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3話 尊、イーストウッド村に到着する

ミュートの運転で馬車を走らせること数時間、なんとか夕方までに村にたどり着くことができた。たどり着いた村は人の背丈ぐらいの石垣の続いており、村の門の前には革の鎧を来た男性が立っているのが見える。俺達は門の前で馬車を止めると、男性が話をしてきた。


「ようこそ、イーストウッド村へ。本日はどのような御用で我が村にお出ででしょうか。」

「お勤め、お疲れ様です。私の名前は、伊吹尊と申します。実は・・・・」


俺はこれまでの経緯を男性に伝える。森で迷ったこと、馬車での出来事、そしてどこに行けばよいかを教えてほしい旨を伝えた。男性は自らの名をビーチと名乗り、荷台の調査をお願いしてきた。俺は、わかりましたと告げる。


「では、商人の遺体を確認させて頂きます。」


ビーチは商人の首から胸元を探ると銀色の鎖の先に鉄の板がついたネックレスを見つけて、商人からネックレスを外して調べている。時間にして10分ぐらいだろうか、ビーチが再び話しかけてきた。


「この道を真っ直ぐ行くと広場に出ます。そこに建っている酒場までご案内します、御者を交代して頂けませんか。」


俺はビーチの申し出を快諾するとミュートと御者を交代させる、男性は広場の酒場に馬車を走らせた。酒場に到着すると、ビーチと俺達3人は酒場の中にいるメイド服を着ている女性の前まで歩いて行く。


「いらっしゃいませ、クエストカウンターへようこそ」


ビーチは、受付嬢に先ほどのネックレスを出して俺が話したことを説明している。ビーチとの話が終わると俺の方に顔を向けて話しかけてきた。


「尊様、ビーチ様より事情は伺いました。一応、規則ですのであなた方3名様からも事情聴取をさせて頂きます。」


受付嬢から質問形式で尋ねられ、俺はそれに回答していく。メイプルとミュートも基本は同じだが、奴隷であるため”嘘、偽りなく話せ”と質問前に言われていた。3人とも質問が終わると、紙のようなものに色々記入していた。


「お疲れ様でした、事情聴取は以上ですが何か質問はございますか。」


「奴隷への”嘘、偽りなく話せ”の命令は誰でも使えるのですか。」


気になったので聞いてみる。俺は主人もしくは特別な人のみが使えるのかと思っていたが、誰でも使えるとしたら奴隷のプライベートは勿論だが、仕える主人の秘密まで色々な人にバレてしまうことになる。


「いえ、それは違います。これを使えるのは奴隷の主人のみです。例外として、()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()のです。そして、主人の死んだ原因に奴隷が関わっているケースはゼロではないため、このようなこと形で事情聴取するのです。」


なるほど、奴隷が主人を殺して目撃者がいない場合の対応策になっているってことか。


「わかりました、ありがとうございます。そして、私達はこれからどうすれば良いのでしょうか。」


「奴隷であるメイプル様とミュート様及び、馬車とそれに載っているモノは全てこちらが明日のお昼まで預からせて頂きます。事情聴取の結果が問題なければ、尊様に全て譲渡されます。今から必要書類を作成しますので、お待ちいただけますか。」


「わかりました。では、待つ間にここでご飯を頂いても大丈夫でしょうか。それと、おすすめの宿も教えていただきたいのですが。」


「勿論、構いませんよ。」


「それと一人は寂しいですので、彼女達と食事してもいいでしょうか?。」


「尊様、本当にご一緒してもよろしいのでしょうか。」

「普通は、主人と奴隷は同じ食事はおろか同じ席でも食べれないんですよ」


受付嬢さんの”構いませんよ”と了解を得て、メイプルとミュートの二人を席に座るように勧める。


「尊様、本当によろしいでしょうか。」

「受付の方も構わないって言ってましたし、大丈夫でしょう。」


真面目な顔でメイプルが聞いてくるので、気にせず座るように促した。二人が恐る恐る座ると、恰幅のいいおばさんがメニューを持って注文を聞きに来た。


「いらっしゃい、どうするんだい?」


テーブルの上にメニューを置く。メニューを見ても読めないが鑑定をしたら情報はわかった。、二人に好き嫌いはないか聞いてみた。


「私は特にございません。」

「私は・・、辛い料理は苦手です。」


メイプルは普通だったが、ミュートは恥ずかしそうに呟いた。俺は、店のおすすめで辛くない料理を3人分と水を頼んだ。合計で2,000(ゴールド)と言われたので、懐から財布を出して、2,000(ゴールド)を支払う。二人とも恐縮そうな顔で下を向いていたので、俺も料理が来るまで黙って待っていた。

