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………一方そのころ

番外編みたいな感じでお楽しみいただけたら嬉しいです!( ´∀`)






「あ"ぁ"~、なぁアル……いきてるか?」

「あ、あ"ぁ……なんとかな………」


 丸い木製テーブルの上で、もはや死にかけ状態でいると言ってもいいほどのお粗末な姿でいるのは、エピナント国の領主王であるエリクシルと、レナトゥース国の国王陛下であるアルファスだ。



 そもそもの事の発端は、

「よしっ!せっかくだから酒の飲み比べ大会しようぜ!」とのエリクシルの一言から始まったのだった。


 それは前日の夜に遡る。



◆◆◆

 ここに来て2日目の夜のこと。


 ここの国の人達はお祭り前で、準備があるのにも関わらず、私たちのことを手厚くもてなしてくれた。


 1日目の日はリリーも疲れているだろうということで、歓迎会は次の日の夜に設定された。場所はお祭りの開催地であるソルマージュの木を囲んで行われている。もう少ししたら精霊祭があるというのに、こんなとろこで行っても良いのかと少しばかり頭が痛くなる。まだ準備も終わってないだろうに…。本当にいいのか?

 まぁ、この国のトップであるエルが「歓迎会はここでやるぞ!」と言えばここに住んでいる者は従うしかないのだろうが。だが、従うとはいってもエルはかなりの厚い人望があるので、しょうがないなぁという感じでやってくれているのだろう。彼なりの努力の結晶なのだろうか。



「陛下っ、見てください!水の竜巻が凄いですっ!」



 先程からキラキラと目を輝かせている私の妻はなんとも愛らしい。思わず顔が綻んでしまう。それに関してはあいつに感謝せめばならない。

 今、私たちが見ているのは水を使った流水ショーだ。ソルマージュの木を囲う湖を使い、魔法で形作る。動物や食べ物、噴水ショーや今行われているのは水の竜巻。


 エルフ族は基本的には草魔法の1種類を得意とされているが、長い長い歴史の中で様々な変化が起こり、時には水魔法と草魔法の2種類の魔法を得意とする者も存在する。それは他の国でも同じことだ。


 実はシャルエル大陸の各国々を治めている王は皆、最低でも2種類の魔法は完璧に使いこなし、尚且つ政治力もなければならない。王は力ある者であり、全国民皆を守れるようにしなければならないと昔ながらの言い伝えがある。正直言えば、どれくらい昔なのかは定かではないが。

 かくいう自分自身もそれなりの魔法が使えると思っている。風魔法、炎魔法、草魔法、水魔法、土魔法……その他諸々、と言えば長くなるのだがハッキリ言えばこの世界にある魔法は全て使えると言っていいだろう。それなりどころの話ではないな。最強無敵とまではいかないが、せめて体陸の全てを守れるような存在でありたいと思う。

 


(まぁ、それこそが自分に課せられた運命でもあるのだがな………)



 私の役目はいつか死ぬときまでこの大陸を守り抜き、守りきること。


 私があの地で王となったあの日から、自分の国だけではなく、シャルエル大陸の全ての国を守り抜くことを心に決めた。そして、もう二度と同じ過ちは繰り返さないことも……。

 傷つけたくない。嫌われたくない。それでもやっぱり、私はこの世界が好きだ。一度は人間に対して憎んでしまったが、やっぱり憎みきれない。それだけ私は、ここに住んでいる仲間たちと同じようにリリーが住んでいる世界も好きなのだということだろうか。


 それでもやっぱり、こうしていつまでも好きでいられるのは、やはり愛する奥さんであるリリーのお陰なのだろうか。


(世の中何があるか分からないな。こうして考えてみると、私は果報者なのだろか)


 

「──か!」


「──いか!」


「陛下っ!!」

「っ!!?」

「どうかしましたか?」

「あぁ、いや………。なんでもないよ。ただ少し、考え事をしていただけだ」

「そうですか。なら良かったです」


 いつの間にか物思いに浸っていたらしい。気づけば流水ショーは終わっていた。リリーはかなり心配そうな顔をしながらも、私が大丈夫だと答えると安堵の表情を浮かべていた。


 

 歓迎会でのショーは終わりらしく、あちらこちらを見渡してみれば酒を呑んだり、おしゃべりをしていたり、ご馳走を食べている者もいる。他にもエルフ族は空を飛べるので、あちこちと回っていたりら木に座っていたりと様々だ。


