6話 尊、市場で買い物をする。
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メイプルとミュートに、スキル石を使ってスキルを覚えて貰う。終わったの確認すると、念のため2人に鑑定をかけた。
メイプル ♀ 狼人族 20歳
職業 奴隷
スキル
植物知識 Lv2 薬品作成 Lv1 短剣術Lv4 ”アイテム精製Lv1” ”料理Lv1” ”服飾作成Lv1” ”剣術Lv1”
ユニークスキル
装備
旅人の服、旅人のズボン、旅人の靴
備考
狼人族 族長の娘
ミュート ♀ 猫人族 18歳
職業 奴隷
スキル
動物知識 Lv2 弓術 Lv3 短剣術Lv1 服飾作成Lv1 ”アイテム精製Lv1” ”料理Lv1” ”剣術Lv1”
ユニークスキル
装備
旅人の服、旅人のズボン、旅人の靴
備考
猫人族 族長の娘
問題なく覚えていることを確認すると、ティーさんに家の鍵を渡される。すると後ろから声が聞こえて来た。
「商人様の遺品ですが、配達の準備が出来ました。」
「ビーチ様、ありがとうございます。
尊様。商人様の遺品をこのまま家までお持ちしたいのですが、よろしいでしょうか。」
俺はメイプルとミュートに準備はどうかと聞くと、”大丈夫です”と答えが返ってくる。ビーチさんにお願いして、家まで荷物を運んでもらう。
「ビーチ様、この度はありがとうございます。」
「尊様。私のことはビーチで構いませんよ。様付けは慣れません。」
「わかりました。では、私も様なしでお願いします。」
俺は家に到着するまでの間に、”イーストダンジョン”のことをビーチさん色々聞いてみた。
「そうですね。手前のマップの魔物は特に問題ないと思います。攻撃しても反撃してこない魔物がほとんどですし、私も短剣一本で小麦や野菜を取りに行きますよ。
ですが、森の奥の方は止めておいたほうがいいですね。布系を落とす魔物は縄張りを入られると、怒って攻撃してきますから。
そうだ、尊さんは3人で”イーストダンジョン”に入られるのでしたら”パーティー”を組まれた方がいいですよ。」
「”パーティー”ってなんですか。複数で”イーストダンジョン”に入るのとは違うのですか?。」
「”パーティー”を組んでいると、”パーティードロップ”がありますから。
”パーティードロップ”って言うのは、リーダーが倒した時にリーダー以外の人が食料や素材が手に入ることです。例えばですが尊さんが、植物の小麦から”小麦”をドロップすると他の2人にも”小麦”がドロップします。」
「ではパーティーを組んで、”イーストダンジョン”に入る人は多いのですね。」
「意外と少ないですね。”パーティードロップ”の効果はリーダーから半径100mぐらいなので、100m超えるとドロップしません。同じモノを狙うなら効率がいいですけど、複数で違うモノを狙う場合だと本命までに荷物が一杯になったりしますから。」
「なるほど。では、どうやって”パーティー”を組むのですか。」
ビーチさんは、”パーティー”を組みたい人に、パーティー申請って念じてみるように言う。メイプルとミュートが何か気が付いた仕草をしてくる、そしてメイプルとミュートが頷いている。それを確認したビーチさんは俺に、”ステータス”を見るように言ってくる。俺は言われた通り、ステータスと念じる。
伊吹 尊 ♂ 人族 20歳
職業
スキル
アイテム精製Lv1、料理Lv1、服飾作成Lv1、剣術Lv1、短剣術Lv1
ユニークスキル
取得経験値UP(パーティー含む)、世界の理の書+αLv∞、アイテムボックス(容量無限)鑑定Lv-、マルチリンガル
装備
ロングソード、旅人の服、旅人のズボン、旅人の靴、極運の指輪
備考
”パーティー(リーダー)”
次にメイプルとミュートを確認する。
メイプル ♀ 狼人族 20歳
職業 奴隷
スキル
植物知識 Lv2 薬品作成 Lv1 短剣術Lv4 アイテム精製Lv1 料理Lv1 服飾作成Lv1 剣術Lv1
ユニークスキル
装備
旅人の服、旅人のズボン、旅人の靴
備考
狼人族 族長の娘
”パーティー(リーダー 尊)”
ミュート ♀ 猫人族 18歳
職業 奴隷
スキル
動物知識 Lv2 弓術 Lv3 短剣術Lv1 服飾作成Lv1 アイテム精製Lv1 料理Lv1 剣術Lv1
ユニークスキル
装備
旅人の服、旅人のズボン、旅人の靴
備考
猫人族 族長の娘
”パーティー(リーダー 尊)”
確かに、メイプル、ミュートと”パーティー”を組むことが出来たみたいだ。因みに、”パーティー解散”と念じるとパーティーを解散できるとのこと。
