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エンドロール・スタートライン  作者: ラウンド
4/13

第1話 開拓地と境界線の守護者 1

第1話の序部分となります。

今回は、また少しだけ世界観の説明が行われます。もうしばらくお付き合いくださいませ。


 交流戦の翌日。シロヴィアはブラン・ティアを伴い、HNアグリィを駆ってガーデンの所領である人工農園、フロンティアフィールドを巡回していた。

 王女の守護剣士としての職務もあるが、王女の護衛が不要な日に行う所領の治安維持や視察もまた、彼女の重要な任務だった。領土争奪戦によって獲得し、公式に自治権が認められた土地とは言え、それらを無視する者たちが居ないとは限らないという悲しい現実があるからだ。

「フロンティアフィールド、特に異常は無いようですね。最近はテロリストの動きもありましたから、気になっていましたが…」

 後部席に座るブラン・ティアから、報告と共に領内の情報がシロヴィアへと送られる。地形情報から、治安の情報、開拓者に関する情報等々、必要となるものばかりだ。

「平穏ならば、それでいい。向かってくるなら、その時に考えればいいさ」

「それも、そうですね。剣士に対して武力に訴えても、基本的には無駄に終わりますし、仮にHNが出てきたとしても、マスター・シロヴィアの技量であれば問題ないと推察します」

「有難う。まあ、その為にこそ得た力だからね」

 会話を交わしながらも、追加で集積されていく情報を取捨選択し、必要な物だけを抽出していく。ただし、機体の操作を担当しているシロヴィアは、それ以上の作業は行えないので、大半の精査はブラン・ティアの受け持ちであった。

「よし。次のポイントで休息後、一回ディ・グロリアと合流しようか。敵はテロリストだけではないからね…」

「了解です。情報をディ・グロリアへ送信します」

 シロヴィアは、雲を切り裂くように飛行を続ける機体を制御しつつ、経由地である山麓の農耕地帯に目を向ける。着陸に必要な広場が確保されている中継基地が視界に入った。

「基地に連絡は通っていますから、いつでも着陸可能です」

「分かった」

 航空機の手順と同様の操作で機体を徐々に減速させつつ、纏う光の粒子をまるで翼の様に展開する。すると、一瞬だけ機体が重力から解放された感覚がシロヴィアたちを包む。

「接地まで、あと十五秒、耐衝撃機能、起動。降着準備」

「調整はこっちで請ける。そっちは降着後に必要になる情報の整理を頼む」

「分かりました」

 短い会話を交わした直後、ブラン・ティアの情報処理の邪魔にならないように、シロヴィアが姿勢制御処理の全てを引き受け、体を動かし、機体全体があたかも人間が着地する時のような動作を取るように調整を行う。

 そうして、ほぼ衝撃など無いに等しい着地を成功させた。


「着地完了。そっちはどうだい?」

「情報処理終了。いつでも持ち出せます」

「分かった」

 機体に降着姿勢を取らせ、コクピット開放の操作をする。最初に後部座席が迫り出して開放され、次にシロヴィア側のコクピットが解放された。

 外から心地よい風が吹き込み、二人の顔を撫でていく。人工的に生み出された、しかし、明確な自然の恵みが、そこには感じられる。

 二人は体をコクピットから出し、外の景色へと身を投じるのだった。


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