いざ!エピナント国へ
新章を出してから三話目になりましたー(^^)
今回もよろしくお願いします!
ガタッ、ゴトゴトゴト
王室専用の豪華な馬車に揺られ、今私達はエピナント国に向かっている。
いよいよ、一週間後に迫ったエピナント国のお祭り『精霊祭』が開催されるのだ。
車内では私の隣には旦那様が座っている。そして向の席にはカトリーヌ。その隣にメアリーが居る。ちなみに、ヴァシェロンは中にはおらず、御者の隣にいる。
私はここ最近、精霊祭が楽しみで楽しみで仕方なった。城内の中ではいつもルンルン気分でスキップだって無意識の内にしてしまっている。
メアリーに「気をつけてくさださいね」と何度も言われてしまった。
兎に角、私の頭の中はそのことでいっぱいすぎて、旦那様である陛下を何度放ったらかしにしたことか。しまいには鼻をつままれ「私にもっと集中してほしいものだ」と言われる。
そして、摘まんでいた鼻から手を放すとすぐさまキスの嵐がやってくるのだ。まだまだキスが慣れない私は、そのたびに硬直してしまう。
早く慣れたいなぁ、と何度も思う毎日だった。
◆◆◆
馬車の中では、リリーとメアリーとカトリーヌが女子トークに花を咲かせている。一方、アルファスは窓の外を見ながら、広大な大草原を眺めていた。流石に、女子トークの中に男性は入りずらい。
ここ最近、アルファスにはある感情が芽生えていた。それは
寂しい、という感情だ。
『寂しい』というその理由は簡単だった。ここ最近、リリーが私の相手をしてくれなかったというものだろう。リリーが上の空な理由は十分なほどに分かってはいたが、心のどこかにやはり堪えるものがあった。
声を掛ければ答えてくれるが、どこか他のことを考えてるような気もする。私のことだけをずっと考えていればいいのに、と思うのは独占欲が強い方なのかどうかは今はよく分からない。
「はぁ─」
と、いつの間にかため息が漏れていた。しかも無意識の内に。彼女たちは今もなお、女子トークで盛り上がっている。
今のため息を正直、聞かれなくて良かったと少しだけ安堵するアルファスだった。
しばらくして大草原だった景色はいつの間にか並木道へと入って行っていた。道はきれいに補整されており、両側には大きな桜並木がずっと先まで続いている。この桜並木の終着地点にはある特殊な結界が張ってあるのだ。結界を抜けた先に、私たちが目指しているエピナント国がある。
(そろそろだな)
桜並木の中盤地点に入った為、アルファスは領主妃の待女であるカトリーヌに声を掛けることにした。
「カトリーヌ。そろそろ国に入るんじゃないのか」
「あっ、本当ですね。すみませんっ!つい、話に夢中になってしまっていて、気づきませんでした」
「いや、構わないよ」
あわわ、と謝るカトリーヌが「ありがとうございます」と言い、緩まった気持ちを入れ替えたのかビシッと背を正す。
「リリー様、アルファス様、メアリーさん。もうすぐで桜並木の終着地点になります」
「エピナント国に初めて行くから本当に楽しみだわっ!」
と、今日も花のような笑顔を見せてくれる我が妻。本当に愛らしい。
美しい笑顔に当てられ気づけばふっと微笑んでいた。すると後ろの方からトントントンと音がする。
「皆さま、そろそろ結界の中に入ります。入りますとすぐに国にに到着しますので、降りる準備をなさってください」
「ああ、分かった。ありがとう」
「ありがとう!ヴァシェロン」
「いえ」
声の主は御者の隣に居るヴァシェロンだ。私が礼を言ったらすぐさまリリーも声を掛ける。
他の二人も「ありがとうございます」と声をかけた。
◇◇◇
馬車の中で私たちは女子トークに花を咲かせていた。
「へぇ!カトリーヌは時間さえちゃんと意識していれば、地面に落ちちゃうことはないんだね」
「はいっ、そうなんですよ!大抵の人は、ついつい飛ぶのに夢中になってしまって時間を忘れちゃうこともあるんです」
私が前のめりになって聞いている話はエピナント国の呪いである、飛行時間についてだ。あまり深く関わらない方がいいかと思ったのだが、カトリーヌ自ら笑い話として話してくれている。飛行している時の失敗談や間抜けな話などなど。とにかく話題が尽きない。
カトリーヌの隣に座っているメアリーも自分の国のことについて話してくれたりと、こうも国によって文化、伝統が様々なのだなと改めて勉強になる。
キャハハと話していると、私の隣に座っていた陛下が声をかけてきた。
「カトリーヌ。そろそろ国に入るんじゃないのか」
「あっ、本当ですね。すみませんっ!つい、話に夢中になってしまっていて、気づきませんでした」
「いや、構わないよ」
あわわ、と謝るカトリーヌが「ありがとうございます」と言いビシッと背を正した。
「リリー様、アルファス様、メアリーさん。もうすぐで桜並木の終着地点になります」
「エピナント国に初めて行くから本当に楽しみだわっ!」
そう言ってから少しだけどうしても顔がニヤケてしまう。正直言って、今まさに超興奮しているのだ。飛んでいる人を実際に目にすることが出来るなど、前世の日本ではあり得ないことであり、ましてや世界中を回ったってそういう人には出会えないし場所にだって絶対にたどり着けない。
今世最高!!!って感じだ。いや、もしかしたらもっと言葉では言い表せないほどかもしれない。
「皆さま、そろそろ結界の中に入ります。入りますとすぐに国に到着しますので、降りる準備をなさってください」
ヴァシェロンの言葉で興奮していたのが少しだけ冷静を取り戻せたような気がする。
(落ち着け…私……!!エピナント国は待っててくれる!)
いざ!エピナント国へ!
そうして馬車はシャボン玉のような虹色の結界に吸い込まれていくように入って行った。
読んで頂きありがとうございました!