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夕陽に照らされて

今回の瘉想像したらマジで美しかった。

「どうして服ってデパートに行かないと十色無いんだろう」


「しゃーない。前回の服屋を除いてさっさと回るぞ。何せバイト終わりだから時間が惜しい」


「この髪型にする方法教えてもらえば良かった」


「とりあえず写真撮ってできるようになるまで練習か?」


「時間かかりそうだなぁ。面倒くさい。三編みぐらいはやるけど」


「かんばれ」


デパートに入る。クーラーが効いて気持ちいい。治ったんだ。これなら前みたいな心配は無いな。飯は帰り際で夕飯でいっか。どうしようかな。あの髪には何が似合うんだろう。横にビョンと跳ねた癖っ毛に2つの三編み。しかも中途半端。明るい色。凄い似合って入る。今の瘉の服(白黒の半袖フード付きジャージ)にもあっている。


(可愛い 服 検索)


思いつく限りやってみるか。


瘉と俺で店に入る。服は選ぶのに時間がかかるらしいので夕方が迫るこの時間帯は人が少ない。色々と見て回る。本当に色んなものがある。


そうだ。


「瘉、これ着てみて」


「これっスカートだ。まあいっか」




スカートは既に履いているので、あっさりと手に取る。


試着室のカーテンが閉まる。スマホのカメラ機能をオンにして待ち構える。どんな可愛い姿が出てくるかな。


既に履いていると考慮してもあっさりとスカートを受け取った。平気で女子トイレに入ってたな。女になって割り切ってたか? スカートといえば何で瘉は体だけでなく服も変わったのだろうか。あの服はなんだろう。少なくとも普段着のデザインじゃない。二次元的で、衣装っぽい。けれど誰もが着れるようなものじゃなく、瘉の姿に似合う『一つのキャラクター』としての完成度だった。それでもDNAは瘉。身体能力は……まだ測ってない。瘉は明日バイト無いし明日やるか。服も用意しよう。そもそも『服まで変わる』事例は漫画を読んでも『他の女の子になった』『自身が女の世界線になった』つまり周りの環境も変わっている。だから瘉は漫画を入れても『例外』に入る。  


暇な時間考え込んでいるとシャーと音がなる。



カーテンが開かれ目に映るのは水色の半袖にスカート、その上から白いエプロンドレス。可愛らしい顔に明るくゆるふわで子供な印象な服が癖っ毛のある明るい色の髪の毛がより子供らしさを演出するも膨らんだ胸部その長い髪や整った顔が少し大人さを演出する。そこからは日本人らしさは消え、童話に出でくるような『アリス』が服はそのままに成長したのにだろう。


「さあ煌! 早く写真撮って僕のスマホに送って!」


「そのオタク気質が一瞬にしてぶち壊したよ」


清々しいほどの笑顔。興奮しているようだ。本人ノリノリだなぁ。


「なんかなぁ、ちょっと違う感じがする」


「わかる。水色に金髪は合うけど白ベージュは似合わないな」


十分に可愛いけど。膨らんだ胸が邪魔だな。うん。これはやめよう。


スマホを構えてポーズを取る瘉を撮りまくる。 


「ノリノリだな」


「そりゃ、オシャレしたいでしょ。女の子になったなら」


「オシャレか」


……………………俺もしてみようかな。


写真を取り終わる。瘉は自身が用意した服に着替えようとまた閉まる。今度はなんだろうか。1つ目がなかなか良かったからか次はもっとワクワクする。


カーテンが開く。割と早いな。 


黄色単色の半袖パーカーに藍色のスカート。漫画とかで女の子がよく着ているのを見る。シンプルだが黄色にベージュのかかった白色の髪が全体を明るくしてよく見せる。それだけでは癖っ毛には合わないがパーカーがそれを解決する。何なら髪飾り的な立ち位置にもなっている。アウトドアな女の子だ。笑顔が元気いっぱいに見せる。


「うお、シンプル」


「煌が男の子っぽいパーカーだったから逆に女の子っぽいやつにしてみた」


「おおー……………あ、髪が長過ぎる」


ただ残念なことに髪が長すぎて違和感がある。特に後ろ。


「写真見せて」


見せると悩む。やはりオシャレって難しい。どこか違和感がある。


「いっそ誰かをさんこうにするとか……………」


「ならいっそこれ着てみる?」


俺は写真を見せる。そこには2つ隣のクラスの生徒の写真が写っている。彼の名前は『歌風晴夜(うたかぜはるや)』体育祭前に女装したらクラスメイトに撮られて拡散された人。男だけど断然可愛いです。まさに男の娘。彼の着ている服を来てみることにした。


「晴夜君とはなんだか仲良くなれそうな気がしてきた」


「草」


早速同じ服を持ってくる。なんか店側がこの組み合わせをめっちゃ押しているので、すぐに見つかった。瘉は早速試着室で来てみる。




白いワンピースに桜柄のピンクの和服を羽織る。たった2つのシンプルな服装。洋と和、2つの文化が作り出した全く違う着物の筈なのに互いに喧嘩などせず一つの完成形ともいうべきだろうか。他に手を加えるべきじゃない。そう思えた。どんなデザインでも着ると重そうなイメージがある和服だが白いワンピースがフワリと風で靡くと和服も靡いた気がし、羽織っているだけと言うこともあり重いイメージの和服は美少女が着ているのもあって羽でもついているかのように見えた。 

普通見ない明るい髪色が彼女を天女にする。近くで見えるのにまるで遠い存在。長い髪がむしろ現実感を無くし、彼女の存在感をより強調する。


「やっべぇすっげぇいい。さいっこう」


「うん。僕も鏡見たとき思った。これ買うわ。確かここで写真撮ってもらえば割引になるんだよね」


「よし、早速店員さんのところへ行こう」


ついでに動きやすい服を手に店員さんに声をかける。店員さんは発狂しながら撮影の準備を始める。扇風機を取り出したり瘉がポーズも含めて待機している。俺はただ待つだけ。


少し経っていざ写真を取ろうとしたその時



「まぶ」



陽の光が窓から差し込んだ。外を見ると日が落ち始めて夕焼けが見える。その光は当然店内にも入り込んでいる。瘉に視線を戻す。


ベージュのかかった髪は夕焼けによってオレンジのかかったピンクへと変わる。それだけじゃない。桜柄の和服が光の反射でより美しく見える。白いワンピースが彼女を照らす。輝いて見える。癖っ毛には影の強弱がより現れ、小さな羽のように見えた。


風が吹く。髪がなびく。輝いて見える彼女はそのまま風にのって消えてしまいそう、そんな感じがした。手に届きそうな距離。なのに遠いように思えて、



始めて彼女から瘉の存在が無くなった。彼女の事を瘉だと言えないぐらい、美しい。




瘉は撮影を終えるとその割引を利用して他の服もかった。俺の方を向く。 


「煌、ご飯行くよ。あ、服買ったからラーメンは無しだよ」


いつもの瘉がいた。


「わかってる」






 




瘉。

可愛い大好き! オシャレに興味なかったけど今回でもっとしたくなってきた。男の娘の晴夜くんなら僕と似たような気持ちなのかな。仲良くなれそう。夏休み終わったら声かけてみようかな。


煌。

なんだか瘉が消えてしまいそうな錯覚に陥った。消えないだろう。多分。


歌風晴夜。

瘉達と2つ隣のクラス。A組。実はあの服は写真をばらまいたクラスメイトが原因なのに自分の趣味にされて死にたくなってたりする。服屋にいくと何故か自分の着た服がピックアップで売られてる。


面白くなくても面白くてもブクマ、高評価、レビューお願いします

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