52話 獣人達の技術取得
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俺は色々考えた結果、イーストウッド村と交易をさせることを提案した。
「メイプル。俺の意見を言わせてもらうと、獣人達とイーストウッド村と交易をするのが一番だと思う。
メイプルも言っていたが獣人達が山の恩恵だけでは物足りないと感じているならば、交易をして手に入るようにしないと行商人を襲う者が出てくる。」
「尊様が仰ることは分かります、ですが集落からは何を差し出せば宜しいのでしょうか。私とミュートさんの件もありますため、集落に者を納得させる材料は出さなければ上手くは行きません。」
俺はメイプルとミュートを通じて、2人の技術を何人かの獣人達に教えることを提案する。
「両集落の特産品で薬草と革だったか、それを加工してイーストウッド村へ販売する方法がいいと思う。それぞれの集落から獣人を集めて、メイプルとミュートが技術を教えるんだ。
そして出来るならばイーストウッド村に来てもらって、村の住民に受け入れられることが理想だな。作ったはいいが悪い商人しか売り先がないと、獣人側が損をするだけになってしまうからな。」
イーストウッド村ならイーストダンジョンから材料や食料を取ってくることも出来るし、俺とパーティーを組めばスキルの成長も促進されるため効率良く技術の取得が可能のはずである。
「尊様、ありがとうございます。早速ミュートさんと話し合って、住民たちに説明をしたいと思います。」
メイプルが去って行くと俺と2名の族長だけ残された、俺は族長達に”元気出してください。”としか言えなかった。
メイプルとミュートが集落の獣人達と話し合った結果、狼人族から10名、猫人族から10名の若者がイーストウッド村に来ることになった。
俺はハードウッドさんにお願いして、大きめの家を4軒購入して獣人達に住まわせた。メイプルとミュートに生活費がいくら出せばいいか聞くと、衣服と食事は2人で何とかするため必要ないとのことだった。
「尊様。お心遣いはありがたいですが、家を準備して頂いただけで充分過ぎます。」
「メイプルさんの言う通りです。本当なら私達で何とかしないといけない問題なんですから。」
因みにだが、酒場の仕事はハードウッドさんに頼んでビーチさんとナツメさんに助けて貰うことになっている。メイプルとミュートが獣人達に技術を教える間は、酒場の仕事とそれぞれスキルを教えて貰っていた仕事は休むことで話がついていた。
「本当か、メイプルちゃんもミュートちゃんも暫くはお休みかよ。」
「俺達の人生の癒しは無くなってしまったのか。」
酒場のお客様(男性陣)から非難の声が上がったが、ナツメさんの”それなら私が癒してあげようかい?”の一言で静かになった。
獣人達がこの村にやって来てから数日後、丁度酒場の仕事が休みなのでメイプルとミュートに獣人達の様子を聞いて見た。
「メイプル、ミュート。獣人達は大丈夫か、何か不満とかは出ていないだろうか。」
「尊様に申し上げにくいのですが、一部の獣人達から集落へ戻りたいと相談が来ています。」
「奴隷だった頃も住んでいたんですから、ホームシックということはないと思うのですけど。」
”一度俺が獣人達と話をしておいいか。”とメイプルとミュートに聞くと、”はい、お願いします。”返ってきた。俺はメイプルとミュートと一緒に、獣人達が暮らしている家に訪問した。
「皆さん、集合して下さい。今日は、私とミュートさんの主人である尊様がいらっしゃいました。」
メイプルの号令で、家の中にいた狼人族の若者が俺の前に集合した。狼人族の若者は、中学生か高校生ぐらいの歳で顔を見る限り明るくはなかった。
「メイプル、ミュート。若い獣人達には、どんな感じで教えているんだ。」
「朝起きてからそれぞれの家ごとで朝食を作り、その後は午前中はイーストダンジョンで食料と薬草の採取を行います。帰ってからは各々の家で昼食を作り、午後からはポーションの製薬をしてもらっています。それか・・」
俺はメイプルの説明を途中で止めると、1つだけ質問をした。
「彼らが遊ぶ時間はあるのか。もしくは、自由時間でもいい。」
「えっ、ありませんが・・。」
俺はメイプルとミュートにお願いして、獣人の若者達を全員集めるようにお願いした。狼人族の若者と猫人族の若者が俺の前に集合して、若干怯えた顔で俺を見ていた。
「メイプル、ミュート。この子達に今から小遣いを渡すから、今日1日は好きなように遊んでもらえ。あと今日の夕飯は俺が準備するから、時間になったら家に来るように伝えてくれ。」
俺の言葉に、メイプルを始めとしてここにいる全員が驚いた顔で俺を見ている。
「尊様。それだと若者達を、甘やかせることになります。」
「メイプルさんの言う通りです。それに、尊様にこれ以上はご迷惑をかけられません。」
メイプルとミュートの反対を聞きながら、反論する。
「メイプル、ミュート。彼らは技術を取得するためにここに来ているが、一番大事なことはこの村と交易出来るものを生産できる人を育てることだ。
だったら実際に市場で買い物をして見るのが一番だ、それに市場の人達と仲良くなれば交易もしやすくなるはずだ。」
俺はメイプルとミュート頼んで、に獣人の若者達と先に市場へ向かって貰う。俺は家に戻るふりをして誰もいない所でアイテムボックスを開き、獣人達の小遣いが入った財布を準備してショルダーバッグに入れた。
「それじゃあ、今からお金を渡すから順番に来てくれ。」
俺は獣人達の若者に、1千Gを入れた財布を渡していった。金額はいくらにするか迷ったが、クエストカウンターで初心者が1日で稼げる金額を考慮して決めた。
「尊様、本当に宜しかったのでしょうか。彼らに何も言わず、好きなものを購入させて。」
「私も心配です。余計なものを買って失敗しそうで。」
「メイプル、ミュート。重要なのは買って失敗しないことじゃなくて、買うときに何を考えるかだぞ。」
メイプルとミュートの心配に、俺は説明する。
「ここにいる獣人の若者達は何を買うのか迷うはずだ、そして色々な所を見て回ると物の値段がなんとなくでもわかってくるはずだ。
あとは自分の判断で、どれを買えば自分の理想に近づくかと考えられれば今日の経験は生きてくるはずだ。」
「尊様。先程はこの村と交易出来るものを生産できる人を育てることと仰ってますけど、このことも繋がってくるんですか?。」
「勿論だ。集落で取れるものだけでは、モノづくりをするのは難しいからな。俺達が持っているショルダーバッグだって革と丈夫な糸がないと作れないだろ。
もしショルダーバッグを作って売ろうとすると、丈夫なの値段を考えなかったら損することだってあるはずだ。損ばっかり続いたら、交易なんて出来ないぞ。」
メイプルとミュートが、”なるほど”と頷いているのを確認しながら話を続ける。
「まあそれ以前に、欲しい物が手に入ると嬉しいからな。何か嬉しいことがあるからこそ、今の苦しいことだって頑張れるの。このことはメイプルとミュートもわかるだろ。」
獣人の若者達の買い物も終わり、皆で俺の家に行きそこで夕飯を一緒に食べた。スキル”料理”を初めて見る者も多く、俺が作る料理の速さと味の両方に驚いていた。
俺はメイプルとミュートに酒場と同じように休日を作るようにお願いした結果、彼らの意識も高くなり目標のスキルを早く取得してくれた。
次の投稿は、本日のPM9:00頃です。
次で完結ですので、ご興味ある方はよろしくお願いします。




