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私の愛するご主人様

二章の前に番外編です。

メアリーの思い出話にお付きあいください(*´ω`*)

 





 私の名前はメアリー。

 レナトゥ-ス国の城に来てまだ2年目の新米です。もうすぐ3年目になります。


 私はレナトゥース国の南東にあるオルジャン国からやって来ました。オルジャン国は炎系統の魔法が一番得意であり、なにより戦闘部族でもあるのです。そこに産まれた者は、小さい頃から必ず武術の訓練があります。


 それはそれはもう厳しいものでした。どんなに泣いても懇願しても辞めさせることはありません。どんなに辛くても頑張らなくてはならないのです。

 そのかいかってか私は、とても強く、たくましく育つことが出来たのです。


 私には小さい頃からある希望がありました。

 それは、いつか大王都であるレナトゥース国の城で働くこと。私の国ではそれは一番、大変名誉があることなのです。



▽▽▽

 レナトゥース国に来て1年目はとても緊張し、大変な毎日でした。


 まずは服装です。

 黒ぶち眼鏡はいつものことですが、茶色の髪は後ろでお団子結びにしなければなりません。

 なによりロングのメイド服は動きにくいったらありゃしません!


 私がいたオルジャン国ではいつでも戦闘体勢に入れるようにいつもラフな格好なのです。


 服装が少し気になったので一度、お城の中で一番偉いメイド長に質問してみたのです。「長すぎませんか?」と、すると「これが基本です」とあっさり返されてしまいました。


 でも私もわがままではありません。

 “郷に入っては郷に従え”この言葉があるように私も自分なりにいろいろ工夫をしてみました。

 かなり期間はかかりましが、やっと見つけたのです!


 簡単にですが、私は太ももの所にナイフを縛り付けるようにして仕込むことにしました。


 我ながらなんていいアイデアなのでしょう!

 自分を自分で褒めて差し上げたいです!


 のほほんと過ごしていると「はっ!」とあることに気づいたのです。オルジャン国では考えられないようなこと


 それは、武術の訓練がない!というこでした。


 頭の中では分かってはいましたが、やはり物寂しいものです。毎日当たり前のようにあったことが急に無くなったのですから。


 それでも、うかうか言ってられないのです。

 私にはやることが山のようにたくさんありました。

 まずは城内を全て覚えること、清掃、料理の手伝い、お庭の手入れなどなど………やることがいっぱいあったのです。

 その中でも特に一番厳しかったのは、紅茶の入れ方でした。


 温度に時間、少しでも間違えてしまうと味や風味が落ちてしまうことに凄く驚きました。

 いままでろくに、紅茶などと縁がなかった私はたくさんのメイドの先輩方々にいろいろな指導をもらったものです。


 そして気づけば誰にも負けないくらい上達していたのはまだ少し先のお話しなのですが…。



▽▽▽

 城に来て二年目になった私は、少し慣れてきた自分がいます。


 少し余裕が出てきた私は、体が鈍ってしまわないように早朝に自分なりの朝稽古をしています。

 場所は、城の敷地内の誰も見ていないような視角の場所です。

 なぜここかというと、仕事で回廊を通っていたときにたまたまいい場所だと思ったのがきっかけです。訓練場もあるのですが、私には広すぎます。なので、芝生が綺麗な場所でもあるここを使わせて貰っています。


「ふっ!ーやぁ!!!」


 かれこれもう二時間、ナイフを使い横に振りながら全神経を研ぎ澄まします。当たり前ですが周りには誰もいません。


 いたらむしろ怖いですが………。


 私は、タンクトップにハーフパンツ姿。兎に角、動きやすい服を着て朝稽古をするのです。


「ふぅ。今日はこれくらいにしましょう」


 少しあった霧も晴れてきて、空には朝日が出てこようとしています。

 さすがにもう誰かが起きて来るだろうと思った私は、自室に帰ろうとしました。


 すると、木にもたれ掛かりながら私を見ている人がいたのです。しかも普段はめったにお目にかかれない、人物が。


 そう、その方はこの国の国王陛下であり、私達の(あるじ)でもある方。

 整った顔立ちに、水色の瞳、肩まである銀髪の髪はに一つにまとめれている男の人。


 アルファス・ディア・レナトゥース様が。


 普段から鍛えられているはずなに、まっっっったく気配がしなかったのです!!