しばらくすると、おばさんが料理を3人分持ってきた。料理の内容だが、野菜のスープと肉を焼いて塩を振ったものと、パンが出てきた。俺は二人に言葉をかける。


「メイプルさん、ミュートさん、今日はありがとうございました。村に到着できたのは、あなた達のおかげです。ささやかですか、召し上がってください。」

「尊様、私達のような奴隷に過分はお心遣いをありがとうございます。」

「尊様、ありがとうございました。この御恩は忘れません。」


俺は手を合わせると早速料理を口入れる、メイプルとミュートも俺が食べたのを確認すると食べ始めた。

味はどうかというと、”美味しくない”良くも悪くも素材の味だ・・・。二人を見ていると、どちらも幸せそうにご飯を食べている。俺は我慢して胃の中に料理を流し込んだ。


「こちらが必要書類です、後おすすめの宿ですが宿泊施設が酒場の横にしかございません。」


俺は御礼を言って酒場を出ようとすると、メイプルとミュートの二人に頭を下げられた。俺も頭を下げて隣の宿屋に向かった。宿屋に入ると無人の受付から人を呼んでみる、すると奥から酒場のおばさんが出てきた。


「いらっしゃい、一泊3,500(ゴールド)、朝食付きなら4,000(ゴールド)だよ。」


酒場のおばさんに朝食付きをお願いし、4,000(ゴールド)を支払う。そしてお風呂はないのかと聞いてみると、おばさんの話では”そんなものは貴族か王族ぐらいで、一般人は井戸の水で行水をするだけらしい。俺はおばさんからタオルと桶を借りて、裏の井戸で行水をさせてもらった。タオルやたらいのレンタルにお金がいるのかと聞いたら、宿泊代金に込みなので問題ないらしい。

部屋に戻るとスキルでエク〇ルを起動して、今後の支出の予想をしてみる。


1日の宿泊(朝食付き) 4,000G 

 昼食           500G

 晩飯           500G

-------------------

1日(最低)  合 計 5,000G


@5,000G ✕ 365 日 = 1,825,000G/年


この世界の1年は分からないので、前世の1年間で計算したが結構な金額となった。このペースで生活すれば手持ちで100年ぐらいは楽勝で暮らせるが、世間様からは金の出所を疑われるだろう。転生の時にも”派手な使い方は良くない人(誘拐や追いはぎ)を招く”と言われた。質素であるが無収入での永続的な支出は、変に目立って同じことになるだろう。取りあえず”収入>支出”の状態を作り出すことを目標にすることにした。

そして同時進行で、”食事の改善”も行うことを心に決める。量はあったのだが味が酷すぎだ”野菜スープ”は水っぽいのでまだ流し込めたが、肉が辛かった。たぶん鶏だと思うが、パサパサで塩の味しかしなかった。

俺はエク〇ルを閉じて、”イーストウッド村”の情報を調べてみる。そしてこの村の主な産業は、農産物や衣服系であることがわかった。どのようにして生産しているかはわからないが、小麦、野菜、水、ミルク、塩、砂糖の食料と、糸、布等の衣服系の物価は安っかた。しかし、食料の中でも”肉”は高いことがわかった。”小麦”の価格は数十(ゴールド)なのだが、”肉”の価格が十倍の数百(ゴールド)で取引されている。

それを考慮すると、今宿泊している宿屋の価格が高過ぎる気がする。この村の一般収入はわからないが、1ヶ月10,000(ゴールド)あれば食費は十分賄える気がするのだが。色々疑問に思うところがあるが、今日はこの辺で寝ることにした。

誤字や脱字の報告、感想等で構いません。宜しければ、一言お願いします。

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