 ついでに言えば、私の側近であるヴァシェロンは、いつの間にかエルフの酔っぱらいどもに絡まれていた。女性の酔っぱらいなら、まぁいいだろう。本人としても、絡まれるくらいどうってことないはずだ。だが、絡んでいるのは女性ではなく男だ。しかも1人や2人ではない。5、6人に絡まれている。なんとも御愁傷様とかいいようがない感じに思わず苦笑してしまう。

 ヴァシェロンは何とも言えないような雰囲気に呑み込まれており、体が小さく纏まっている。助けたいのは山々なのだ気が引けてしまうのは、目の前の光景を見てしまっているからだろか。


(助けてやれなくて悪いな、ヴァシェロン。頑張って耐えてくれ)


 その言葉を残しリリーと共に今宵の主催者である二人の元に向かう。




◆◆◆

「エル、フローラルーン」


 少し遠くから声をかけ、パァッとなったエルがこちらに向かって猪のように突進(抱きつこうと)してきたので、リリーを肩に寄せサラッとかわした。

 

「あの………陛下。一回くらいは受け入れてあげてもいいのではないでしょうか…?」

「男からのハグだなんて気持ち悪いだけだよ。私はリリーからしてくれればそれだけで十分なんだかな」

「──っ!」

「…………」


 別に口説いたつもりはないのだが、一瞬にして頬を赤く染めている。案外、口説き文句もどきに弱いのかもしれない。良い弱点を見つけてしまったと秘かに思っている。

 リリーから目を反らしてフローラルーンを見てみれば、相変わらずねと言いたそうな顔をしている。

 抱きつこうとしてきた張本人はかなり落胆しているが、自業自得だと思えばいくらでも放っておくことが出来る。


 でもとりあえずは他国から来たものとして感謝の言葉を述べないといけないので一言一句、ひたすら美辞麗句を並べていく。


「今宵は(わたくし)どものためにこのような会を開いていただき誠にありがとうございます。精霊祭のまでの短い間ですがお世話になります。滞在させていただいている間に何か手助けできることがあれば、なんなりとおっしゃってください……………とりあえずはな。変なことには巻き込むなよ。特にリリーにはな…」

「分かってるって!!溺愛してんなぁ。それよりもいちよう、社交辞令をあんがとな!!俺もここの王様だからよぉ。面目を保させてくれて助かるぜっ」

「…はぁ、全く。しっかりしろよ」

「わあってるって!!」


 彼は本当に素晴らしいほどの軽快ぶりだ。しかもいつの間にか肩を組んできているし。別に構わないがなんだかフラフラしているな。………そういえば酒臭い。


「そうだあ!なぁアル、久しぶりに会えたことだしさ、二人きりで飲まないか?昨日の夜は真面目な話ばっかだったしさ」

「別にいいが、お前はさんざん飲んだのに大丈夫なのか?というより、まだ飲むのか?」

「もちろん!他にもいろいろ話したいこともあるんだよっ」


 どうだ?と顔を赤くしながら尋ねてくる。とうにへべれけのくせに本当に大丈夫か?とか言いたいことは山ほどあるが、せっかくだからと付き合うことにしたのだ。だが、そうしてしまうとリリーを1人にしてしまうと思ったのだが、チラリと見ればフローラルーンとなにやら上手くやれているようで良かったと安心した。



 そうして二人で場所を移して語り合う。

 だが、この選択を後から後悔するはめになるのはあと数時間後の話だ。












おまけ


 冒頭からの話をこっちに持ってきました。二人は二日酔いです(笑)



「はぁー、それにしてもなんでお前の要求をのんだんだろうな。全く自分が嫌になる。飲み比べとか子供か…」

「まあ、そう言うなよ、……う"っぷ。き"もちわるっ。俺が言ったときにはお前も、多少なりとも酔ってたろう?」

「まぁな。あ"ー、頭が痛い。リリーたちは今頃何をしているんだろな」

「さぁな、……そう言えばフローラがリリーちゃんをお茶会?に誘うとか言ってたぞ」

「…そうかぁ。─ってかちょっとまて。いきなり、リリーのことを愛称で呼んでないか?」

「んー?そうだっけなぁ……。そんなことはないと思うぞ………。…………多分」

「ほんとうか?」

「う~ん。多分なっ!………イテテ、大声出したから頭が割れるぅ………」

「自業自得だろ。はぁー、もういい。……もう一眠りするから起こすなよ」

「テーブルの上で伏せ寝するのか?」

「あぁ。ベッドまで移動するのがめんどくさい。という訳だから、もし起こしたら殺すぞ。…おやすみ」

「んなことに自分の命かけられるか!!────まぁいいや、俺も寝る。…………スピー」






ありがとうございました

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