「ありがとうございます。他に持って行ったほうがいいものってありますか。」
「私は荷物を入れる”ショルダーバッグ”があれば充分ですね。
因みに私は購入しましたが、”革”と”丈夫な糸”を準備してスキル”服飾作成”を使えば作れますよ。」
そんなことを話していると、購入した空き家に到着した。俺達は家の中にに荷物を降ろすと、ビーチさんにお礼を言って別れた。
俺は玄関の扉を閉めると、メイプルとミュートにこれまで黙っていたことを話した。違う世界から転生したこと、レイチェルにユニークスキルを貰ったこと、本来の俺の喋り方はもっと荒っぽいことも。
「奴隷契約をしてしまってから、言うのは卑怯だと思っている。もし怖いと思ったり、嫌だと思ったりしたら言ってほしい、その時は奴隷から必ず解放するから。」
俺は頭を下げながら、メイプルとミュートに謝った。
「尊様、頭を上げてください。私はあなた様に感謝こそしますが、怖がったり嫌だと思ったことはございません。それに話し方が荒っぽいとおっしゃいましたが、私の父の方が乱暴でしたよ。」
俺が頭を上げると、メイプルが綺麗な顔で微笑みながら話してくる。すると、ミュートも俺に話かけてきた。
「尊様、私達に丁寧な言葉でお話されていたのはなぜですか。それは初めて会った時に、私が怖がったからではないですか。」
ミュートの質問に、俺は無言で頷く。ミュートは俺の顔を真っ直ぐ見ながら、続きを話してくる。
「尊様、私は尊様のことが大好きですよ。
”私達のため村まで送ってほしい”って我儘を聞いてくれました。”私達と一緒にご飯を食べてくれました。”そして怖がる私のために優しく話してくれて、さっきも黙っていても良かったのに”私達が嫌な思いをするなら奴隷から解放してもいい”って言ってくれました。
私は尊様に出会えて幸せです、だから捨てないでください。私頑張りますから・・。」
最後の方は声がだんだん小さくなっていった。そういえば初めて会った時も、帰る家がないと言っていたな・・。俺はミュートの頭を撫でながら、”ありがとう”と言う。
俺は”アイテムボックス”と念じると、縦10マス✕横10マスの碁盤のような画面に現われる。それから”革”の山に手を触れると、革の山が消えてしまう。
「えっ、革が消えた。これが尊様のおっしゃっていた、神様から頂いたスキルですか。」
メイプルが驚いて聞いてくる。俺は”その通りだ”と応えたが、内心驚いていた。お金をしまう際は胸のあたり現われた穴に、1枚づつ入れるものと思っていたからである。アイテムボックスの画面を見てみると、”革のアイコン”とその右下に小さく”✕200”と表示されている。
次に薬草の山に手を触れると、同じように薬草の山が消えてしまう。そして、アイテムボックスの画面を見てみると、微妙に違う葉のアイコンが3個出ていたで詳しく見てみる。
ルーン草 ✕ 20
マール草 ✕ 100
ギーザ草 ✕ 30
と書いてあった後で、”世界の理の書+α”で調べておくこにした。残りの”砂糖”と”塩”と”小麦”も入れてしまう。最後にお金が500,000G残ったので、メイプルとミュートに質問してみた。
「メイプル、ミュート。新しい家での生活に必要な物って何がある?。」
2人は少し考えた後に、応えてくれる。
「取りあえず、”着替え”、”行水に使う布”、”洗濯道具”でしょうか。後、蝋燭と手持ちの燭台もですね。」
「う~ん、お水は井戸から手に入るけど。暖炉やかまどに使う”薪”と”火打ち石”や掃除する”箒”もいると思います。」
俺は”なるほど”と頷きながら、さらに質問する。
「それらは、市場に向かえば揃いそうか?。」
メイプルは”・・・、大丈夫なはずです”と少し含みのある話し方をしていた。
「じゃあ、市場で必要な物を買いに行こうか。ついでに、ビーチさんが言っていた”ショルダーバッグ”や”イーストダンジョン”に必要な物を3人分買おう。」
メイプルとミュートが頷いたので、家の鍵をかけて俺達は市場へ向かった。
市場に到着すると色々なモノが売られていた。小麦粉、野菜、砂糖、塩などの食品。糸、布などの衣服関係。桶や蝋燭、洗濯道具などの雑貨。
色々買うモノがあるが、取りあえずビーチさんも言っていた”ショルダーバッグ”を売っている店を探す。すると革製品を売っている店を発見したので、覗いてみる。
「すいません、こちらに”ショルダーバッグ”はありませんか。」
