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親友から救援要請が来たから急いで家に行ったら知らない美少女がいていきなり泣かれた

可愛い。

(こう)、すぐに僕の家に来て。お願い。本当に困ってり。助けて』


 俺は飛び出すように家を出る。なるべく早く。着信音で起こされた朝。誰からだろうと見ればそれは(いや)からだ。相当焦ってメールを打ったのだろう。『る』が『り』になってたり、朝起きて何かがあったのだんだ。ただでさえ瘉は弱い癖にそう簡単には他に助けを求めない。それなのに『すぐに来て』なんて不安ですぎる。無事でいてくれよ。


 全力疾走で瘉の家に向かう。幸い距離は近いので一分もあればすぐにつく。念の為道中電話を掛けるも出る気配が無い。いつもならワンコールで出ることが多いのに。電話すら出れない状況なのか! 


 瘉の家につく。勢いそのままにピンポンを押して来たことを伝えてドアノブに手をかける。鍵が掛かってたので合鍵で開けドアを勢い良く開ける。



 ……………可愛い、綺麗。誰だろう?


 ベージュのかかった長い髪。白色なのか、肌色なのか、ピンクなのか、灰色なのか、どれもそうでありそうでない。そんな印象の髪。おそらく光の当たり具合でどの色も見える。『光の似合う』美しい髪。


 明るく透き通った肌。ずっと照らして欲しい。ずっと見てみたい。それほどまでに穢れが無い。


 開けたドアが片方の目だけを照らす。青空に見える。影になっている方は朝焼けのような紺色。どちらも宝石のように目が離せないほどに美しい。


 服の上からではあるが程よく膨らんだ胸。細い手足、だが細すぎ無い。スレンダーで凹凸の少ない体が少し幼さがあるがその顔や腕、足取りや腰。全てのラインが完璧で『美』を感じ少し大人っぽい感じもする。どちらとも取れる矛盾が噛み合っていた。きっと太陽の下では健気な少女に、月明かりの下ではでは舞姫のように。


 白い線が右の鎖骨辺りから左したにかけての白い線が入った肩出しの服。左腕の部分は手首まであるのに右腕の部分は肘までしかない袖。淡いピンクのスカート。左足の太ももに巻かれた真ん中に一周するように白い線の入ったサポーターのようなモノ。膝の下までの小さな無地の黒の靴下。左足は膝の上まで黒く長い靴下。


 神絵師のイラストからそのまま飛び出してきたような美少女がさらに現実離れした服装によって現実味が無くなり彼女は本当に人間なのかと疑うぐらいだ。一目惚れしてしまった。


『光に愛された少女』そんな美少女が出迎えてくれた。あまりにも綺麗だったので瘉の所へ駆けつけた事を一瞬忘れるほどだった。そうだ! 残念だけど今はこの人にかまってる暇は………


 陽に照らされた少女は俺を見ると泣きそうになる。


「煌…………」


 たった二文字喋っただけ。それだけでわかる透き通るような声。脳に直接届いていると言うか、心に語りがかけられている感じ。心地が良くて、いつまでも聴いていたい。


 じわっと潤んだ目から水の粒が溢れ始める。


 えええええええええええええええ!!!


「ちょっと、あの、どちら様?! え、いきなり泣かないでください! え? え?」


 何でこんな美少女が俺の名前を呼ぶの?! 何で泣くの? どうしようどうしよう! ええええええええええ!!!


「どうしよう………………ほん……………とうに」


 ボロボロと大粒の涙が零れる。それ俺のセリフ。どうしよう本当に。瘉からのの救援要請が来たと思ったらそいつの家で謎の美少女に泣かれてるんだもん。しかも名前呼ばれてるし。まさか! 


「い、瘉に何かあったんですか?! 大丈夫なんですか!」


 瘉の身に何か大変な事が起こったらこの人は泣いているんじゃ。ならまずい! もしかしたら自身の部屋にいるかもしれない。ともかくすぐに向かわないと。


 靴を雑に脱ぎ捨てる。電話に出てないことから動けないとして朝一番にメールが来たってことは寝室にいる可能性が高い! 駆け上がるように階段を登ろうとすると美少女に腕を掴まれた。振り向くと泣いて震えた声で何かを俺に伝えようとしていた。


「僕…………」


 へ? 


 ここまで僕が似合わない少女がいただろうか。ボクっ娘のように中性的な声、見た目をしているわけでもない。どこかボーイッシュな感じがするわけでもない。本気で似合わない。『俺』なら一周回って似合う…わけでもなくさらにもう半周して結局似合わない。


 じゃなくて! 一体何を言おうとしているんだ。瘉に何か起こってるんだ!


「僕が………瘉」


 泣いて震え、掠れた声で俺に伝える。それでも脳が一瞬で反応する程はっきりと聞こえる。だから思考が止まった。


 ………………え? 今なんて言った? 完璧に聞こえたけど理解できなかったぞ?


「瘉は………………僕」


 え? 


「ええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」


 それってつまり、この美少女が瘉で、と言うか、性別が変わっ…………て


「女の子になってるぅぅぅぅぅぅぅぅ?!」


 完全に理解した。


 それを聞いて瘉となのる美少女は頷く。






一人称僕。親が海外で働いているので一軒家に一人暮らし。よく煌と一緒に遊んでいる。


煌。

一人称俺。良く瘉の家に泊まりに行っては一緒に夜遅くまでゲームで遊んだり映画を見たりしている。


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