エイプリルフール小話(彼と彼女に嘘をついてみた結果…)
もう終わりではありますが、一応はまだ4月1日なので、エイプリルフールネタを載せたいなと思い載せました。
ほとんがセリフオンリーですので、細かい描写などは皆さんの想像にお任せいたします。
「陛下っ!知ってました?今日はエイプリルフールなんですよ!」
「エイプ…?なんだって??」
「エイプリルフール、ですよ!」
「それは一体なんだい?」
「年に一回だけなんですけど、嘘をついてもいいよっていう風習みたいなものですね!そして、嘘をついていい時間まであるんです」
「へぇ、それは初めて聞いたな。ついてもいい時間は何時までなんだい?」
「正午までについた嘘が許されるんです。そして、午前中のうちに嘘をばらまいて、午後にはネタバラシをする。というようなかんじですね。今の時刻は午前10時なので、早速行きましょう!!」
「ま、待ってくれリリー!行くってどこに行くんだい?」
「フッフッフッ…。そんなの決まっているではないですか。私たちが普段からお世話になっている、この二人に嘘をつこうと思うんですっ!………少し耳を貸してください」
「……………なるほど、あいつはともかく彼女ならいい反応をしそうだな」
「はいっ!と言うわけで早速行きましょう!」
◆◆◆ヴァシェロンの場合◆◆◆
ターゲットその1である、ヴァシェロンさん。彼は旦那様の仕事場である執務室で仕事をしている。
書類を整理したり、気になった所があれば掃除をしたりしている。しかも結構念入りだ。
「ヴァシェロンって、意外にも潔癖症なのだろうか?」
「あれ?陛下とヴァシェロンさんって長い付き合いかと思ってたんですけど、違うんですか?」
「いや、別にそういう訳ではないのだが。執務室にいるときは自然と仕事に集中しているものだから、周りのことなんて全然見てないんだよね」
「そうだったのですね。では、彼の新たな一面発見ですね」
「そうだね。……ところで、彼にはどんな嘘をつくつもりなんだい?」
「ふふっ、それはですね。耳を貸してください………………」
「……………なるほどねー」
「というわけなので、今からヴァシェロンさんのところに行ってくるので、陛下は遠視魔法で見ててくださいね」
「分かった」
「っあ、一ついい忘れてましたがこの嘘が大事になってはいけないので、直ぐにネタバラシはしますからね。安心してください」
「了解」
「行ってきます!」
「いってらっしゃい…………っあ!!リリーが行ったからもう遅いけど、ここでは魔法が使えるからなぁ。姿形を変えるなんて容易なんだよね…」
コンコンコン……。
「はい」
「ヴァシェロンさん。少しいいですか?」
「リリアーナ様。いかがなされましたか?」
「実は………」
「はい?」
「実は、陛下が "白鳥" になってしまったんですっ!!!」
「……な、なんですって!?!?」
「うわっ!こんなに大きい声を聞いたのは初めてだわっ」
「…………というより、なぜ陛下が白鳥になる必要性があったのです?それが気になりますね」
「へっ?え?」
「リリアーナ様。お忘れかも知れませんがこの大陸自体、全員が全員魔法を使うことが可能なのですよ。ついでに言うのであれば、我が国王はすべての魔法を使えることが出来ますからね。自信の姿は変えませんが、相手の意識を別のものへと変換をすることが出来るのです。なので……………」
その後、うんたらかんたらと彼の説明が長く続いたのだった。
そして、30分後。
「…………であり、その魔法は……」
「あ、あの!ヴァシェロンさん!」
「はい?どうされましたか?」
「あ、あの。大変申し上げにくいことなのですが、それ全部嘘です…」
「うそ、ですか?」
「は、はい。実は………」
「なるほど、そういう訳でしたか」
「はい、申し訳ありませんでした……」