後ろで作業をしていた店主が、”いらっしゃいませ”と言いながらこちらを向く。後ろにいるメイプルとミュートを見ると、少し顔が険しくなったがすぐ元に戻った。
「いらっしゃいませ、”ショルダーバッグ”でしたら、お取り扱いしております。いくつ必要でしょうか。」
「私を含めて、3つほど頂きたいのですが。」
店主は、店の後ろから”ショルダーバッグ”を3つ取り出してくる。
「お1つ、1,000Gですので、3つで3,000Gなります。」
「因みに1つで、どれくらい入りますか。」
「そうですね。30枠ござますので、30個までなら入ります。」
「こっちに引越して来たんで色々と入用なのですが、食材や洗濯道具や箒を一緒に入れるとダメですよね。」
「いえいえ、大きさや重さに関係なく。30個分なら問題なく入りますし、取り出す時も念じて手を入れれば出てきます。」
店主は”ショルダーバッグ”の中に、売り物の”旅人の靴”と適当な小物を入れてから”旅人の靴”だけ取り出してみせた。
俺は店主に3,000Gを支払って、”ショルダーバッグ”を3つ受け取る。そして、メイプルとミュートに1つずつ渡す。
「ありがとうございます、尊様。」
「尊様、ありがとござます。」
それまで黙っていたメイプルとミュートが、お礼だけを言ってくる。それから俺達3人は生活に必要なものを買っていき、最後に武具屋によることにした。
「すいません、お邪魔します。」
「いらっしゃい、本日はどのようなご用で。」
俺は”イーストダンジョン”に3人で入るのに、必要な装備を見繕てほしいとお願いする。
「こっちも商売だ、売らない訳にはいかないが1つ確認をしたい。後ろにいる2人の獣人はお前の奴隷か?。」
「その通りですが、何か問題がありますでしょうか?。お恥ずかしいことに、こちらの村には初めて来たのでこの村の常識には疎いのです。」
俺は店主に理由を聞いて見ると、この辺の街道では偶に馬車の荷を襲う獣人がいるらしい。獣人の全てが悪くないのは分かっているが、被害が出ているは事実である。そのため、村では獣人に対して快く思っていない人が少なからずいること教えられる。
俺は店主に説明してくれたことにお礼を言い、仮に後ろにいるメイプルとミュートが粗相をした時は損害はこちらが持つと約束をした。
店主の方も”疑って悪かったと”と謝り、”イーストダンジョン”での武具のアドバイスをしてくれる。
「”イーストダンジョン”の手前のエリアは、防具はいらない”短剣”があれば大丈夫だ。鶏の魔物の”コッケー”だけは攻撃すると襲ってくるが、擦り傷ぐらいで防具が必要なほどではない。
だが、奥のエリアに住む”スケアクロウ”や”スパイダー”は縄張りに入ると体当たりをしてくるので、”革の鎧”か”革の胸当て”、武器では”ロングソード”や”ショートソード”を持っていた方がいい。」
「他の武器はないのですか?。」
「他所ではわからんが、ここでは扱ってない。良くも悪くも物価が安いので、高価な武具は売れないからな。」
店主に説明のお礼を言って、メイプルとミュートに”ショートソード”を。防具は動きやすさを重視して、3人分の”革の胸当て”を購入した。店を出るとメイプルとミュートが、頭を地面に擦り付けて俺に謝ってくる。
「尊様。私達のことで不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。何か罰がございましたら、謹んで受けます。ですから、何卒私たちをお傍に置いてください。」
「尊様、私もメイプルさんと同じです。叩いたり、ご飯をなしでも構いませんから捨てないでください。」
俺はメイプルとミュートを立たせた後、顔を見ながら話す。
「メイプル、ミュート。俺が知らなかったとはいえ、辛い思いをさせてすまなかった。」
そう言って、2人に頭を下げた。メイプルとミュートが驚いて”頭を上げてください”と言ってくる。それから俺達は市場にある全ての店に、”メイプルとミュートが粗相をしたら弁償するので邪険にしないでくれ”と頭を下げて回る。”信用してくれたのか””根負けしたのか”はわからないが、取りあえず”わかった”とは言ってもらえた。
「メイプル、ミュート、信用や信頼は積み重ねだ。
そして、この村の人が俺達を信用や信頼していないのは当然なんだ。だから、時間をかけて認めて貰えるように頑張ろう。」
メイプルとミュートから”はい”と元気な返事を聞けたので、早めの昼食を酒場で取った後俺達は自宅に荷物を置きに帰宅した。
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