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1話

深司がミカエルと戦闘とも呼び難い一方的な虐殺を行っている間、ガブリエルは標的であるラファエル達をその目に捉えていた。


「みーつっけた!」


ガブリエルは二人を見つけた事により歓喜に包まれる。その表情は誰が見てもわかる程の笑顔だが、何もガブリエルは四大天使を酷く恨んでいたり嫌っているわけではない。ただ深司の役に立ちたいと言うこれだけの理由のために元同胞を殺めようとしているのだ。


「ラファエル、ここは私が時間を稼ぐから、貴女はすぐにハルティアラ様にこの事を伝えて」

「ウリエルはどうするのですか?」

「刺し違えてでもガブリエルを殺して見せるわ」

「健闘を、祈ります・・・・・・っ」


そう言うウリエルの顔は誰が見てもわかる程の作り笑顔だったがその思いをラファエルは無駄にしないと素直に答える。


その後すぐにラファエルは自分の国のとある施設へ全速力で飛び去っていく。それをガブリエルは遠くから邪魔しようとするが・・・・・・


「させないわよ」

「さすがウリエル。こんなんじゃ足りないか」


ガブリエルは純粋な堕天力の塊をラファエルへ向けて飛ばしたのだがウリエルが放った天使力の塊により相殺されてしまう。だがウリエルは先程から何か不気味なものをガブリエルから感じている。形容し難い不気味な何かを。


「じゃあ!これはどう!」


ガブリエルは堕天力を風の刃に変換するとそれをさらに鋭くしてウリエルに向けて放つ。


「まずいわね、これでどう?」


ウリエルは天使力を空気に変換しそれで壁を作りガブリエルが放った風の刃を受け止める。


「ギリギリね」


正直ウリエルも今のは完璧に防げるとは思っていなかったので内心ビックリしながらもこれならばなんとか時間を稼げると思ってしまう。


「ウリエル、流石の制御力と想像力だね。だから私も少し本気出すね」


その瞬間ガブリエルの周りには黒い霧が集まり出すとその霧はガブリエルの体を包み込む。


「堕天力解放!」


堕天力解放は自分の内に眠る堕天力を解放するもので通常なら一度しか使えないがガブリエルや深司は堕天力が強過ぎるため何重にも鍵をかけている。そして今ガブリエルは二つ目の鍵を外したのだ。


堕天力を二度解放したガブリエルは背中の翼も二枚から二対四枚へと変化しており堕天力の量と質も先ほどとは比べ物にならない程向上している。


「じゃあ私も最後まで足掻くわよ。天使力解放!」


ウリエルの周りに金色の吹雪が舞う。天使も堕天使と同じように内なる力を解放することができるが聖情天使のそれともなれば余程のことがなければ使う事はない。要するにウリエルも本気と言うわけだ。


「ウリエルも本気だし、私も頑張ろ」


先に動いたのはウリエル。天使力を空気中に満遍なく充満させて火に変換する。するとガブリエルの周りが空中にも関わらず火の海になる。


「ハッ!」


ガブリエルはその火の海を純粋な堕天力の波動を周りに飛ばしただけで吹き飛ばしてしまう。これにはウリエルも動揺を隠せず顔を歪める。


「じゃあ今度は私からだね!」


そう言うとガブリエルは堕天力で漆黒の槍を空中に数十本創造する。堕天力と天使力は想像力と制御力、そして技の発動に見合う量と質があればなんでもできると言ってもいい。だがガブリエルが出現させたほどの槍は中々創造できるものではないのでウリエルも焦りの表情になる。


「いっけー!」


ガブリエルが腕を前に出すと数十本の槍が一斉にウリエル向けて飛んでいく。


「まずいっ!!」


ウリエルは即座に障壁を展開するが何本かがかすってしまい血が流れる。ガブリエルはそれを見て笑顔になると槍をさらに数十本創造するとウリエル向けて一斉に発射する。


「くッ!」


ウリエルは天使力を身体中からかき集めて障壁を展開するが槍の一本が左足に刺さってしまう。


「アァッ!」

「ウリエル、どんな風に死にたい?」

「何ですって?」

「元仲間だし、それくらいは聞いてあげるよ」


それはガブリエルからの最期の慈悲だった。元同胞に対する最期の愛。ガブリエルとて四大天使をそこまで恨んでいるわけではない。ただ深司が喜ぶからやるのだ。


「そうね、どうせ勝てないでしょうし、ラファエルももう十分離れた。ならそうね、楽に死にたいわ」

「わかった」


ガブリエルは屈託のない本当の笑顔でウリエルに近づくとウリエルの顔を優しく掴み・・・・・・


「#情天死の接吻__デシアフォルンキス__#」


その言葉の後にウリエルの唇を奪うとウリエルは糸が切れた様に倒れてしまう。今この瞬間、四大天使ウリエルの命は尽きたのだった。













一方その頃自分の国ラファエラストに戻ったラファエルは自分だけが入ることの許された聖域、天界のとある場所へ連絡を取る施設にいた。


「こちらラファエル。ハルティアラ様へ救援要請を!」

「こちら天界ハルティファルト。要請を受け入れます」

「感謝します!」


自然とラファエルの瞳からは涙が溢れる。これでやっと同胞たちを殺したあの二人を殺せると。


真天使ハルティアラ。天界にも十二人しかいない真天使の一人。その力は聖情天使数百人分とも言われその力の強大さから平界には常駐しておらず緊急時にしか顕現しない。


「これで、これで奴等を!ハハハハハハハハハハ!」


真天使の顕現。それはエンジェルズ・イブ以降では初めての出来事でありその強大な力に平界は恐怖することになる。


続く。

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