「リリアーナ様。そのように気を落とされないで下さい。正直に申し上げますと、最初はとても驚きましたよ。まさかの国王様が、本当に姿形ともに白鳥になったのかと思いましたもん。そして、よく冷静に考えてみるとそれと似たような魔法があったなと思い、あのような説明を致しただけですしね。ある意味では、大成功と言えるのではないでしょうか?」
「そうですね。ありがとうございます」
「陛下!ただ今戻りました!」
「お帰り、リリー。大変だったね」
「あはは。ある意味大変だったかもしれませんね……」
「ごめんね。魔法関連のことは先に言っておけばよかったね。私も少し気分が上がってしまって、後から思い出したんだ」
「いいえ!全然気にしてませんよ。むしろ魔法について、いろいろと知れて良かったです」
「そっか、それなら良かったよ」
「はい! では次に行きましょう!!」
◆◆◆メアリーの場合◆◆◆
次のターゲット、その2はメアリーである。
現在の彼女は外で洗濯物を干している。今日の天気は晴れなので、風が気持ちいですねー、だとか、よく乾いてくださいねぇ、とか独り言をいいながら作業を進めていた。
「彼女はいつもああなのか?」
「んー?別にそんなことはないですけど、つい先日まで雨が降っていましたからね。今日は絶好の洗濯日和で嬉しいんじゃないですかね?」
「そういえばそうだったね」
「もう時間もありませんし、早速行ってきますね」
「んー……」
「どうしました?」
「今度は私に行かせてくれないかな?」
「!? 陛下が、ですか?」
「うん。なんだか面白そうだしね。どうかな?」
「いいと思います!」
「よし、じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ!」
「フンフフーンっ♪」
「随分とご機嫌だね」
「はい~。そうなんですよ、今日は天気もよくてお洗濯日和です~。って、ええ!?あ、アルファス様!?ど、どどどうしてこちらに?!」
「いや、少し通りかかってね。メアリーが居たから来てみたんだが、ダメだったか?」
「いいえ!!とんでもございません!それであの、なにかご用件があれば承りますが?」
「あぁ、そうだな。実は、少し相談したいことがあって…」
「ご相談ですか?私で良ければお聞きいたしますよ」
「相談というのは、大したことではないんだが…リリーに何かプレゼントをあげようと思うんだ」
「まぁ!それは素敵ですね!一体何を贈られるおつもりですか?」
「この城にある "全財産" だ」
「……………えっ???」
「この城に貯蓄してある全財産をプレゼントしようと思うんだが、どう思う?」
「………えーーーーと、ですねーー」
「リリーは私の妻であり、この大陸、そしてレナトゥース国の国母だからな」
「………あのーーーですねー?」
「どう思う?メアリー?」
「……申し訳ございませんんん!!!私には難しい内容でございました!直ちにヴァシェロンさんを呼んで参りますで少々お待ちを!!」
「…えっ!?ちょ、メアリー!!待ってくれっ!!!」
「ただいま…」
「あっ!陛下、お帰りなさいませ。と言いたいところですけど、なんか凄いことになってませんでした?」
「あ、あぁ……。ヴァシェロンを呼びに行くときのセリフがものすごく早かったものだから、ネタバラシが出来なかったよ。追おうと思っても、体力強化魔法が使われたのか、私のセリフが終わることには居なくなってたし」
「あはは。でしたね。それにしても、さすがに全財産は言い過ぎですよ。メアリーが途中から涙目になってましたもん」
「あー、それは私も途中から気づいていたよ。…………っと、だんだんと足音が近づいてきたね」
「そうですね。ヴァシェロンさんが、鬼の形相でこっちに向かってくるような気がします……」
「…そうだね」
そのあと私達は、ヴァシェロンさんにしこまた怒られました。メアリーもヴァシェロンさんと一緒に来ており、最終的にはエイプリルフールの嘘だよ。というのは伝わったみたいですが、嘘をつくならほどよい嘘をつくようにと念を押されて、私たちのエイプリルフールは幕を閉じたのでした。
読んでくださりありがとうございました。