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魔王の妻になる!!(4)






 昨日の騒動があり忘れ去られていただろが、私の誕生日から翌日。


 今は朝食中だ。

 今日のメニューはベーコンとスクランブルエッグ、サラダ、フランスパン、バターと紅茶だ。


 昨日のことがあるからしょうがないが、空気が重い。とにかく重い。重すぎる。

 皆、覇気の無い顔をしている。

 まぁ、当たり前なのだろう。


 あれから昨夜の晩はフカフカのベッドの上で私も色々と考えた。考えまくった。(妄想は抜きにして)

 そして、ある結論に至ったのだ。


 それは、私が魔王の元へ嫁ぐこと。


 何故なら、私が胸元に着けているリボンの紋様とレナートゥス国から来た手紙の表の紋様は同じで、あれっ?と思ったのだ。


 あのリボンは私にとってはとても大切なもの。

 昔、一度しか会っていないが仲良くなった男の子の物。

 もしかしたら、その国に行けば会えるのでないか。

 そう、期待に胸が膨らむ。


 あの時図書館に行った時に出会った男の子。その声が脳裏に蘇る。


『そんなことを言ってくれたのは君が始めてだよ』


 今さらながら思うのだけれど、どういう意味なのだろう。

 レナトゥ-ス国に行けば何か分かるのではないか、そう思う。


 私が紅茶を飲み終え。一息入れた後に本題に入った。


 皆の視線が私に集まってくる。


「魔王の妻になることについてなんだが…リリアーナ、お前はどうしたい?お前が嫌ならば、魔王に懇願してでもお前をここに留まらせたいと思っている。できる限りお前の意見を尊重したい」


 その優しげな父の物言いに本気で心配なんだなと伝わってくる。でも、

 どうやって魔王に懇願するのよ、といらないツッコミを挟みつつなのだか。


 私は私だけど私じゃない。

 中身は全くの別物だ。


 父は「やはり嫌だよな。」と母とアイコンタクを取る。

 それでも、と思う。


「私は行こうと思います。お父様、お母様、私に行かせてはくれませんか?」


 昨日の夜、必死になって考えた。

 私の将来のこと。

 妄想の中だけではなく、きちんと自分の事として。

 もしかしたら殺されるかもしれないし、幽閉、生け贄などにもされてしまうかもしれない。

 けれど、何も知らずに死ん行くのはもっと嫌だと思った。


 父は私の顔を見て今にも泣きそうになりながら、


「分かった、リリアーナ。嫁ぐということは、もう戻って来れないかも知れないんだそ」

「はい、承知しております」

「・・・・」

「お父様?」

「分かった…。明日は盛大に送り出そう。皆もそれでいいね」


「はい、そうですね」


 母はどこか物寂しげな声色のまま父に問い掛ける。


「寂しいですわね。いつかは二人もリリーみたいに嫁いでいくのでしょうか」

「そうだなぁ、娘の成長というものは早いものだな」


 話は決まったはずなのに、シーンとしている。


 何故だろう。


 私は余りにもこの重苦しい重圧に耐えられず。


「お父様もお母様もそんなに心配しないで!

向こうに行ったら、必ず手紙を出しますからっ。ねっ!」


 私が見せる笑顔に少しは気が緩んだのか、さっきまでの空気が軽くなったような気がする。


「リリーがお嫁に行くなんてね。信じられないわ。本当に…」


 いつもは嫌みったらしの姉もどこか寂しげだ。


「リリーお姉さまぁぁ」


 私の隣では涙ぐんでいる妹がいる。


 皆に心配されて愛されるてるなぁって、思う瞬間。いつまでも忘れないでいよう。


「明日の朝にレナートゥス国に行こうと思うの。いいかしら?」

「そうだな。明日で、3日目だからな。荷造りが終わったら、今日は家族で1日過ごそうか」


 みんな父の言葉に、うなずく。


 家族に私の思いを話したあとに、お嫁に行くんだなとやっと実感出来る瞬間だった。






次ぎは二人が初めて出会ったときの話です。

次回もよろしくお願いします。

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