメンになりたかった。
「健康診断の時と一緒だから柱に背を付けてくれ」
「ん」
かかとも後頭部も含めて柱にピッタリとくっつく。
「いくぞー」
「デンデンデデデデン」
広辞苑を柱に当てながら瘉の後頭部に当てる為に近づく。俺の左腕と瘉の胸がものの数センチで当たりそうな距離。少し下を向くと上からの視線で服越しでも胸が少し大きい事がよくわかる。目も唇もよく見えた。
一目惚れしただけあってドキドキする。中身が瘉だとわかっていたとしても眼を離すことはできない。いや、中身が瘉だからこうやって理性が保てているのかもしれない。
今はそんなこと考えるな。今は身長を測る為に近づいているんだ。
左手で広辞苑の下に鉛筆で線を書くためにさらに近づく。髪の毛が鼻の先に来るまで近づいた。その時、瘉から嗅いだことのない良い匂いがした。香水やヘアスプレーとは違う。まるで自然から生まれたような、当たり前にあるような匂い。決して飽きることも、嫌う事も無い、晴天で花畑の上を歩いているような、そんな匂い。
「もういい?」
「……ッ?! 動いたらかけないだろ」
「あ、ごめん」
そうだ。身長を測るんだ。柱に線を書いて………。
「オッケー。先までの長さ測るから下で0センチ抑えてて」
「了解」
瘉は柱から離れ書かれた線を期待の目で見る。メジャーの端を受け取ると下で抑え、俺は先の位置まで伸ばす。
「………157センチ」
「やっぱり伸びてる!」
瘉は嬉しそうに自身の頭を触る。
「俺より小さいのは変わりないけどな」
「じゃあ身長頂戴」
「無理」
「……………」
不服そうに僅かに頬を膨らませる。なにこれくっそ可愛いんですけど。
「次はスリーサイズか流石に男の俺が測るわけにも行かないからな。測りたいけど」
「僕は女性に測ってもらえるんだよ」
「ズリぃ」
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次回はスリーサイズです。