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魔王の妻になる!!(10)






 私たちが思いを打ち明けてから、一ヶ月後。


 今日は、私たちにとってもこの国にとっても一生一大の日。それは、


 結婚式だ。


 レナトゥ-スの国の中にある大聖堂で式を挙げることになっている。参列者は城の中で働いている者たち。

 私の家族は来れないがメアリーや他の皆もいるから平気だ。

 そのあとに居城内で、お披露目パーティー。ということになっている。

 この大陸に住んでいる人達にもたくさん来てもらえるように普段は一般解放しない大門も開けられている。


 たくさんの人に祝ってもらえるだろうかと少しばかり憂い顔をしているのは、本日の主役の一人のリリアーナ・ディア・レナトゥ-スだ。


 純白の少しフリルのついたウエディングドレスにサイドが編み込みされているシニヨンの髪型。そして、頭にはロングベールにティアラが乗っている。


 思い返せば4週間前からドタバタしていた。

 結婚式の招待状にドレスの採寸。

 そして、城下町への視察。


 まだ、一度も城の外へは出たことがなかったので彼の許可を貰い、メアリーの案内と共に一緒に歩いて回った。

 レナトゥ-ス国に住んでいる人々は皆、笑顔で溢れておりとても幸せそうだった。


 この国を大陸を独りで守ってるんだな。


 そういう風に、何度も思った。



 4週間前を思い返していると、控え室のドアが

コンコンと音がした。


 (? 誰だろう、メアリーかな?)


「はーい」


 がちゃり。


 ドアから入ってきたのは何と、もう一人の主役のアルファス・ディア・レナトゥ-スだった。


 何とも予想外の人物だったので、思わず椅子から立ち上がってしまった。


「へっ陛下!?何故こちらにっ!?」

「私が来てはダメだったか?花嫁殿」


 少し寂しそうな顔をするアルファスに対して慌てて、否定する。なんとも可愛らしい顔だ。


「いえいえっ!ただびっくりしてしまって。

てっきりメアリーかと思ってました」

「あぁ、そうだったのか。それにしても、とても美しくなったな。綺麗だ」


 笑顔で微笑みながら言う陛下に対し、顔が赤くなる私。


「あっありがとうございます。陛下もとても素敵です」

「そうか?ありがとう。そう言われると嬉しいよ」


 もう一人の主役である彼はは白と水色のフロックコート。銀色の髪は一つにまとめられていた。


 私の旦那様はなんてカッコいいのだろう。

 そう見とれていると。


「そういえばさっきメアリーに会ってな。そろそろ時間だそうだ」

「えっ、もうそんな時間ですか!行きましょう陛下」

「あぁ、行こうか」


 私の前には扉がある。そこを開けば旦那様が待っている。


もし転んだらどうしようぉ、とか考えていると


「お妃様、お時間です」


 ブライズメイドの二人が大きな扉がギィィと開ける。

 すると、目の前には一言では表せないほと暖かな雰囲気に包まれていた。


 沢山の人々に祝福されながら、旦那様を目指して長いバージングロードを一歩一歩、歩き出す。


 私は元々アニメオタクで妄想好きな女はずだったのに…今では不思議だな。


 今までは恋愛とは無関係だと思っていたのに今ではリアルの旦那様にゾッコンだなんて、世の中何があるか分からないわね。


 いろいろと思い返していると、気づけば彼の側まで来ていた。


「リリアーナ。手を」

「はい。陛下」


 手を差しのばされ、今度は二人で祭壇へとゆっくり向かう。


 誓いの言葉、誓いのキス、指輪の交換へと流れるように進んでいった。

 結婚式の流れ事態は不思議なことに、日本とほぼほぼ同じような感じだったので、余計な気を使わずにすんだのは自分の中では不幸中の幸いなのだろうか。

 なぜなら、ここの世界では式の流れ事態を自分たちで決めていいことになっているからだ。

 理由は特にないらしいが、要は"自分たちらしく"がモットーらしい。


 結婚式のあとは居城内でパーティーだった。

 居城内といってもお庭でガーデニングパーティーで、並べられている料理はビュッフェ形式だった。


 この国に住んでいる人々や、国外から来てくれたりと大人から子供まで多種多様な人々が来てくれていた。


 実際私達夫婦は、お庭のなかで何をやっていると思うか?