 王様となろう者は気配を出さないものなのでしょうか?


 その方に気づいた私は速攻で片ひざをつけ、頭を下げたのです。


「べつにそんな畏まらなくてもいい」


 といいながら、私に向かって来ました。

 その時の私の心臓は兎に角、バクバク煩いくらいでした。


 アルファス様が楽にしていい。そのように仰っていたので姿勢をただし、なにか言われるのではないかと内心ヒヤヒヤしながら次の言葉を待っていました。


「そなたは、オルジャン国出身だったな。普段から朝稽古をしているのか?」

「はっ、はひっ(はいっ)!といいましてもつい最近からですが…」


 緊張してしまい思わず噛んでしまいました。そのように言葉を返すとアルファス様は大変興味を持たれたようで、いろいろな質問をしてきたのです。


「基本的な戦闘種類はどのくらいあるんだ?」

「はいっ!えぇと、武術や剣術、格闘術など様々な種類があり、数えきれないほどあります。他にも自己流の流派などがあります」

「へぇ。結構あるんだな」

「はいっ、そうなんです」


 と、質問をされたことに対しての答えを繰返していきました。

 レナトゥース国ではあまりオルジャン国から来た人は少数みたいで、私みたいに城で働きたい人はそうそういないようです。働いてもすぐに辞めてしまったりと、長続きしないようです。そのため、お城で働くことは名誉なことなんだなと意味がやっと分かりました。


 私も長続きしないこの気持ちは分かります。武術の訓練が出来ない窮屈な中での生活。でも、一度決めたらやり通す。それが最近の私のモットーなのです。



▽▽▽

 私がここで働き初めてからもうすぐ3年が経とうとしています。

 私の上司でもあるヴァシェロンさんから呼び出しがありました。場所は普段はめったに入れない、アルファス様の執務室。

 流石に緊張しますし、冷や汗が止まりませんっ。それでも、入らない訳にはいかないので意を決します。


 トントントン………。


「どうぞ」


 ヴァシェロンさんに促されて入った執務室は何かと質素な場所でした。

 目の前には机に腕を置き椅子に座っていたアルファス様がおられました。


 私が「どのようなご用件でしょうか」と恐る恐る訪ねてみると、とんでもないお言葉が返ってきたのです。

 それは、「私の妻になるものの侍女をしてほしい」というものでした。


「えぇ!?!?」


 と驚きを隠せません。今まで、結婚なんてしない!と言っていらしたアルファス様がいきなり結婚とは…、どういう心境の変化なのでしょうか。昔からアルファス様は一生結婚をしないのではないか、という話は多岐に渡って有名な話なのです。


 しかもその後に続けられた言葉がより一層私を驚かされました。それは、


「私が妻にするものは外の世界の王族であり、人間の娘だ」

「・・・」


 というもの。流石に言葉を失います。


 人間と魔族は昔は共存していたという話はありましたが、まさかここで人間の娘を妻に娶るとは。驚きを隠せません。


 それでも、アルファス様人間の娘を妻にするということは、アルファス様に仕えることと同じこと。たいそう名誉のある仕事を私でいいかのかと言葉を返すと、


「人間はか弱い生き物だ。もしものことを想定し、メアリーの武術の腕をみこんだ。これを頼めるのメアリーしかいない」


 と仰ったのです。


 アルファス様の真剣な眼差し。これが決定事項であるというのなら私は従いましょう。

 我が主のために……。



▽▽▽

 それから数ヶ月してやって来た、アルファス様の奥方はたいそうお美しい方でした。

 お顔も整っていられて、金髪のストレートヘアーにサファイヤみたいにに綺麗な青。私達が住んでいる大陸にはいない容姿でついつい見入ってしまいます。


 初めてお会いしたときはドギマギしてしまいましが、とても気さくな方で、お優しい方。

これなら安心してアルファス様のことをまかせられます。


 私も精一杯、あなた様に使えさせて頂きますね!

 私の愛するご主人様。






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