 そう、答えはお庭の中をグルグルと挨拶回りだ。


 どれくらい回っただろうか、流石に疲れた。


 そう思っているとナイスタイミングて彼が声を掛けてくれた。


「流石に疲れたな。こっちのベンチに座ろうか」

「そうですね。私も少し疲れました」


 庭にあるベンチに腰掛け二人してまったりしていると、


「お母さん見て!魔王様とお嫁さんだぁ!!」

「本当だね。魔王様、お妃様。この度はご結婚おめでとうございます」


 丁寧に祝福の言葉をくれたのは男の子とお母さんの親子だ。


「ありがとうございます。これからは夫婦共々宜しくお願いいたします」


 彼がが素早く立ち、お礼の言葉を添える。私も彼に習って立ち上り、


「私もこの国の為に頑張りますのでこれから、宜しくお願いいたします!」


勢いよく頭を下げながら言うと、


「あっ頭を下げるのはおよし下さいませ。王妃様。こちらそ、これから宜しくお願いいたします」

「はいっ!」


 挨拶し終わった後は男の子に「行くよ」と言って去って行った。


 ガーデニングパーティーは、たくさんのお客さんが来てれてとても楽しい、忘れられない一日となった。


 いろいろなことがあって夜となった。


 そして私は私は初めて陛下と一緒に寝る。

 いわゆる、結婚初夜ってやつだ。


 ちなみに今は旦那様のドアの前にいる。

 ずぅぅぅっとここで立ち往生しているのだ。


 なぜかって?


 いわゆる緊張だ。


 最初で言おう、私の今の姿はお風呂上がりで、バスローブ姿なのだ。

 別に誘っているわけではない。

 断じて違う。メアリーがたまたま用意したものだ。

 もう一回言おう、別に誘っているわけではない!!(大事なことなので二度いいます)


 いつ入ろう、そう思ってうろうろしていると

ガチャリとドアが開いた。


「ん?なにやってるんだ?早く入れ」

「は、はい…」


 同じくバスローブ姿の陛下が私を向かい入れてくれた。


「失礼します………」

「別に今日は何もしない。だから、そんなに緊張するな」

「!!!」


 ビックリした。完全に心の中を見透かされている。


 緊張しながらも彼の部屋の入りベットに腰掛ける。


 ここでふと、ガーデニングパーティーの時の親子からある言葉を思い出した。


「あの、陛下」

「どうしたんだ?」


 ドスっと私の隣に腰掛ける。


「そういえば、あの時の親子のお母さんから『魔王様』って呼ばれてましたよね?もしかして、あの親子も私が来た外の大陸から来たんですか?」


 と、ふと思った疑問をぶつける。


「あぁ、あれか。簡単な話だ。ここには多種多様な人々が暮らしている。勿論、魔族のな。

城内では皆『陛下』と呼んでいるが、城の一歩外を出ると『魔王様』と読んでいる者もいるんだ。ここでは、『魔王』と言う言葉は略式化されたものなんだ。何の略式か分かるか?」


 略式………そんなのあるんだな。


 う~ん。と腕を絡ませ考えるが、分からない。


「略式………。何でしょうか?想像もつきません」

「ははは、そうか。簡単な略だよ。私は、魔法の国の王様。略式して『魔王』だよ」

「えっ!!そんな簡単な事だったんですか!?知らなかった。でも、私達の国では違う意味の『魔王』になってますけど……」

「『魔王』と言う呼び名は多分、誰かがいつの間にか他の大陸にも伝わったんだろうな。私がしてきたことを含めて……な」

「陛下…」


 もの寂しそうに窓の外を見上げる。


 実際、いろいろ寂しかったのだろう。

 でも、


「陛下!これからは私が居ます。何でも言って下さい。辛いことでも悲しかったことでも。私に教えて下さい。私はいつだって陛下の見方ですから!!」


 彼のの腕を掴みながら、精一杯の気持ちを伝える。


すると、突然口を塞がれそのままベットの後ろに押し倒されてしまった。


「んっ?!」


やっと長い長いキスが終り、


「ありがとう。リリアーナが私の妻で良かったよ。これからもよろしくね」

「はい。陛下、こちらこそこれからもよろしくお願いします」




 今日の結婚式で愛を誓い合った瞬間、私は魔王という名の妻になった。

 私たちの物語は始まったばかり。時には大変なこともあるだろうし、困難に立ち向かうこともあるだろう。だが、それらのことを一緒に少しずつ一歩、一歩、解決していけばどんなことにも立ち向かえる。そんな気がするのだ。

 これからの毎日は、ドキドキとワクワクが止まらない、そんな日々にこれからなりそうだ。







ここで第一章は完結という形になります。

出来るだけ早めに続きを投稿させていただきます。


これからどんな事が待ち受けているのでしょうね(*^^*)


読んでくださりありがとうございました。


二章の前に番外編です。よろしくお願いします



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